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開発ログ2026年9月3日by K.hirano

Fable 5.1 は『low で旧 max 超え』なのか|公式グラフ5枚をベンチ別に正直に読む

Claude Fable 5.1 の公式グラフ5枚をベンチ別に読み、low が旧 Fable 5 の max を超えたベンチと超えなかったベンチを表にしました。常用 effort の決め方と Pro/Max の課金条件も整理します。

#Claude#Claude Code#Anthropic#LLM#ベンチマーク

こんにちは。9月が始まってすぐ、Anthropic から新しいモデルが届きました。

Claude Fable 5.1 は、ターミナル操作やツール呼び出しを何度も繰り返す「エージェント作業」(AI が自分で手順を進めていく使い方)なら、まず試す価値があります。Terminal-Bench-Science というベンチでは、5.1 を low(AI が考える量を一番少なくする設定)で動かしただけで、旧 Fable 5 の max(一番多く考えさせる設定)を上回り、コストは約4分の1でした。

ただ、知識や推論が中心のタスクまで常に low で済む、という話ではありません。Humanity's Last Exam では、5.1 の low は旧 Fable 5 の max に届かず、旧 low とほぼ同じです。「low で旧 max 超え」という噂は、ベンチによって当たり外れがある、というのがこの記事の答えです。

使い分けの目安:作業の種類で effort を分ける

グラフを全部読んだうえでの判断を、先に置いておきます。

  • ターミナル操作・検索・ツール利用が多い開発作業:low〜mediumを試す価値が高い
  • 長時間のコーディングエージェント:highを起点に、xhighまで費用対効果を確認
  • 最新情報の確認や難しい推論:low固定は過剰な節約になりやすい
  • Proで追加課金を避けたい利用者:Fable常用の前に、契約画面の「Requires usage credits」を確認

何が変わったのか:価格据え置き、キャッシュ読み取りは4分の1

2026年9月1日、Anthropic が Claude Fable 5.1 を公開しました。Claude Code は v2.1.257 から、fable と指定したときの中身が 5.1 になっています。既定のモデルそのものが変わったわけではない点は、先に押さえておきたいところです。Max は Opus 5、Pro は Sonnet 5 のままで、Fable は自分で選ぶ必要があります。

変わった点は3つです。1つ目は価格で、入力 $10 / 出力 $50 per MTok(100万トークンあたり。トークンは AI が文章を数える単位です)と据え置きですが、キャッシュ読み取りが $1.00 → $0.25 と4分の1になりました。キャッシュ読み取りは、一度読ませた長い文脈を使い回すときの料金です。2つ目は、同じ effort でもスコアが上がり、同じスコアなら安くなったこと。公式グラフの言い方を借りれば「効率カーブがまるごと左上に動いた」形です。3つ目は、Mythos 5.1 と同一モデルで、差は安全装置(safeguards)が介入したタスクの分だけだと公式が明記したことです。

ここからは公式のグラフ5枚を1枚ずつ読み、「low でも旧 Fable 5 の max を超える」がどこまで本当かをベンチ別に見ていきます。low〜max がそれぞれ何を意味するか、ultracode の正体といった effort の一般論は、過去の記事にまとめてあります。

見直せる構成と、まだ残る不満

今回のグラフを見ると、いくつかの使い方は見直せます。まず、すべてのタスクを max 固定にする構成です。Terminal-Bench-Science のように low で旧 max を超えるタスクでは、費用だけが先に増えていきます。次に、コストを下げたくて、いきなり下位モデルへ切り替える構成。公式の比較では、Fable 5.1 の medium / low で旧 Fable 5 相当を狙えるケースがあります。そして、最新情報の確認を low に任せる構成です。low は検索や確認ツールを呼ばず、記憶で答える傾向があるためです。

一方で、不満も残ります。ベンチによって合う effort が違うので、low 一択にはできません。コーディングでは low が旧 max に届かず、CursorBench で旧 max を超えるには xhigh が必要です。純粋な推論でも effort を上げるコストは残っていて、Humanity's Last Exam では 5.1 の low は旧 max を超えません。もう一つは料金の条件で、Pro では追加課金になる可能性があります。「高性能モデルが月額内で使える」という前提で移行すると、請求の条件を見誤ります。

グラフ1: Terminal-Bench-Science 0.1 では low が旧 max を超えた

Terminal-Bench-Science 0.1 の effort 別スコアとコスト

科学研究のエージェント作業を測るベンチです。横軸がタスク1件あたりの平均コスト(対数)、縦軸がスコアで、表の数字はグラフからの読み取り値なので「約」を付けています。

effortFable 5.1Fable 5
low約26%($11.5)約12.5%($17)
medium約36%($15)約21.5%($25)
high約40%($20)約25%($34)
xhigh約49.5%($32)約23.5%($36)
max約52.5%($38)約24.5%($43)

5枚のなかで一番劇的なのがここです。Fable 5.1 の low(約26%)が、Fable 5 の max(約24.5%)を、およそ4分の1のコストで上回っています。しかも旧モデルは high から先が頭打ちで、xhigh・max に上げても伸びていません。5.1 は max まで素直に伸び続けていて、「effort を上げた分だけ返ってくる」形になりました。

とはいえ、この結果だけで開発タスクを全部 low に下げるのはやめておいたほうがいいです。low で再現性や回答の根拠が足りなかったら、同じタスクを medium、必要ならhighへ戻す のが安全です。成果物のテストや差分の確認は、effort を下げても省かないでください。

グラフ2: CursorBench 3.2.0 では、旧 max 超えに xhigh が要る

CursorBench 3.2.0 の effort 別スコアとコスト

エージェント型のコーディングを測るベンチです。

effortFable 5.1Fable 5
low約66.2%($2.9)約62%($4.5)
medium約68%($3.6)約65.2%($6.8)
high約69.4%($4.8)約66.5%($8.7)
xhigh約72.8%($7.5)約68.4%($11.5)
max約73.4%($9.8)約70.5%($17)

コーディングでは話が少し変わります。5.1 の low(約66.2%)は旧 high(約66.5%)とほぼ同じで、旧 max(約70.5%)には届きません。旧 max を超えるのは 5.1 の xhigh からです。ただ、コストの軸で見ると、5.1 の xhigh($7.5)は旧 high($8.7)より安い。「同じ金額でより高いスコア」は、全域で成り立っています。

なので、low をコード生成の最終判断に使うのは避けたいところです。小さな修正や定型のコードなら low でも試せますが、複数ファイルの変更、移行、テスト失敗の原因調査では highまたはxhighへ戻す のが無難です。「実装した」と「テストを通過した」は別物なので、CI(変更のたびにテストを自動で回す仕組み)やテスト結果を確かめられる構成に戻してください。

グラフ3: Terminal-Bench 4.0 の Mythos 5.1 との差は、公式いわく安全装置の分

Terminal-Bench 4.0 の Mythos 5.1 / Fable 5.1 / Mythos 5 比較

ターミナル操作を測るベンチで、Mythos 5.1・Fable 5.1・旧世代の Mythos 5 が並んでいます。

effortMythos 5.1Fable 5.1Mythos 5
low約41.5%約40%約21.5%
medium約46.5%約43.5%約32.5%
high約57%約49.5%約39%
xhigh約60%約51%約43.5%
max約61%約55.5%約46%

このグラフで大事なのは注記のほうです。Anthropic の公式発表のグラフ3注記は、Fable 5.1 と Mythos 5.1 は同じモデルで、差は以前の精度の低いサイバー安全装置が介入したタスクの分と説明しています。同一モデルだという主張は、この公式注記に基づくものです。

同じ注記には、安全装置の改善で差はずっと小さくなる見込みだとも書かれています。high で約7.5ポイント開いている差は、モデルの賢さの差というより「途中で止められた問題の数」と読むのが適切だ、というのが私の解釈です。ただし公式の説明に基づく解釈で、全タスクの内部の挙動を独自に検証し直したわけではありません。

以前の記事で扱った Fable 5 の安全装置の誤発動(Fable 5 の安全装置ギャップ)が、ベンチの数字として表に出てきた、とも言えます。旧世代(Mythos 5)の max 約46%に対して、5.1 は low の時点で約40%。medium(約43.5%)ではまだ届かず、high(約49.5%)で上回ります。

安全装置で処理が止まった場合、それをモデルの性能差と決めつけないほうがいいです。同じ指示を繰り返すのではなく、目的・対象範囲・安全な代替手順をはっきり書いて再実行します。それでも止まる作業は、effort を max にするだけで解決するとは限りません。安全な範囲にタスクを分けて戻すのが現実的です。

グラフ4: Humanity's Last Exam では「low で旧 max 超え」は成り立たない

Humanity's Last Exam の effort 別スコアとコスト

分野をまたいだ推論を測るベンチで、ツール(検索や計算など)を使える条件と使えない条件があります。

条件lowmax
Fable 5.1(ツールあり)約60%($0.53)約65%($3.4)
Fable 5(ツールあり)約59.6%($0.62)約63.8%($3.6)
Fable 5.1(ツールなし)約53%($0.30)約61%($2.2)
Fable 5(ツールなし)約50.5%($0.18)約57.8%($1.7)

ここは「low で旧 max 超え」が成り立たないベンチです。5.1 の low(約60%)は旧 max(約63.8%)より低く、旧 low とほぼ同じ。純粋な知識・推論では effort を上げた分の伸びがそのまま必要で、近道はありません。ツールなしの low に至っては、旧モデルのほうが安い領域すらあります。

⚠️ ツールなしの結果は、実際の調査作業にそのまま当てはめないでください。

資料を参照したり計算したりするタスクで根拠が足りなかったら、ツールありの構成に戻し、medium以上で再確認します。逆に、外部の情報が要らない短い要約なら、ツールなし・low のコストの安さを活かせます。

グラフ5: 実際の請求は、キャッシュ読み取りが多いほど減る

Fable 5 と Fable 5.1 の実利用コスト指数

最後は Indexed cost、2026年8月の4週間の実利用を、既定の effort・従量課金で測った指数です。

  • 典型的なワークロード(Claude Enterprise / Claude Code / API 横断): 100 → 75、約25%減
  • エージェント色の強いワークロード(コンテキスト・ツール多用): 100 → 55、約45%減

費用は、考え方としては次のように計算します。

タスク費用 = 通常入力トークン × $10/MTok + 出力トークン × $50/MTok + キャッシュ読み取りトークン × 旧$1.00または新$0.25/MTok

キャッシュ読み取りの割合を r とすると、キャッシュ以外の条件が同じなら新旧の比は 1 - r + 0.25r です。たとえばキャッシュ読み取りが65%なら、単純計算で 0.35+0.65×0.25=0.5125、つまり約49%減になります。グラフの100→55という実利用値はこの理論値に近いものの、実際には出力の量やキャッシュ以外のトークン量、effort の違いも混ざるので、単純計算とぴったりは合いません。40%の場合も同じ計算では0.70ですが、実利用値は100→75です。

差の出どころは、グラフの斜線部分の「キャッシュ読み取り」です。典型的なワークロードではコストの約40%、エージェント型では約65%がキャッシュ読みで、そこが4分の1になった。実務の判断材料として引用できるのは、「キャッシュ読み取りが65%のエージェント型では、指数が100から55になった」ことです。

裏を返すと、キャッシュ読みが少ない使い方(短い単発の質問)では、値下げの恩恵はほとんどありません。この仕組みの詳しい話は、次の記事で扱います。

ベンチの1タスクあたりの費用を、そのまま自分の請求額だと思わないことも大切です。自分の利用ログで入力・出力・キャッシュ読み取りを分けて確かめ、キャッシュ読み取りが少なければ low への切り替えやモデル変更も比べてみてください。請求が想定を超えたら、まず Fable の常用を止め、medium か契約内の既定モデルへ戻して使用量を確認します。

ベンチ別の判定表:エージェント型ほど low が効く

ベンチ5.1 low は旧 max を旧 max 超えに必要な 5.1 の effort
Terminal-Bench-Science超えた(約1/4のコストで)low
Terminal-Bench 4.0(対 Mythos 5)届かず(旧 high 相当)high
CursorBench届かず(旧 high 相当)xhigh
Humanity's Last Exam届かず(旧 low 相当)max

4つを並べると、エージェント型の作業ほど low の伸びが大きく、純粋な推論ほど effort を上げる必要が残る、という形がはっきりします。公式の言い回しはもっと控えめで、「medium で Fable 5 相当をより安く」「low は多くの場合 Opus/Sonnet より安くて強い」です。「low で旧 max 超え」は、Terminal-Bench-Science に限った話として引用するのが正確です。

常用 effort は high から始めて、下げる前に小さく比べる

公式の移行ガイドから、実務向けの手順をまとめておきます。

  1. high を起点にする(既定)。長時間のエージェント作業は high か xhigh で、タスクの全体像を最初に渡す
  2. コストを下げたいなら、下位モデルに逃げる前に Fable 5.1 の medium / low を試す。medium が旧 Fable 5 相当の目安
  3. low の癖に注意。公式注記では、low は検索や確認ツールを呼ばず記憶で答える傾向があります。最新情報や事実確認が要る作業には向きません
  4. max は xhigh で頭打ちを確認してから。グラフ2・4では xhigh → max の伸びが1ポイント未満です
  5. 同じタスクを複数effortで小さく比較する。まず10件程度をlowとmediumで実行し、成功率・修正時間・タスク費用を記録します。lowの単価が安くても、手戻りが増えれば実務上は安くなりません

Claude Code では、Fable が月額に含まれるかを先に確かめる

fable を指定しただけで、月額の範囲で使えるとは限りません。Claude Code の /model で Fable の行に「Requires usage credits」と出るプランでは、Fable の利用は月額に含まれず、使用クレジット(追加課金)になります。Max では含まれますが、Pro への切り替えを考えている方は、「Fable 5.1 low を常用」という前提が崩れる点を押さえておいてください。

足りないものが出たときの戻し方は、次のとおりです。

  • 回答の根拠やツール利用が足りない:effortを low → medium → high と戻す
  • コード変更の検証が足りない:highまたはxhighに戻し、テスト実行と差分確認を要求する
  • 追加課金を避けたい:Fableの選択を解除し、契約に含まれるモデルへ戻して請求条件を確認する

出典・検証日

検証日: 2026-09-03。グラフの数値は目視の読み取り値のため「約」を付けています。Claude Code v2.1.258 で /model の挙動を確認しました。

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

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