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事例紹介2026年10月26日by K.hirano

Kimi K3.1 Pro、中国勢で断トツの賢さ。ただし値段は Sonnet 5.5 と同じ

10月23日に出たKimi K3.1 Proを、Artificial Analysisの知能指数と単価で中国勢・米国勢と比較。中国勢では2位に8.8点差の断トツ、値段は入力$2・出力$10でSonnet 5.5と同じ。

#Kimi#Moonshot AI#AIモデル比較#Artificial Analysis#API費用#中国製AI

こんにちは。朝晩がすっかり冷えるようになりましたね。

10月23日、Moonshot AI(中国の AI 企業で、Kimi の開発元)が Kimi K3.1 Pro を公開しました。私は新しいモデルが出ると、まず Artificial Analysis(AI モデルの性能と料金を第三者として測って公開しているサイト。以下 AA)で位置を確かめるのですが、今回の第一印象は「中国のモデルの中ではトップの賢さ。ただ、値段は中国勢の中では高いな」でした。

数字を並べてみると、この印象はどちらも当たっていました。AA の知能指数で K3.1 Pro は 55.1 点、中国勢の 2 位に 8.8 点差をつけた断トツです。一方で料金は 100 万トークンあたり入力 $2・出力 $10 で、中国勢ではいちばん高い。そして調べていて引っかかったのが、この値段が Claude Sonnet 5.5・Gemini 4 Argon・GPT-6.1 Sol とまったく同じだという点です。K3.1 Pro は「中国製だから安い」という武器を手放して、米国勢と同じ値札で勝負に出たモデルだと私は読んでいます。

なお、今回は私が K3.1 Pro を API で動かして測った記事ではありません。AA の公開データ(10月26日取得)と報道を読み解いた記事です。

K3.1 Pro は K3 に追加の学習をした「中身の濃い改良版」

K3.1 Pro は、7月に出た Kimi K3(当時の比較は Kimi K3 を第三者データで見た記事にまとめています)にさらに学習を重ねたモデルです。総パラメータは約 2.8 兆、1 トークンごとに動くのは約 1,040 億という MoE(たくさんの「専門家」から必要な分だけを動かす作り)で、一度に読める長さ(文脈長)は 100 万トークン。文字に加えて画像も読めます。

同時に、2〜3 倍速いという速い版の K3.1 Pro Highspeed も出ています。こちらは料金が通常版の倍です。モデル本体(重み)は 11 月 4 日までに公開予定とされていますが、ライセンスはまだ発表されていません。

もう一つ、Moonshot はサイバー攻撃に関わる学習材料を公開前に取り除いたと説明しています。重みを誰でも手に入れられる形で出す以上、悪用されにくくする判断なのだと思います。

AA の知能指数では中国勢の 2 位に 8.8 点差

Moonshot の発表には Opus 5.5 に迫る数字が並んでいますが、自社で測った数字はどうしても割り引いて読む必要があります。そこで第三者の AA の知能指数で並べました。AA の総合点(知能指数)は、エージェント・コーディング・科学的な推論・一般の 4 分野にまたがる 10 種類の評価から出しています。

モデル作り手知能指数順位(698 件中)混合単価 $
Kimi K3.1 ProMoonshot55.154
MiMo-V2.6-ProXiaomi46.3340.544
Qwen3.8 Max (0902)Alibaba45.4363
DeepSeek V4.1 Flash 1017 (Max)DeepSeek45.1370.525
GLM-5.3 (Max)Z AI44.8402.15
Kimi K3 (Max)(前の版)Moonshot43.6476

混合単価は、入力 3:出力 1 の割合で混ぜた 100 万トークンあたりの値段です。順位は、同じモデルの「考える深さ」違いを別々に数えた 698 件の中での位置です。

中国勢の 2 位は Xiaomi の MiMo-V2.6-Pro で 46.3 点。K3.1 Pro との差は 8.8 点あります。指数 40 点以上の中国の作り手は、Kimi 以外みな 42.7〜46.3 点にひしめいていて、K3.1 Pro だけが頭一つ抜けている形です。前の版の K3 (Max) は 43.6 点だったので、1 回の改良で 11.5 点伸びたことになります(7 月の K3 の記事では K3 を 57.1 点と書いていますが、AA の指数はその後に中身が改められていて、当時の点数とは直接比べられません)。正直、ここまで一気に抜けるとは思っていませんでした。

最上位の Opus 5.5 まで 2.5 点、ターミナル作業では 1 位

世界全体で見ても、K3.1 Pro は 698 件中 5 位です。最上位の Claude Opus 5.5 (Max) は 57.6 点なので、差は 2.5 点。指数で見ると Opus 5.5 の 96% の位置にいて、混合単価は Opus 5.5 の $8 に対して $4、つまり半分です。

個別のテストを見ると、得意と苦手がはっきり分かれていました。

テスト(AA が測定)K3.1 ProOpus 5.5 (Max)Sonnet 5.5 (Max)K3 (Max)
Terminal-Bench v4(ターミナル作業)67.2%59.6%63.6%12.6%
HLE(難問の知識と推論)52.5%61.4%55.0%46.9%
SciCode(科学計算のコード)60.8%66.9%61.0%59.5%
LCR(長い文書で推論)86.3%84.7%82.7%88.7%

いちばん目を引くのは Terminal-Bench v4 です。AI がターミナル(コマンドを打ち込む黒い画面)で作業をこなせるかを見るテストで、K3.1 Pro は 67.2%。このテストの点が載っている 226 件の中で 1 位でした。前の版 K3 の 12.6% からの伸び方も極端で、今回の改良の中心はここだったのだろうと思います。

反対に、HLE(難問の知識)では Opus 5.5 (Max) に 8.9 ポイント離されています。何でも知っている物知りというより、手を動かす作業が得意なモデルという性格が見えてきます。

ちなみに Moonshot 自身も Terminal-Bench 4.0 の数字を出していて、そちらは K3.1 Pro 65.7%・Opus 5.5 66.4%・GPT-6 Astra 58.2% です。AA の測定とは測った人も条件も違うので、数字が合わないのは当然です。この記事で順位を語るときは AA の数字だけを使っています。

値段は中国勢でいちばん高い。ただし K3 よりは安くなった

料金は 100 万トークンあたり入力 $2・出力 $10 で、同じ入力を繰り返し送るときのキャッシュ入力は $0.20 です。Moonshot の料金を引用した複数の資料と、OpenRouter(1 つの窓口から複数の AI モデルを呼び出せるサービス)の登録値で一致しました。

中国勢と比べると、確かに高いです。混合単価で見ると K3.1 Pro の $4 は中国勢でいちばん高く、2 番目の Qwen3.8 Max が $3。MiMo-V2.6-Pro($0.544)の約 7.4 倍、DeepSeek V4.1 Flash 1017($0.525)の約 7.6 倍です。中国製モデルといえば「そこそこ賢くて、とにかく安い」が定番だったので、この値札には少し身構えました。

ただ、前の版より高くなったわけではありません。K3 は入力 $3・出力 $15 だったので、K3.1 Pro は入力・出力とも 3 分の 2 に値下がりしています。単価は下がり、点数は 11.5 点伸びたので、K3 を使っている人から見れば、単価と点数の両方で前進した改良です。

米国勢と並べると、同じ値段の横並び

ここが今回いちばん大事なところだと思います。入力 $2・出力 $10 という料金は、米国の主力モデル 3 つとまったく同じです。

同じ値段のモデル(入力 $2・出力 $10)知能指数出力速度(トークン/秒)
Claude Sonnet 5.5 (Max)56.0140.1
Kimi K3.1 Pro55.148.0
Gemini 4 Argon (High)52.676.5
GPT-6.1 Sol (Max)51.857.7

同じ値段の中で比べると、K3.1 Pro は Gemini 4 Argon より 2.5 点、GPT-6.1 Sol より 3.3 点上です。ここは素直に強い。一方、Claude Sonnet 5.5 (Max) には 0.9 点届かず、文字を出す速さは Sonnet の 140.1 トークン/秒に対して 48.0 トークン/秒で、約 2.9 倍の差があります。

迷うとしたら、たぶん「Sonnet 5.5 を使っていて、値段を変えずに K3.1 Pro へ替える意味があるか」という場面だと思います。総合点と速さだけで見れば、替える理由はほとんどありません。替える理由になりうるのは、ターミナル作業のテストで Sonnet 5.5 (Max) の 63.6% を上回っている点と、11 月に重みが公開されれば自分の環境で動かせる点の 2 つです。

もう一つ、ここで比べているのはあくまで 100 万トークンあたりの単価です。AA の無料データには、評価で実際に何トークン使ったかが含まれていません。考える量が多いモデルは、単価が同じでも同じ仕事に払う額が増えます。単価が同じ Sonnet 5.5 と GPT-6.1 Sol でも評価にかかった費用には大きな差があったことを、Sonnet 5.5 と GPT-6.1 Sol の比較記事で書きました。「同じ値段」は「同じ請求額」とは限らない、という点だけは頭の片隅に置いておいてください。

K3.1 Pro を選ぶのはどんな人か

ここまでをまとめると、K3.1 Pro が向くのは次のような人です。

  • ターミナル操作やエージェント(AI に一連の作業を任せる使い方)が中心で、その用途の強さを最優先したい人
  • 中国製モデルの中で、いちばん賢いものを使いたい人
  • K3 を使っていて、値下げと点数の伸びをそのまま受け取りたい人
  • 11 月に公開予定の重みを使って、将来は自分の環境で動かしたい人

逆に、普段の調べものや文章、質問への答えの賢さと速さを重視するなら、同じ値段の Sonnet 5.5 と比べてから決めるのがよいと思います。安さが目的なら、MiMo-V2.6-Pro や DeepSeek V4.1 Flash 1017 のように、40 点台半ばで単価が 7 分の 1 前後のモデルのほうが合っています。

最後に、出たばかりのモデルならではの注意を一つ。公開の 2 日後、有料会員の一部で使える回数に制限がかかり、使用枠が無駄に減る不具合が起きました。Moonshot は自社の設定の問題だと認めて謝罪し、有料の全会員に月の枠の 25%(約 1 週間分)を戻しています。AA の数字も公開から 3 日の時点のものなので、これから動く可能性があります。重みの公開とライセンスの発表が出そろったところで、もう一度見直したいと思います。

出典: Artificial Analysis。知能指数・個別テスト・単価・速度は 2026年10月26日取得。製品の仕様と料金は The Next Web・Yotta Labs・OrcaRouter、障害と補償は BigGo Finance の報道によります。

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

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