月$200のClaude Codeを$138にした2日間 — z.ai GLM移行で踏んだ罠と、規約の本当の分かれ目
Claude Code の接続先を z.ai の GLM へ差し替え、月$200を$138にした2日間の実測記録。踏んだ罠7つ、reasoning effort が外部バックエンドでも効くかの実測、そして「サブスク枠なら白」が成り立たない理由を公式ページの実読から整理します。
こんにちは。夏の電気代の請求が気になり始めると、毎月出ていく固定費にも一度メスを入れたくなりますね。今回は、AI のサブスク代に手を入れた話です。
結論を先に書くと、Claude Code(Anthropic の AI に作業をさせる道具)の「頭脳」だけを中国 z.ai の GLM というモデルに差し替え、契約を組み替えて、月 $200 を $138 にしました。スキルもフックも MCP も CLAUDE.md もそのままで、中で考える人だけが替わります。2026年8月26日から27日の2日間で、踏んだ罠は7つ、直したものは2つ。そして規約を読み直して、自分の理解が間違っていたことが1つ分かりました。
ただ、本当に知りたいのは「安くなるか」ではなく「何を失って安くなるのか」のほうで、そこはまだ分かりません。だから1ヶ月だけこの構成で様子を見ます。この記事は、そこへ至るまでに何を調べて何を間違えたか、の記録です。effort(AI にどれだけ考えさせるかの設定)まわりの前提は Claude Code の新effortモード徹底解説|max・ultracode・autoと『呪文ultrathink』の正体 もあわせて読むと、今回の論点とのつながりを把握しやすくなります。
月 $200 が $138 に。でも電卓の数字に値打ちはない
先に金額を出します。
| 月額 | |
|---|---|
| 今まで Claude Max 20x | $200 |
| これから Claude Max 5x | $100 |
| + ChatGPT Plus | $20 |
| + GLM Coding Plan Lite | $18 |
| 合計 | $138(−$62 / −31%) |
3割ちょっと安くなります。……が、これは電卓を叩けば誰でも出せる数字で、記事にする値打ちはありません。
安いモデルに主戦場を移せば、当然どこかが薄くなります。問題はそれがどこで、どのくらいで、そもそも自分の使い方で気づくレベルなのか。実際に枠が枯れるのか、仕事1本あたりのコストがどう動くのかは、1ヶ月使ってから続編に書きます。
頭脳は差し替えられる。ただし壊れても Anthropic は助けてくれない
仕組みは拍子抜けするほど単純で、接続先の環境変数(ANTHROPIC_BASE_URL)と資格情報を、他社の Anthropic 互換の窓口へ向けるだけです。
大事なのは、替わるのは中で考える人だけだということ。自分で書いたスキル、コミット前に走るフック(決まったタイミングで自動で動く小さな処理)、繋いである MCP サーバー、プロジェクトごとの CLAUDE.md——積み上げた設定はすべて生きたまま残ります。乗り換えというより、頭脳の移植なんですよね。
環境変数はそのシェル限りなので、ターミナルを閉じれば元に戻ります。私は起動用のシェル関数を1本足しただけで、普段の claude は一切無傷のままにしました。
Anthropic 側の立場も確認しました。公式ドキュメントにはこうあります。
Anthropic doesn't endorse, maintain, or audit third-party gateway products, and doesn't support routing Claude Code to non-Claude models through any gateway.
ここは丁寧に読む価値があります。"doesn't support" であって "doesn't allow" ではありません。 サポートしない、つまり「動かなくても面倒は見ない」であって、禁止とは書かれていない。実際、同じページに接続先の変え方が普通に説明されています。禁じているものの手順書は書きません。
ただし同じページには、こうも書いてあります。
Claude Code adds capabilities with each release, and a gateway that doesn't forward them breaks the corresponding features
要するに、Claude Code の更新である日突然壊れる。そしてその時 Anthropic は助けてくれない。 ここは覚悟しておく話です。
白か黒かを分けるのは「サブスクかどうか」ではなかった
この記事でいちばん書きたかったのがここです。
私は最初、「サブスクの枠を消費する形で API(外から AI を呼び出す窓口)が使えるなら、提供元が認めた使い方だから白」と理解していました。もっともらしいのですが、反例が3つあって成り立ちません。
- Google(Gemini CLI / Code Assist) — サブスク枠を消費する形。なのに黒。実際に BAN が執行されていて、有料契約者でも永久 BAN・復旧不可の報告があります
- GitHub Copilot — サブスク枠。非公開の内部エンドポイントを叩く形になるため黒寄り
- Anthropic の Max プラン認証を他ツールへ — サブスク枠。公式ドキュメントに明確な制限が書かれています
3つとも「サブスク枠を消費する」条件を満たしているのに黒です。実際に効いていたのは、次の2点だけでした。
- 自分で発行した API キーか(公式クライアントの OAuth トークンや内部エンドポイントの流用ではないか)
- メーカーが公式に「対応ツール」と明記しているか
この2つで引き直すと、きれいに並びます。
| 差し替え先 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| z.ai GLM Coding Plan | 🟢 白 | 公式の対応ツール表に Claude Code が載っている。ただし利用規約に「対応ツール内でのみ」「アカウント共有禁止」「違反が3回を超えると BAN されることがある」 |
| Alibaba Cloud Model Studio(Qwen ほか) | 🟢 白 | 公式ドキュメントに Claude Code 向けの接続手順があり、Anthropic 互換の窓口を自社で提供している。鍵も自分で発行する |
| Anthropic サブスクを他ツールへ | 🔴 黒 | 公式ドキュメントに明文(後述) |
| Google Gemini CLI / Code Assist | 🔴 黒 | 実際に BAN 執行中 |
| GitHub Copilot | 🔴 黒寄り | 非公開の内部エンドポイント利用 |
| ChatGPT Plus / Codex | 🟡 グレー | 明文の許可も、明文の禁止も見つからない |
先にお断りしておくと、Alibaba のほうは調べただけで、契約も実測もしていません。 2026年8月27日時点の公式ページの記載で、この記事の他の数字(枠の切れ方・effort・落ちるモデル名)のように自分で測ったものではありません。同じ表に並んでいますが、確度は同格ではありません。
それでも白が2つになったことのほうが、実は本題です。z.ai がたまたま寛容なわけではなく、判定軸のほうが効いていると示せるからです。どちらも「自分で発行した鍵」と「公式が Claude Code を対応ツールとして案内している」の2点を満たしています。
月額固定のコーディング向けプランは、どこも「対話で使うだけ」
しかも制約まで同じ型でした。Alibaba の Coding Plan(月 $50・Pro のみ。Lite は2026年3月20日に新規受付停止)にも、「対話利用のみ。自動スクリプトやアプリのバックエンドに使うな。違反は購読停止・鍵失効の対象」という規約があります。z.ai の「対応ツール内でのみ」とまったく同じ形です。
つまりこれは1社の癖ではなく、この商品カテゴリに共通する条件だと考えたほうがいい。月額固定のコーディング向けプランを買ったら、ゲートウェイに挿して夜間バッチに回す——という使い方は、どこでも白ではありません。
安いほうを勧めているのでもありません。Alibaba には別商品の Token Plan(Personal Lite は公式表示で通常 $8/月・期間限定 $6/月)もありますが、Coding Plan とは接続先も鍵も別で、相互の乗り換えもできないと明記されています。用途で選ぶものであって、金額で並べるものではありません。
そして規約が白でも、コードと会話は Alibaba へ送られます。 これはこの節の最後に書くことと同じです。
流通している「あの一文」は、現行のページに存在しない
ここは実際に一次ソースを開いて分かったことなので、強調しておきます。
日本語圏でも英語圏でも、Anthropic の制限としてある一文が繰り返し引用されています。「Free / Pro / Max アカウントで得た OAuth トークンを他の製品・ツール・サービスで使うことは許可されず、違反にあたる」という趣旨の、いかにも決定的な一文です。
この文言は、現行の公式ページには見当たりませんでした。 過去の版か、別のページから引かれたものが独り歩きしているようです。私も最初これを引くつもりでいて、原文に当たって引っ込めました。
存在しない文を引用元として持ち出すと、指摘された瞬間に主張ごと崩れます。ここでは逐語引用を再掲せず、実際に書いてある文だけで組み立てます。
現行の文言(code.claude.com/docs/en/legal-and-compliance の「Authentication and credential use」)はこうです。
OAuth authentication is intended exclusively for purchasers of Claude Free, Pro, Max, Team, and Enterprise subscription plans and is designed to support ordinary use of Claude Code and other native Anthropic applications.
Anthropic does not permit third-party developers to offer Claude.ai login into their own applications, or to route requests through Free, Pro, or Max plan credentials on behalf of their users.
Anthropic reserves the right to take measures to enforce these restrictions and may do so without prior notice.
日本語にすると「OAuth 認証は Claude Code をはじめとする Anthropic 純正アプリの通常利用のためのもの」「サードパーティが Claude.ai ログインを自社アプリに載せたり、ユーザーの Free/Pro/Max の資格情報でリクエストを中継したりすることは認めない」「これらの制限を執行する権利を留保し、事前の通知なしに執行することがある」。
このページに施行日の記載はありませんので、「◯月◯日から強制」といった書き方も私はしません。上の3文だけで「黒」の根拠としては十分に立ちます。純正アプリ専用と明記され、執行権を留保し、予告なしに執行すると宣言しているのですから。
出ていく話と、鍵を持ち出す話は別
同じ Anthropic の文書なのに扱いが違うので、並べておきます。
- Claude Code を他社モデルへ向ける(=今回やったこと)→ 公式は "doesn't support"。「面倒は見ない」であって禁止ではない
- Claude のサブスク認証を他社ツールで使う(=今回やっていないこと)→ 公式に明確な制限あり
こちらから出ていく話と、あちらの鍵を持ち出す話は別です。ひとまとめに「Anthropic は他社バックエンドを禁止している」と読むと、事実と違ってしまいます。
Codex をグレーにしたのは、判断を保留しているから
ChatGPT Plus / Codex だけ黄色にした理由です。OpenAI 側には、Anthropic のような明文の禁止条項が見つかりません。ただし明文の許可もありません。一方で、理由が公表されない BAN の報告は多数あります(18ヶ月の契約者、Pro 契約者を含む。異議申立に人間の返答がなかったという話も)。
ここは慎重に書きます。これらの BAN が「サードパーティ利用が原因だ」と公表された事実はありません。 分かっているのは「原因不明の BAN が起きている」までです。
そのうえで私が採ったのは、「書いていない」は「安全」ではない、という読み方です。加えて賭け金が非対称でした。うちは実装委託・設計委託・救援と Codex 系のエージェントを3体走らせていて、アカウントが止まると同時に全滅します。節約額より失うものが大きい。だから Codex は main loop(自分の手元の主セッション)には据えませんでした。
規約が白でも、データの行き先は別問題
最後にこれだけは。z.ai は中国の企業で、送ったものはそこへ行きます。規約上の白と、情報の持ち出しの可否はまったく別の判断軸です。 業務のコードを流すなら、規約より先にそちらを検討してください。私は自宅ラボの検証・記事執筆の範囲に留めています。
分かるのは月額だけ。仕事1本あたりはまだ測れていない
| 月額 | 枠 | |
|---|---|---|
| Claude Max 20x(今まで) | $200 | 5時間枠+週間枠(具体値は非公開) |
| Claude Max 5x | $100 | 同上 |
| ChatGPT Plus | $20 | Codex は web / CLI / IDE / iOS で共通枠 |
| GLM Coding Plan Lite | $18 | 週 10,000 クレジット / 5時間 2,000 クレジット |
枠は二段構えで、先に当たるのは小さいほう
z.ai の残量 API を叩いて実測したところ、週 10,000 クレジットの内側に「5時間あたり 2,000」の小枠がありました。週の枠を初日に一気に使い切ることはできず、5時間ごとに 2,000 ずつ配給される形です。これは公式表記からは読めませんでした。
そして実測で先に当たるのは、常に小枠のほうでした。後で書く effort の検証で18本まとめて投げたとき、5時間枠が 100% に達して 429(レート制限)。同じ瞬間の週間枠は 20% で、まだ余裕がありました。
クレジット単価を割り算しても意味がない
上の表を見ると単価を割り算したくなりますが、単位が互換ではないので意味のある数字になりません。Claude はメッセージ数が非公開、z.ai はクレジット、Codex もクレジット。共通の物差しがないんです。
分かるのは月額だけで、「仕事1本あたりいくらか」は今回まだ測れていません。それを測るのが1ヶ月後の続編、という構造にしています。
参考までに、自分の実測を1本だけ。自宅の LLMLLM(大規模言語モデル)大量の文章で学習し、人のように文章を読み書きできる大きな AI のモデル。詳しく → ゲートウェイの設定を調査させて、302行の変更提案書を作らせたタスク(所要 約10分)で、5時間枠が 4% → 9%、およそ 100 クレジットでした。同種のタスクなら5時間で20本ほど、という計算になります。
立ち上げまでに踏んだ7つの罠
罠1. 知らないモデル名を渡しても、エラーにならず別のモデルが黙って答える
これが最悪でした。/model の一覧には Anthropic のモデル名が残ったままです。そこで「最も難しい仕事向け」と説明されている選択肢を選んでも、エラーになりません。
| 選んだ名前 | 実際に応答したモデル | HTTP |
|---|---|---|
| fable / opus / sonnet / haiku | glm-5.3-flash(最軽量) | 200 |
HTTP 200(成功)で、それらしい返事が返ってきます。 見た目では絶対に気づけません。最難関向けを選んで、いちばん軽いモデルが答えている。
半分は種明かしができます。z.ai の Claude Code 向け公式手順には、ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL / SONNET / HAIKU の既定はいずれも GLM-5.3-Flash と明記されています。3枠を自分で指定しないまま使えば最軽量が答えるのは、隠れた不具合ではなく書いてあるとおりの挙動です。(うちは現在この3枠を明示指定しているので、Opus 枠はきちんと glm-5.3 が答えます。上の表は指定する前に測ったものです。)
それでも罠と呼ぶのは、公式手順が書いていないことが2つ残るからです。
1つめ。対応表に無い名前を投げた時どうなるかは、どこにも書かれていません。 既定表は「設定しなかった場合の対応表」であって、「知らない名前が来た場合」の話ではない。実測では拒否されず落ち、しかも落ち先が日替わりでした。8月26日は claude-opus-5 → glm-4.7、27日は fable → glm-5.3-flash。同じ入力に別の日は別のモデルが答える——これは既定表からは導けません。
2つめ。/model の画面が Anthropic のモデル名を出し続け、選ばせておいて何も警告しません。 設定ファイルを読まずに画面だけ見ている人には、見抜きようがない。
だから落ち先を覚えても仕方がなく、守るべきは「実体名を明示する」の一点だけです。安全に選べるのは、/model で Custom ... model と表示される枠だけ。
罠2. 「turbo」を安いと思い込み、裏方に高いモデルを置いていた
主戦場を安いモデルに、裏方をもっと安いモデルに——と組んだつもりが、逆でした。公開されている価格を見て青くなりました。
| モデル | 入力 $/1M | 出力 $/1M |
|---|---|---|
glm-5.3(フラッグシップ) | 1.400 | 4.400 |
glm-5-turbo | 1.200 | 4.000 |
glm-5.3-flash | 0.075 | 0.250 |
glm-5-turbo の出力は flash の16倍で、フラッグシップとほぼ同額です。「turbo」は速度を指す語で、安さとは無関係でした。
私はこれを「軽量枠」だと思い込んで、目に触れないところで絶えず回る裏方の仕事に割り当てていました。「主戦場は最安・裏方は最高級」という、狙いとちょうど正反対の構成です。
教訓は一行で済みます。モデルの階層は名前(turbo / flash / mini / air)から推測せず、価格表で確かめる。
罠3. 測っていたのは、そもそも送られていない項目だった
今回いちばん語る価値のある失敗です。
思考の深さ(effort)の切り替えが、外部バックエンドでも効くのかを調べました。自分の過去メモに「effort は思考予算 thinking.budget_tokens として送られる」と書いてあったので、その値を振って測った。結果は「効かない」。予算を絞っても数千トークン分を考えるし、思考オフを指定しても思考が返ってくる。
実験の作法は守っていました。効果なしの対照を置き、回数を増やし、ばらつきも見た。それでも結論は逆でした。
結論を書く直前に気づいたんです。Claude Code が実際にその項目を送っているのかを、一度も見ていない。
そこで、接続先を自分のパソコンの中(127.0.0.1)に立てた小さなサーバへ向けました。受け取った中身をファイルに落として、わざとエラーを返すだけのものです。設定を変えて2回起動し、2つのファイルを比べる。
"thinking": {"type": "adaptive"} ← effort を変えても不変
"output_config": {"effort": "low" | "xhigh"} ← ここだけが変わる
測っていたのは、そもそも送られていないフィールドでした。
この方法は、鍵も要らず、外部への送信もゼロ、費用もかかりません。10行ほどのサーバで済みます。「この設定は効くか」を外部 API で測る前に、まず自前の口へ向けて何が送られているかを見る。接続先を環境変数で差し替えられる道具なら、Claude Code に限らず同じ手が使えます。
もっと一般化すると、実験の丁寧さは、前提の正しさを保証しません。 測る対象が本当に主張したい対象なのかを、実験より先に確かめる。丁寧に実験するほど、間違った結論に自信がついてしまいます。
罠4. 使える文脈が 1/5 に縮んでいた
Claude Code は glm-* を自分の知らないモデル名として扱い、安全側に倒して「文脈(一度に読める会話の量)は 200k しかない」と仮定します。その手前で会話を自動的に畳む。ところが実際の窓はずっと広い。
| モデル | 実際の文脈長(公開値) | Claude Code の仮定 |
|---|---|---|
| GLM-5.3 | 1,048,576 | 200,000 |
| GLM-5.3 Flash | 1,310,720 | 200,000 |
使える窓の 1/5 しか使っていませんでした。 長い作業ほど頻繁に会話が畳まれ、そのたびに文脈が痩せます。
面白かったのは、Claude Code 自身が警告文の中に解決策を書いていたことです(「実際の窓の大きさを環境変数で指定してください」と)。それを読まずに、設定画面のほうを探し回っていたんです。
ただし窓を広げれば入力トークンも増えます。つまりクレジットの消費は上がるので、無条件に得ではありません。
罠5. ステータスラインが嘘をついた
長くなるので、すぐ後の節にまとめます。
罠6. HTTP 200 なのに、本文は 404
残高を取ろうとした API が、HTTP 200 を返しながら本文に {"code":404,"msg":"接口不存在"} を入れてきました。ステータスコードだけで判定すると、存在しない口を掴んだまま気づけません。初見の API は本文の成否フィールドまで見る、ということです。
罠7. 手元の DNS が公式サイトを誤ってブロックしていた
契約しようとしたら、そもそも公式サイトが開かない。切り分けたところ、犯人は自宅の DNS フィルタ(Pi-hole)でした。応答の TTL が 2 になっているのが、Pi-hole 自身のブロック応答の印です。
しかも広告ブロックのリストではなく、フィッシング対策のリストに入っていました。SSL 証明書は正規のワイルドカード、ドメイン登録は2017年(フィッシングは使い捨てなので新しいのが普通)——誤検知と判定して通しました。
正直に書いておくと、API のホストのほうは元からブロックされておらず、Claude Code から使う経路には最初から影響がありませんでした。 開けなかったのは契約手続きのための Web 画面だけです。
ステータスラインは2度直した。最後は「残り時間」に落ち着いた
1度目。外部バックエンドで作業している最中も、自作のステータスライン(画面下に出している状態表示)が Claude の残り枠を表示し続けていました。GLM で作業している間、Claude の枠は1トークンも減らないのに。
これは地味に危険です。「枠が減ってきたから作業を移そう」という判断が、事実に基づかないものになる。そこでモデル名で判定して表示を切り替えるようにしました(環境変数はサブプロセスへの継承が保証されないので、判定材料に使えません)。z.ai の残量 API を叩いて 🔌 z.ai W=1% H=4% と実際の残量を出します。
2度目。絶対時刻の表示(🕐 16:32)を消して、残り時間(⏳ 38m)に置き換えました。理由が少し変わっていて、z.ai の Usage 画面は、同じ画面の中で時刻の基準を混在させているんです。
| 画面の表示 | 実際の基準 |
|---|---|
Reset Time: 16:14 | 中国標準時(UTC+8) = 日本時間 17:14 |
Last refresh time: 16:30 | ブラウザのローカル時間(JST) |
片方はサーバー時間、片方は閲覧者の時間。並べて読むと「リセット時刻を過ぎているのに戻らない」という錯覚になります。実際にはまだ来ていないだけ。
対処として選んだのが相対時間でした。残り時間には基準が要りません。 時差のある相手のサービスでも誤読しようがない。
ここで一度、間違った直し方を考えました。「表示を +1時間して補正する」。これは誤りです。うちのスクリプトは元から epoch(数値の時刻)から日本時間に正しく直していて、ずれていたのは z.ai の画面だけ。補正したら、正しかった側が壊れます。食い違ったら、表示文字列ではなく epoch まで降りて判定する。
立ち上げた後:effort は効く。ただし相談役は上位枠にならない
/effort は z.ai でも効く(軽量モデルで約4.3倍)
2026年8月27日、glm-5.3-flash に同じ難問を投げて、送信内容のうち effort だけを変えて各4回。数値は返ってきた思考ブロックの文字数です。
| effort | 実測値 | 中央値 |
|---|---|---|
| low | 2,960 / 3,566 / 4,291 / 12,132 | 3,928 |
| xhigh | 14,915 / 14,957 / 19,080 / 33,046 | 17,018 |
中央値で約4.3倍。しかも範囲が一度も重なりません(low の最大 12,132 < xhigh の最小 14,915)。偶然にこう並ぶ確率は約1.4%(70回に1回)で、ばらつきでは説明できない差です。
ただし、測ったのは軽量モデル1本だけです。フラッグシップ側(glm-5.3)は未測定で、「全モデルで確認済み」とは言えません。
なお effort は「天井」であって「目標」ではありません。 易しい課題では上げても消費は増えず、難所でだけ天井まで使う。ですから常時 xhigh の不利益は思うより小さい——ただし、難所を連続で回す日は4倍が現実に効いてきます。
effort はモデル別に固定できる
これは実測して分かった、かなり便利な話です。~/.claude/settings.json の modelSettings.<モデル名>.effortLevel で、モデルごとに思考の深さを固定できます(グローバル既定よりモデル別の指定が勝ちます)。
うちの割り当て:
| 枠 | 実体のモデル | effort | 用途 |
|---|---|---|---|
| Sonnet(既定)+ Haiku | glm-5.3-flash | medium | 主戦場・裏方 |
| Opus | glm-5.3 | xhigh | 難所・設計 |
こうしておくと、/model の切り替えがそのまま「思考の深さ」の切り替えになります。
節約のつもりで触ると、本物の Claude まで浅くなる設定がある
ここが最大の地雷です。同じ settings.json の中でも、model / グローバルの effortLevel / modelOverrides は本物の Claude セッションと共用です。「GLM のクレジットを節約したいから」とここを下げると、通常の Claude での作業まで浅くなります。触ってはいけません。
安全なのは、GLM のモデル名をキーにした modelSettings だけ。本物の Claude はそのキーを参照しないので、影響が出ません。この区別を取り違えると、節約のつもりで本番の設定を壊します。
Plan mode は「深く考える」ではなく「書き込まない」モード
これも実測しました。「計画モード」に入っても、送られるモデル名は主戦場のまま変わりません。Plan mode は「深く考えるモード」ではなく「書き込まないモード」です。
つまり既定のままだと、いちばん軽いモデルが設計を担当します。難所の設計をさせたいなら、Plan に入る前に /model で上位枠へ切り替えてください。effort は Plan mode でもそのまま引き継がれます。
相談役(advisor)が、自分と同格以下の自分に相談していた
Claude Code には格上のモデルへ相談する機能があります。うちの設定値は文字列で opus。ところが、この文字列は枠のエイリアス(別名の対応づけ)を経ずに、そのまま接続先へ渡ります。
実測した落ち先は glm-5.3-flash(8月27日)、glm-4.7(8月26日)。つまり——GLM が、自分と同格かそれ以下の自分自身に相談しているわけです。上位枠には決してなりません。
気づいたあとは、起動時に画面へ警告を出すようにしました。一般化すると、セッションの頭脳を差し替えたら、「モデルを名指ししている設定」を全部洗うということです。ステータスラインも同じ型の不整合でした。
サブエージェント(別プロセスで働かせる役)も同型のはずです。「最難関向け」の枠を指名している設計役は、対応する枠が向こうに無いので最軽量へ落ちる公算が高い。ただし、これは推定で、まだ実測していません。
移行を考えている人へ:速度と、逃げ道の話
GLM のほうが速い。それでも待たされるのは思考量のせい
速度の話は、順番を間違えないように書きます。
まず事実から。第三者の計測(Artificial Analysis)では、GLM-5.3 が 86.5 tok/s、Claude Opus 5(xhigh)が 53.3 tok/s。GLM のほうが速いという結果です。
次に説明。それでも待たされる場面があるのは、思考量のためです。xhigh の思考は low の約4.3倍。1秒あたりが速くても、4倍考えれば終わるまでは遅い。
最後に体感。そのうえで「少し遅いな」という印象は残ります。ただし、これは体感であって、実測していません。 回線の距離や、最初の1文字が返るまでの待ち時間も効いている可能性はありますが、仮説の域を出ていません。
移す前に知っておきたいこと
glm-5.3-flashは画像入力に対応しています。 ネイティブのマルチモーダルで、文脈長も先ほどの表のとおり広いままです。スクリーンショットを貼って相談する使い方は、そのまま生きます- 公式 API 側の effort は low / high / max の3段(既定 max)です。Claude Code 側の5段(low〜max)がどう対応づけられるかは公表されていません
- Coding Plan のキーは「対応ツール専用」です。 利用規約に「公式サポート対象ツールの中でのみ使用可」「非対応ツールでの使用は特典の制限対象」「違反が3回を超えるアカウントは BAN されることがある」と明記されています。ゲートウェイに挿して自作アプリやバッチに回すのは白ではありません。汎用に使いたければ、Coding Plan とは別に従量課金の API キーを取ってください
- 主力を全部寄せない。逃げ道を残す。 前に書いたとおり、Claude Code の更新で突然壊れる可能性が公式に明記されています。壊れた日に仕事が止まらない構成にしておくこと
最後の逃げ道について、私の場合は Alibaba を緊急避難先に想定して、起動用のシェル関数だけ用意してあります。が、契約はまだしていないので、いまのところ絵に描いた餅です。逃げ道は用意した時点ではなく、通れると確かめた時点で逃げ道になります。
1ヶ月、この構成で回して続編で答えを出す
Max 20x から、Max 5x + ChatGPT Plus + GLM Coding Plan Lite の $138 へ。1ヶ月これで回します。
測るのは月額ではありません。仕事1本あたりのコストと、実際に枠が枯れるかどうかです。「単位が互換でないから比較しない」と書いたのは、裏を返せば共通の物差しを自分で作るしかない、ということでもあります。同じ課題を同じ手順で回して、両方の消費を並べる。それが1ヶ月分たまれば、ようやく「何を失って安くなったのか」が言えるはずです。
結果は続編で書きます。
出典
- Anthropic「Legal and compliance」
- Anthropic「Other LLM gateways」
- z.ai DevPack 概要(プラン・クレジット・対応ツール)
- z.ai DevPack 利用規約
- z.ai DevPack: Claude Code 向け公式手順
- z.ai GLM-5.3 モデルガイド(reasoning_effort・文脈長)
- z.ai GLM-5.3-Flash モデルガイド(画像入力)
- Alibaba Cloud Model Studio: Claude Code 接続手順
- Alibaba Cloud Model Studio: Coding Plan 概要(価格・対話利用限定の規約)
- Alibaba Cloud Model Studio: Token Plan 概要(価格・7日枠)
- OpenAI ChatGPT 料金(Plus に Codex が含まれる)
- Artificial Analysis: GLM-5.3 vs Claude Opus 5 (xhigh)
- Gemini CLI 利用規約・プライバシー
検証日・環境
- 検証日: 2026年8月26日〜8月27日
- 環境: Claude Code(バージョン 2.1.247)+ z.ai GLM Coding Plan Lite(月払い)
- 価格・モデル価格は 2026年8月27日時点の公開値。OpenRouter 公開価格を参照した箇所は、z.ai の Coding Plan(クレジット制)での消費比率と同一とは限りません
この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
関連記事
Claude Code の /effort 完全ガイド|low〜maxの使い分けと『コストが増える本当の理由』
Claude Code の /effort(low〜max・ultracode・auto)は「賢さ」ではなく「トークンの気前よさ」のレバー。モデル別の推奨スタートと、Opus 4.8 でコストが増えた気がする原因を『トークナイザ』と『effort』の2軸に切り分ける考え方を、公式一次情報と v2.1.156 の実機確認で解説します。
Anthropicリーク2連発:Claude MythosとClaude Code流出で見えたKAIROS、BUDDY、Undercover Modeの正体
Anthropicの2週間で2回のリークを整理。Claude Mythosの位置づけ、Claude Code流出の中身、KAIROS/BUDDY/Undercover Modeの意味を分けて読む。
effort を途中で変えるとキャッシュはどうなる? Fable 5.1 と Opus 5 で実測した
Fable 5.1 の値下げはキャッシュ読みだけ。Claude Code が TTL を決める仕組み、キャッシュを壊す操作と壊さない操作、effort 切替時の再書き込みを Fable 5.1 と Opus 5 の usage で実測しました。
Sonnet 5.5 xhighは買いか、Claude Opus 5.5 mediumが得か
Claude Sonnet 5.5のeffort別実測と公式指針を整理。Sonnet 5からの破壊的変更、Opus 5.5との費用差、mediumの使いどころを解説します。
META-MARK × AI
ローカルAIを動かすGPU、ちゃんと選べていますか?
VRAM・性能・コスパをMetaScoreで数値化。AIアプリ別の推奨ハードウェア要件も確認できます。
PR広告:開発環境・キャリアまわりのサービス