Fable 5とSonnet 5をArtificial Analysisの知能指数・タスク単価・出力量で比較。料金5倍の差を実務の判断材料に落とし込みます。
Claude Fable 5の入力・出力単価は、Sonnet 5の5倍です。単価表だけを見ると、Sonnet 5はかなり妥協した廉価版に見えます。ところが、Artificial Analysisの実測では、知能指数の差は60対53の7点、タスク単価の差は$2.75対$1.53でした。
つまり、単価表の5倍差は、実際のタスク処理では約1.8倍差まで縮みます。理由は、Sonnet 5が安い代わりに大量の出力トークンを使うからです。
今回の実測に照らすと、日常のClaude CodeやAPI処理をすべてFable 5に寄せるより、Sonnet 5を標準にして、失敗コストの高い設計や難問だけFable 5へ渡すほうが合理的です。
Artificial Analysisが2026年7月11日に保存したモデルページでは、Claude Fable 5のトークン単価は入力$10.00、出力$50.00です。Sonnet 5は入力$2.00、出力$10.00なので、どちらもFable 5の5分の1です。ここまでは、公式の価格表を見たときの印象と一致します。
しかし、同じページの「Cost per Task」は、Fable 5が$2.75、Sonnet 5が$1.53でした。Cost per Taskは、Intelligence Indexの評価タスクを処理するために実際にかかった加重平均コストです。Sonnet 5はFable 5より44%安く、逆に言えば、Fable 5はSonnet 5の約1.8倍のタスク単価です。
| モデル | Intelligence Index | 入力 / 出力単価(100万トークン) | Cost per Task |
|---|---|---|---|
| Claude Fable 5 | 60 | $10.00 / $50.00 | $2.75 |
| Claude Opus 4.8 | 56 | $5.00 / $25.00 | $1.80 |
| Claude Sonnet 5 | 53 | $2.00 / $10.00 | $1.53 |
ここで注意したいのは、Cost per Taskが「同じプロンプトを1回投げたときの固定料金」ではないことです。評価タスクごとの出力長や処理内容を含んだ平均なので、短い質問を数回投げる場合と、コードベース全体を調べさせる場合では、手元の請求額は変わります。
それでも、単価表だけでは見えないモデルごとの仕事量を含めて比較できる点に意味があります。
同じ散布図(横軸: タスク単価、縦軸: Intelligence Index)で3モデルの位置を見ると、価格帯の広がりがより具体的にわかります。
散布図の最右端、Intelligence Index 60の頂点に立つのがFable 5。タスク単価は2.75ドルと比較対象の中で最も高い(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/claude-fable-5)
FableとSonnetのちょうど間に入るのがOpus 4.8。Intelligence Index 56をタスク単価1.80ドルで実現する中間解です(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/claude-opus-4-8)
Sonnet 5のタスク単価は1.53ドル。Fableの56%のコストでIntelligence Index 53(Fable比88%)まで届く(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/claude-sonnet-5)
迷うとしたら、「5倍安いSonnet 5で十分なのか、それとも1.8倍の追加コストを払ってFable 5の手戻り回避を買うのか」という一点です。比較すべき数字は、トークン単価だけではありません。
Artificial AnalysisのIntelligence Indexでは、Fable 5が60で、比較対象188モデル中1位でした。Opus 4.8は56で5位、Sonnet 5は53で11位です。Fable 5とSonnet 5の差は7点で、Sonnet 5がFable 5の約88%という単純な比率になります。
この差は、すべての作業で同じように現れるわけではありません。文章の要約、既存コードの小さな修正、定型的なテスト追加では、7点の差がそのまま目に見える品質差になるとは限りません。
一方で、複数ファイルにまたがる設計変更、曖昧な要件からの実装方針決定、失敗原因の切り分けでは、最初の仮説が外れたときの手戻りが増えます。
このベンチマークの数値は、Anthropic公式の発表値ではありません。Artificial Analysisが独自に計測して掲載した第三者データです。Intelligence Indexの順位を、そのまま自分のリポジトリでの成功率や開発速度と読み替えることもできません。比較材料として使い、最終判断は自分のタスクで確認する必要があります。
Fable 5の設定には「Adaptive Reasoning, Max Effort, Opus 4.8 Fallback」が含まれています。モデル名だけでなく、推論設定とフォールバック条件も込みの計測です。この条件を外したFable 5を使えば、同じ60になるとは限りません。
ここを無視すると、APIで再現しようとしたときに数字と体感がずれます。
タスク単価の差が5倍から1.8倍に縮む主因は、Sonnet 5の出力トークン数です。Intelligence Indexの評価中に生成された出力は、Fable 5が87Mトークン、Opus 4.8が120Mトークン、Sonnet 5が300Mトークンでした。比較モデルの中央値は60Mトークンなので、Sonnet 5は中央値の5倍に達しています。
入力単価が安くても、出力が長ければ請求額は積み上がります。Sonnet 5は出力単価がFable 5の5分の1ですが、評価中の出力量はFable 5の約3.4倍です。単純化すれば、安い出力単価を大量生成で相殺する構造です。
実務でも、Sonnet 5が毎回長い計画を出してからコードを書き始めるなら、安さは見かけほど大きくありません。ログ、調査メモ、修正案をすべて出力させる使い方では、トークン単価より「1タスクを終えるまで何トークン使ったか」を見るべきです。
一方で、出力が長いことが常に悪いわけではありません。調査過程を残したい場合や、レビュー用に判断理由を確認したい場合は、冗長さが役立つ場面もあります。
問題は、短い修正で済むタスクにも同じ出力習慣が適用されることです。
ClaudeファミリーをFable 5とSonnet 5だけで見ると、「高い最上位か、安い主力か」の二択になります。Opus 4.8を入れると、その間に実測上の選択肢が現れます。
Opus 4.8はIntelligence Indexが56で、Fable 5の60に4点届きません。Cost per Taskは$1.80で、Sonnet 5の$1.53より$0.27高い一方、Fable 5の$2.75より$0.95安い位置です。出力トークンも120Mで、Sonnet 5の300Mほど膨らんでいません。
出力速度はSonnet 5が79.0 tokens/s、Fable 5とOpus 4.8が57.7 tokens/sでした。Fable 5とOpus 4.8が同値なのは、Fable 5の計測条件にOpus 4.8 Fallbackが含まれていることと整合します。
ただし、速度の数字だけで待ち時間を断定することはできません。入力長、推論待ち、ツール呼び出し、再試行が実際の体感時間を左右します。
Opus 4.8は、Sonnet 5では調査や設計の詰めが甘くなりやすいが、Fable 5ほどの最上位コストは避けたいタスクに置きやすいモデルです。Fable 5の代用品と断定するより、三段階のルーティングに組み込む中間層として見るほうが、実測値には忠実です。
なお、Claude Haiku 4.5はIntelligence Index 24、入力$1.00・出力$5.00ですが、Non-reasoning計測です。今回のFable 5、Opus 4.8、Sonnet 5はAdaptive ReasoningのMax Effort条件で揃えられているため、Haiku 4.5を同じ散布図上の廉価な比較対象として扱うことはできません。
日常の実装、既存コードの説明、単純なリファクタリング、テストのたたき台では、Sonnet 5を標準にする判断が合理的です。タスク単価が最も低く、出力速度も79.0 tokens/sで、Fable 5とOpus 4.8の57.7 tokens/sを上回っています。
多少長く出力しても、短時間で確認して次へ進める作業なら差を吸収できます。
ただし、Sonnet 5に長い調査をさせてから人間が修正する運用では、出力トークンとレビュー時間の両方が増える可能性があります。特に、コード変更の範囲を誤るとデータ移行や公開APIに影響するタスクでは、モデル料金の差より手戻りの人件費が大きくなります。
実装の入口で、次のように分けると運用しやすくなります。
この切り替えは、最初からモデルを決め打ちするより、タスクの途中で必要な知能量を見直す発想です。
Claude Codeであれば、リポジトリ全体の理解を毎回Fable 5に担わせるのではなく、調査と実装の境界、レビュー前の最終確認といった失敗コストの高い地点に上位モデルを置くほうが、請求額を管理しやすくなります。
GPT-5.6についても、effort別の実測やタスク単価の読み方を別記事で扱っています。モデルの表示価格ではなく、1タスクを完了するまでの推論量を見るという考え方は、Claudeの比較にもそのまま使えます。内部リンクを設置する場合は、公開済みの「GPT-5.6 reasoning effort実測ガイド」と接続すると重複を避けられます。
私がFable 5を常用するなら、「Intelligence Indexが1位だから」という理由にはしません。60と53の7点差が、毎回の小さなコード修正で7点分の価値になるとは限らないからです。
Fable 5に追加で払う意味が出るのは、設計を一度外すと、その後の修正案やテストまで連鎖して作り直す場面です。モデルの出力を読み直し、誤った前提を取り除き、別の方針で再実装する時間まで含めると、タスク単価の$1.22差は判断材料の一部にすぎません。
逆に、失敗しても数分で戻せる作業なら、Fable 5の追加料金を払う理由は薄くなります。
私なら、まずSonnet 5で処理し、次のどれかが起きた時点でOpus 4.8かFable 5へ切り替えます。要求の解釈が複数に割れる、変更範囲が広がる、同じエラーを2回以上繰り返す、またはレビューで設計根拠を説明できない。
この基準なら、モデルの威信ではなく、失敗の兆候をトリガーにできます。
Fable 5は「何でも5倍払うモデル」ではありません。単価表の差が大きいからこそ、使う場所を限定したときに価値が見えます。
日常タスクをSonnet 5、判断が重い中間タスクをOpus 4.8、手戻りが許されない難問をFable 5という分担が、今回の第三者実測から導ける現実的な配置です。
本記事で使った数値は、2026年7月11日に確認したArtificial Analysisの保存WebページにあるHTMLテキストノードと数値ラベルを参照しています。散布図はモデル間の位置関係を確認する補助資料として扱い、本文の断定数値はページ内テキストで確認できた値に限定しました。
比較条件を見返すための要点は次の通りです。
請求額を自分の環境で確かめるときは、同じタスクを各モデルに複数回実行し、入力トークン、出力トークン、ツール呼び出し回数、再試行回数を分けて記録してください。1回だけの成功例では、Sonnet 5の冗長さもFable 5の手戻り回避効果も見えません。
モデルの表示単価ではなく、作業が終わるまでに何を使ったかを測ることが、5倍差を正しく読み替える近道です。
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