結論、RTX 3070 の買い替え先は RTX 5070 から——RTX 5060 Ti は 11% 差、RTX 4060 Ti はむしろ遅い
合成ベンチでは横並びに見えるRTX 3070・4060 Ti・5060 Tiを、1440p実ゲーム相対性能と消費電力で比較します。
こんにちは。夏のあいだ回し続けたグラフィックボードを、ふと見直したくなる時期ですね。
RTX 3070 を使い続けていて「そろそろ古いけれど、6〜10万円を出してゲーム中に違いが分からなかったら嫌だ」と迷っているなら、買い替え先は RTX 5070 を基準に考えると判断しやすくなります。TechPowerUp(海外の有名なハードウェアレビューサイト)の 1440p・ラスタライズ・25本平均で、RTX 3070 を 100 とすると、RTX 4060 Ti は 97〜98、RTX 5060 Ti 16GB は 112、RTX 5070 は 153 でした。
つまり、速さを求めて RTX 4060 Ti に替える意味はありません。RTX 5060 Ti 16GB は電力と VRAM(グラフィックボード専用のメモリ)には意味がありますが、描画の速さの差は 11.2% にとどまります。ゲームで「世代が変わった」とはっきり感じたいなら、RTX 5070 からが一つの線引きになります。
ベンチマークの点数では横並びでも、実際のゲームでは順位が入れ替わる
META-MARK の DB に登録している PassMark G3D(グラフィック性能を点数で測る合成ベンチマーク)は、RTX 3070 が 22,077、RTX 4060 Ti が 22,597、RTX 5060 Ti 16GB が 22,616 です。点数だけ見ると、3枚はほぼ同じところに並びます。
ただ、PassMark の点数はゲームの平均フレームレートそのものではありません。TechPowerUp が実際のゲームで測った結果では、RTX 4060 Ti は 16GB 版で約2%、8GB 版で約3%、どちらも RTX 3070 より遅くなっています。そして RTX 5060 Ti 16GB は RTX 4060 Ti より 14.2% 速い。合成ベンチで見えた順番が、実際のゲームでは入れ替わるわけです。

合成ベンチでは同点に見える3枚が、実ゲームでは順位を変える(右側は RTX 3070 を100とした換算値)
もとにしたのは、ASUS GeForce RTX 5060 Ti TUF OC 16GB を 100% とした TechPowerUp の相対性能表です。そこにある RTX 3070 の 86 を 100 と置き直して、私が換算しました。下の表の「RTX 3070=100換算」の列は元表の数字そのものではなく、自前の計算による比較値です。
| GPU | TechPowerUp元表 | RTX 3070=100換算 | VRAM |
|---|---|---|---|
| RTX 5070 | 132% | 153 | 12GB |
| RTX 5060 Ti 16GB | 96% | 112 | 16GB |
| RTX 3070 | 86% | 100 | 8GB |
| RTX 4060 Ti 16GB | 84% | 98 | 16GB |
| RTX 4060 Ti 8GB | 83% | 97 | 8GB |
| RTX 3080 | 112% | 130 | 10GB |
RTX 4060 Ti は、RTX 3070 からの乗り換え先になりにくい
META-MARK の DB に登録している RTX 4060 Ti は 8GB 版で、PassMark の点数は RTX 3070 より 2.4% 高く出ています。ところが TechPowerUp の 1440p 実ゲーム平均では、8GB 版が約3%、16GB 版が約2%、どちらも RTX 3070 を下回ります。世代は新しく、16GB 版なら VRAM も増えますが、「3070 から替えてゲームを速くしたい」という目的には合いません。
META-MARK の掲載価格は、RTX 3070 が 28,000円、RTX 4060 Ti が 67,000円です(どちらも掲載価格ベースで変動します)。なお RTX 3070 は価格の履歴が 0件で、28,000円が新品か中古かは確認できていません。なので、この数字を中古相場として読むことはできません。
差額を払っても、実際のゲームの平均性能が上がるとは限らない。スペック表だけを眺めていると、ここは見落としやすいところだと思います。それでも 4060 Ti を選ぶ理由があるとすれば、速さではなく、買うときの値段、消費電力、16GB の VRAM といった別の条件になります。
RTX 5060 Ti 16GB は、速さより 54W の差と VRAM で選ぶカード
RTX 5060 Ti 16GB は、1440p の25本平均で RTX 3070 より 11.2% 速い結果でした。ただしゲームごとに見ると幅があり、Monster Hunter Wilds では最大 25.7% 速い一方、Counter-Strike 2 では逆に RTX 3070 が 1.6% 速くなっています。平均は全体の傾向を示すだけで、遊ぶゲームによっては差がほとんど消えることもあります。
消費電力は、ゲーム中のカード単体の実測で RTX 3070 が 220W、RTX 5060 Ti 16GB が 166W です。差は 54W。メーカーの公称値(TDP)ではなく、TechPowerUp が実際に測った値です。16GB の VRAM と合わせて、速さ以外の乗り換え理由はここにあります。
では 54W の差が電気代でいくらになるか。目安単価を 31円/kWh、ゲームを1日2時間、年365日として、カード単体の差を計算するとこうなります。
0.054kW × 2時間 × 365日 × 31円/kWh = 約1,221円/年
これは GPU だけの差で、PC 全体の消費電力や、ご自宅の実際の契約単価は入っていません。電気代だけで数年のうちに買い替え費用を取り戻せる差ではないので、静かさや電源容量の余裕も含めて考えるための数字だと思ってください。
RTX 5060 Ti 16GB の META-MARK 掲載価格は 85,980円です。速さだけで見ると、約8.6万円を払って 11.2% の上乗せにとどまります。いまの RTX 3070 で VRAM 不足や消費電力の悩みが出ていないなら、急いで替える理由としては弱いでしょう。
RTX 5070 なら、買い替えではっきり差が出る
RTX 5070 は、TechPowerUp の 1440p・25本平均で RTX 3070 の 153 相当です。RTX 3070 より 53% 上なので、同じ設定・同じ解像度のまま描画の速さを上げたいなら、5060 Ti よりもこちらのほうが買い替えの目的に合います。
その代わり、ゲーム中のカード単体の消費電力は 229W で、RTX 3070 の 220W より 9W 増えます。性能は大きく伸びますが、5060 Ti のような省電力にはなりません。電源やケースの中の排熱に余裕があるかは、値段を見る前に確かめておきたいところです。
VRAM は 12GB で、RTX 3070 の 8GB から 4GB 増えます。増えはしますが、16GB ではありません。高解像度のテクスチャや、この先のゲームの重い設定まで見据えて VRAM の量を最優先するなら、153 という性能の数字だけでは解決しないこともあります。
META-MARK の掲載価格は RTX 5070 が 103,980円です。掲載価格ベースで変動がありますし、RTX 3070 の 28,000円も含めて、売ったときの値段や中古相場を表すものではありません。10万円前後を出して、1440p のフレームレートを大きく引き上げる買い物、という位置づけになります。
フレーム生成込みの数字は、この比較に混ぜない
ここまでの比較は、TechPowerUp のラスタライズ性能(AI でフレームを足さない、素の描画性能)です。DLSS 4 の Multi Frame Generation(AI が間のフレームを作って表示枚数を増やす機能)を含んだ結果ではありません。この機能は 40/50 シリーズのもので RTX 3070 では使えないため、生成フレーム込みの数字と素の描画性能を同じ表に並べると、買い替えの効果を大きく見積もりすぎてしまいます。
RTX 3070 から 5070 へ移るときに最初に見るべきなのは、同じゲーム設定での素の描画性能です。追加機能を使った数字は、その機能込みの測定だと明記された別の比較として扱う必要があります。
私見: 買い替えない判断も、いまなら十分にありです
迷うとしたら、たぶん「約8.6万円の RTX 5060 Ti 16GB で、小さな速さの向上と省電力を取るか。約10.4万円の RTX 5070 まで出して、大きな差を取るか」の二択だと思います。RTX 4060 Ti は、その間を埋める候補にはなっていません。
私なら、RTX 3070 で遊びたいゲームが 1440p で実用的に動いていて、8GB の VRAM で具体的に詰まる場面も出ていないなら、買い替えません。5060 Ti 16GB が悪いカードだという話ではなく、替える理由が性能ではなく、VRAM と 54W の電力差に変わってしまうからです。
反対に、1440p で設定を落としてもフレームレート不足がはっきり出ているなら、5060 Ti をはさまずに RTX 5070 を比べる相手にします。RTX 3070 は 2020年10月29日の発売で、META-MARK DB でも販売終了(lifecycle=eol)の扱いです。それでも、古いという事実だけで替える必要はありません。実際のゲームで困っているか、替えたあとに何が変わるか。線を引くならそこだと思います。
買う前に確かめたい数字
- 1440p のラスタライズ性能:RTX 3070=100 に対し、5060 Ti 16GB は 112、RTX 5070 は 153
- ゲーム中のカード単体の実測電力:RTX 3070 は 220W、5060 Ti 16GB は 166W、RTX 5070 は 229W
- 価格:META-MARK の掲載価格ベースで 5060 Ti 16GB は 85,980円、RTX 5070 は 103,980円。相場ではなく、変動する参考値
- 追加機能:DLSS 4 Multi Frame Generation 込みの結果は、今回の素の描画性能の比較とは別に扱う
- RTX 5070 へ替えるなら:1440p で本当にフレームレートが足りていないか、電源とケース内の排熱に余裕があるか、12GB の VRAM で足りるか
平均の数字をそのまま当てはめないために
この判断は、TechPowerUp の ASUS RTX 5060 Ti TUF OC 16GB レビューにある、2560×1440・25本平均の相対性能を基準にしています。ゲームのタイトル、画質設定、CPU、ドライバー、カードごとの冷却の作りが変われば、個々の差も変わります。
RTX 5060 Ti と RTX 3070 の直接比較でも、平均は 11.2% 差でしたが、Monster Hunter Wilds では 25.7% 差、Counter-Strike 2 では RTX 3070 が 1.6% 速い、という幅がありました。平均の数字を、ご自分が遊ぶ1本のゲームにそのまま置き換えないでください。
また、DB では RTX 3070 と RTX 4060 Ti の Cyberpunk の FPS がどちらも 48 で登録されていますが、この値は使っていません。別のカードがまったく同じ値になっている時点で、比べる根拠としては信頼しにくいと判断したためです。
数字の出どころ
TechPowerUp「ASUS GeForce RTX 5060 Ti TUF OC 16 GB Review」の相対性能表と、同じレビュー内の RTX 5060 Ti 対 RTX 3070 のラスタライズ比較、ゲーム中のカード単体の消費電力を確認しました。相対性能表は ASUS RTX 5060 Ti TUF 16GB を 100% とした値で、RTX 3070=100 の値はそこから計算しています。
価格、PassMark G3D、VRAM、製品の販売状況は、2026年9月12日に META-MARK DB の登録値を確認しました。手元に実機はないので、私自身がゲームや電力を測った結果ではありません。
出典
- TechPowerUp, "ASUS GeForce RTX 5060 Ti TUF OC 16 GB Review"(2026-04-16): https://www.techpowerup.com/review/asus-geforce-rtx-5060-ti-tuf-16-gb/33.html
- TechPowerUp, "Perf vs 4070, 4060 Ti, 7700X, 3070": https://www.techpowerup.com/review/asus-geforce-rtx-5060-ti-tuf-16-gb/34.html
- TechPowerUp, "Power Consumption": https://www.techpowerup.com/review/asus-geforce-rtx-5060-ti-tuf-16-gb/42.html
- 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」: https://www.eftc.or.jp/qa/
- META-MARK products / gpu_specs登録値(2026-09-12確認)
参考リンク
- この4枚を並べて見る(RTX 3070 / RTX 4060 Ti / RTX 5060 Ti 16GB / RTX 5070)
- META-MARK: GeForce RTX 3070 の製品ページ
- META-MARK: GeForce RTX 5070 の製品ページ
- META-MARK: GPUランキング
- META-MARK: ブログ記事一覧
この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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