Claude Opus 5、全effort段でSol凌駕——秘めた実力とコスト最適化の結論
Claude Opus 5とGPT-5.6 Solを同じeffort段で並べると、low/medium/high/xhigh/maxの5段すべてでOpus 5が上回りました。mediumがSolのhighを超え、lowですらSolのmaxより嘘をつかない。独立実測データから、常用すべき段とコスト最適化の答えを出します。
こんにちは。暑さで自分の頭の回転まで鈍りがちな季節ですが、今回は AI のほうの「考える深さ」の話です。
2026-07-24 に出た Claude Opus 5 と GPT-5.6 Sol を、effort(AI が答える前にどれだけ考えるかを low〜max の5段で選ぶ設定)をそろえて並べると、Opus 5 が5戦5勝でした。しかも1段のハンデを与えても勝ちます。Opus 5 の medium(56.28)が、Sol の high(55.87)を上回る。実用の答えは「迷ったら medium 常用」で、じっくり考えさせたい設計レビューのときだけ high 以上へ上げれば十分です。最初の一文字が出るまでの待ち時間が、medium の5.63秒から high で24.94秒へ、4倍以上に跳ねるからです。
effort を下げるの、こわくないですか。下げれば速くなるのは分かっていても、「下げたぶんだけ馬鹿になる」なら本末転倒です。確かめる方法もないので、結局 max か high に固定したまま、1分近い沈黙に集中を切らされる。この記事は、その感覚頼みの状態を数字で置き換えるためのものです。なお、私が自分でベンチマークを回したわけではありません。独立ベンチマークの Artificial Analysis が公開している各段の実測を読み解いて、「で、自分はどの段を使えばいいのか」まで落とし込みます。データの取得時点は2026-07-25で、ベンチマークは随時更新されるため、閲覧時点の数字とはズレることがあります。
同じ effort 段どうしなら、Opus 5 が5段すべてで上
大前提は1つだけです。段をそろえて比べます。 段が違えば結論はひっくり返るからで、これは表のすぐ後で書きます。
物差しは Artificial Analysis Intelligence Index v4.1(以下 AAII)。GDPval-AA や SciCode など9つの評価を合成した、AI の総合的な知能指数です。
| effort段 | Claude Opus 5 | GPT-5.6 Sol | 差(Opus 5 - Sol) |
|---|---|---|---|
| low | 50.61 | 49.44 | +1.17 |
| medium | 56.28 | 53.59 | +2.69 |
| high | 58.86 | 55.87 | +2.99 |
| xhigh | 60.07 | 57.65 | +2.42 |
| max | 60.69 | 58.89 | +1.80 |
出典: Claude Opus 5 on Artificial Analysis, GPT-5.6 Sol on Artificial Analysis
5段すべてで Opus 5 が上でした。
ただ、段をそろえずに比べると話が変わります。Opus 5 の low(50.61)と Sol の medium(53.59)なら、今度は Sol のほうが上です。「low なら何でも Sol 以上」ではありません。ここは正直に書いておきます。
1段下げても勝ち、2段下げてようやく並ばれる
知りたいのは、たぶんこっちだと思います。「自分は下の段にしても、向こうの上の段に勝てるのか」。
Opus 5 の medium(56.28)は、Sol の high(55.87)を上回ります。1段ハンデで勝ち。 Opus 5 の high(58.86)は、Sol の max(58.89)とほぼ同点で、差は-0.03しかありません。2段ハンデでようやく並ばれる。 そして Opus 5 の xhigh(60.07)になると、Sol の max(58.89)を明確に抜きます。
つまり、effort を1段下げても、他社の最上位に負けるわけではありません。設定で毎回悩んでいる側からすると、これはかなり心強い話です。
全体の順位でも上位に並ぶが、Fable 5 との比較には注意がいる
同じ AAII v4.1 のランキング全体で見ても、Opus 5 の各段はかなり上位に食い込んでいます。
| 順位 | モデル (effort) | AAII v4.1 |
|---|---|---|
| 1 | Claude Opus 5 (max) | 60.69 |
| 2 | Claude Opus 5 (xhigh) | 60.07 |
| 3 | Claude Fable 5 (with fallback) | 59.86 |
| 4 | GPT-5.6 Sol (max) | 58.89 |
| 5 | Claude Opus 5 (high) | 58.86 |
| 6 | GPT-5.6 Sol (xhigh) | 57.65 |
| 7 | Kimi K3 | 57.11 |
| 8 | Claude Opus 5 (medium) | 56.28 |
| 9 | GPT-5.6 Sol (high) | 55.87 |
| 10 | Claude Opus 4.8 (max) | 55.69 |
出典: https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5
1位は Opus 5 の max。ここまでは気持ちいいのですが、3位の行には少し注意が要ります。Fable 5 の行には「with fallback」というラベルが付いています。 安全性のチェックでリクエストが弾かれたときに別のモデルへ回した結果を含む、という意味で、純粋な Fable 5 単体のスコアではありません。
ややこしいのは、Anthropic 自身の発表では逆向きの表現が使われていることです。「Fable 5 のフロンティア知能に半額で肉薄する」——つまり公式は、Opus 5 が Fable 5 の下にいる前提で書いています。測っているベンチマークが違えば、どちらも正しい。なので「Opus 5 が Fable 5 を超えた」と単純には言えません。ここで扱っているのは、あくまで Artificial Analysis の Intelligence Index 上での順位です。
もう1つ、地味に効く話があります。8位の Opus 5 medium(56.28)は、前世代の最上位だった Opus 4.8 の max(55.69、10位)を上回っています。前世代でいちばん重い設定にしていた人は、Opus 5 では medium まで落としてなお性能が上がる計算です。
Opus 5 は一番軽い設定でも、Sol の一番重い設定より嘘が少ない
知能スコアが高くても、嘘をつくなら意味がありません。effort を下げるのがこわい本当の理由も、たぶんここです。AI がもっともらしい作り話を返す現象をハルシネーションと呼びますが、下げたらそれが増えるのでは、という不安ですね。
Artificial Analysis の AA-Omniscience Index は、知識の正確さからハルシネーション率を引いた指標(-100〜100)で、高いほど「知ったかぶりをしない」モデルです。この軸で、はっきり差が出ました。Opus 5 の low(23.18)が、Sol の max(21.70)を上回ります。 しかも全段対全段で、きれいに分かれています。
| モデル (effort) | AA-Omniscience Index |
|---|---|
| Claude Opus 5 (max) | 31.27 |
| Claude Opus 5 (xhigh) | 29.80 |
| Claude Opus 5 (high) | 28.08 |
| Claude Opus 5 (medium) | 25.63 |
| Claude Opus 5 (low) | 23.18 |
| GPT-5.6 Sol (max) | 21.70 |
| GPT-5.6 Sol (xhigh) | 20.55 |
| GPT-5.6 Sol (high) | 19.75 |
| GPT-5.6 Sol (medium) | 18.95 |
「下げたら嘘が増えるのでは」という不安への答えが、この表です。少なくとも Opus 5 については、その心配はかなり小さいと言えます。
high で待たされるのは、最初の一文字までの沈黙が急に伸びるから
体感の速さを決めているのは、平均の速さではありません。最初の一文字が出るまでの沈黙です。これを Time To First Token、略して TTFT と呼びます。この間、画面には何も起きません。
Claude Opus 5 の段別 TTFT は、low 4.08秒、medium 5.63秒、high 24.94秒、xhigh 38.85秒、max 64.52秒でした。
出典: Claude Opus 5 (medium), Claude Opus 5 (high)
medium までは5秒台なのに、high でいきなり約25秒。ここが断絶です。5秒なら「ちょっと待つな」で済みますが、25秒は「あ、いま考えてるんだな」と意識してしまう長さで、そこで一度こちらの集中が切れる。マシンの速度の話ではなく、人間の集中の持続時間の話です。日常のコーディング支援で high を常用しづらいのは、知能が足りないからではなく、この沈黙のせいだと思います。
動き出してから終わるまでは、medium 以上で Opus 5 のほうが速い
ただし、全部が遅いわけではありません。リクエスト完了までの総時間(E2E 応答)で見ると、medium 以上では Opus 5 のほうが速い。high では Opus 5 が33.37秒、Sol が44.90秒で、11.53秒の差がつきます。考え始めるまでは長いけれど、動き出したら早く終わる。段ごとに並べると、逆転がどこで起きるかがはっきりします。
| effort段 | Opus 5のE2E応答 | SolのE2E応答 | 速い方 |
|---|---|---|---|
| low | 13.29秒 | 10.83秒 | Solが2.46秒速い |
| medium | 15.52秒 | 17.77秒 | Opus 5が2.25秒速い |
| high | 33.37秒 | 44.90秒 | Opus 5が11.53秒速い |
| xhigh | 48.54秒 | 85.04秒 | Opus 5が36.50秒速い |
出典: https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5-high
low だけは Sol が速い。でも medium で逆転して、そこから段を上げるほど差が開きます。xhigh では Sol が Opus 5 の1.75倍の時間を使う計算です。重い設定にするほど Opus 5 が有利になる、というのは直感に反するかもしれません。同じ点数を出すのに必要な思考量が、そもそも違うということなんだと思います。
1枚にまとめると、折り返し地点は medium にある
ここまでの数字を並べておきます。
| effort段 | AAII v4.1 | 嘘のなさ | 初動(TTFT) | 完了まで | 出力トークン/タスク |
|---|---|---|---|---|---|
| low | 50.61 | 23.18 | 4.08秒 | 13.29秒 | 6,067 |
| medium | 56.28 | 25.63 | 5.63秒 | 15.52秒 | 11,564 |
| high | 58.86 | 28.08 | 24.94秒 | 33.37秒 | 19,692 |
| xhigh | 60.07 | 29.80 | 38.85秒 | 48.54秒 | 28,703 |
| max | 60.69 | 31.27 | 64.52秒 | 73.64秒 | — |
出典: https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5-xhigh
この表の読みどころは、段と段の「間」です。low から medium へ上げると、知能は5.67ポイント伸びるのに、待ち時間は1.55秒しか増えません。払うものに対して、得るものが大きい一段です。では medium から high はどうか。知能の伸びは2.58ポイントに落ちるのに、初動は19.31秒も伸びます。
得が減って、損が増える。 その折り返し地点が、ちょうど medium にあります。
出力トークン数(トークンは AI が文章を数える単位で、料金もこれで決まります)も同じ形です。low の6,067から、max までで4倍以上に膨らむ。effort を上げるというのは、要するにモデルに長く考えさせることで、その時間とトークンは全部こちらの財布と集中力から出ていきます。
同じ点数に届くまで、Sol は1.38〜1.43倍払う
AAII v4.1 のテストセットを1周走らせた総額が公開されているので、料金と賢さの関係はこれで見られます。
GPT-5.6 Sol が、Opus 5 の medium(56.28点、約$1,115)に追いつくには、xhigh(57.65点、約$1,543)まで上げる必要があります。1.38倍払って、1.37点。 Opus 5 の high(58.86点、約$1,974)に並ぶには、Sol の max(58.89点、約$2,824)が要ります。1.43倍払って、0.03点。
単価そのものにも差があります。Claude Opus 5 は入力$5.00・出力$25.00(100万トークンあたり)、GPT-5.6 Sol は入力$5.00・出力$30.00。入力は同額で、出力は Opus 5 が2割安い。さらに Opus 5 の価格は前世代の Opus 4.8 と同額に据え置かれているので、Opus 4.8 を使っていた人からすると、値段はそのままで中身だけ上がった形です。
キャッシュヒット時(同じ前置きを繰り返し送ったときの割引)は$0.50(9割引)まで落ちるので、同じコンテキストを何度も投げるエージェント用途なら、実効単価はもっと下がります。
Anthropic 側の説明も、同じ方向を向いている
ここまでは第三者の実測でした。売り手側は何と言っているのか、いちおう見ておきます。先に断っておくと、ここから先は Anthropic の自社公表値です。独立検証ではないので、そのぶん割り引いて読んでください。
Anthropic の発表によると、Zapier の業務自動化ベンチマークでは、最低 effort 設定の Opus 5 が他のどのモデルよりも多くのタスクを通過したとされています。同じ発表に載っている早期アクセス顧客のコメントも、方向はそろっています。法務エージェントを開発している企業の担当者いわく、「低いreasoningレベルでも品質を維持する能力に感心した。Opus 4.8の最大reasoningと同等の性能を、平均26%少ないトークンで達成した」。金融系ベンダーの担当者は「effort段を横断して平均9ポイント高い精度を、1/3少ないターンとツールコール、60%短い時間で達成した」。
ベンダー発の数字なので鵜呑みにはできません。ただ、独立実測と自社公表が同じ方向を向いているという事実自体は、判断材料として意味があると思います。
普段は medium、重い仕事だけ high 以上へ
ここまでの数字を、使い分けの目安にするとこうなります。
常用設定は medium がバランス点
- 知能指数(AAII)では Sol の high を上回る性能が得られる。
- TTFT は5.63秒と、対話のテンポを壊さない範囲に収まっている。
- ハルシネーションの少なさ(Omniscience 指数)では Sol の max を上回るため、品質面での不安が小さい。
high 以上は特定の場面で
- 設計ドキュメントの深いレビュー、複雑なアルゴリズムの考案など、じっくり思考時間をかけてほしいタスク。
- TTFT が25秒〜1分以上になることを許容できる場合。
low はコスト優先時
- 単純なコード補完や定型処理など、最高の知能は必要ないが Omniscience(正確性)は欲しいタスク。
- 応答速度応答速度(ms)ディスプレイの画素が、ある色から次の色へ切り替わるまでにかかる時間。詳しく →(TTFT 約4秒)を最優先する場合。
切り替えは /effort で。下げるのは想定された使い方
Claude Code なら、セッション中に /effort を実行すると段の選択画面が出ます。普段は medium に置いておいて、重い設計レビューに入るときだけ high へ上げる。この運用がいちばん楽だと思います。
ただ、設定まわりには癖があります。設定ファイルに永続化できる段とセッション限りの段が分かれていたり、モデルを切り替えるとリセットされたり。このあたりは手元で確かめてClaude Code の /effort 完全ガイドにまとめてあるので、運用に落とすときはそちらへどうぞ。
API(プログラムから直接呼び出す窓口)で使う場合は、リクエスト側で effort を指定します。Anthropic の説明でも、この設定は「知能を優先するか、トークンを節約して速く安く済ませるかを選ぶためのもの」と位置づけられています。下げることは、想定された使い方です。手抜きではありません。
速度そのものが欲しいなら、Fast mode という別の手もあります。Anthropic の発表によると、既定の約2.5倍の速度で動く代わりに料金が2倍。待ち時間をお金で縮める仕組みで、effort を下げるのとは別の軸の解決策です。
数字は1つの評価体系の上での話
最後に、いちおう釘を刺しておきます。ここに出した数字は、Artificial Analysis という1つの評価体系の上での話です。ベンチマークのスコアは、タスクの設計と採点基準しだいで印象が変わります。実際の挙動も、扱う仕事の性質によってはこの通りにならないはずです。
それでも、「下げると馬鹿になるかもしれない」という漠然とした不安を、「medium ならまず大丈夫」という具体に置き換えることはできたと思います。コストと待ち時間に悩んでいるなら、まず medium から試してみてください。
参考リンク
本記事の数値はすべて下記から取得しています。Claude Opus 5のリリースは2026-07-24、データの取得日は2026-07-25です。
- Anthropic公式発表: Claude Opus 5
- Artificial Analysis - Claude Opus 5: https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5
- Artificial Analysis - Claude Opus 5 (low): https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5-low
- Artificial Analysis - Claude Opus 5 (medium): https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5-medium
- Artificial Analysis - Claude Opus 5 (high): https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5-high
- Artificial Analysis - Claude Opus 5 (xhigh): https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-5-xhigh
- Artificial Analysis - GPT-5.6 Sol: https://artificialanalysis.ai/models/gpt-5-6-sol
- OpenRouter - Claude Opus 5: https://openrouter.ai/anthropic/claude-opus-5
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この記事を書いた人
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