GPT-5.6のeffort、maxにすると何倍遅い?実測で見る使い分け
GPT-5.6 Sol/Terra/LunaのreasoningエフォートをArtificial Analysisの第三者実測データで比較。effortを上げるとIntelligence Index・TTFT・価格がどう変わるかを出典付きチャートで確認し、用途別の使い分け判断基準を整理します。
GPT-5.6 Sol/Terra/LunaはNon-reasoningからmaxまで最大6段階のreasoning effortを持つ。第三者ベンチ機関Artificial Analysisの実測では、effortを上げるほどIntelligence Indexは伸びるが上位ほど頭打ちになり、TTFT(応答が始まるまでの待ち時間)はSolでlowからmaxまで約88倍に跳ね上がる。価格は同一モデル内ではeffortに関わらず固定で、コスト増の正体は出力トークン数の増加。用途別に「低effortで十分な作業」と「高effortが必須な作業」を切り分けて使い分けるのが正解。
GPT-5.6 が公開されて、Sol・Terra・Lunaという3モデル体制と、新しく追加された「max」effortが話題になっています。
正直なところ、最初は私も「困ったらmaxにしておけばいい」と思っていました。でも実際にArtificial Analysisの実測データを並べてみると、それが必ずしも正解ではないと気づきました。effortを上げるほど賢くなるのは事実ですが、その伸びは上位に行くほど頭打ちになり、代わりに待ち時間が指数関数的に伸びていくからです。
この記事では、OpenAI公式の位置づけ説明と、Artificial Analysisという第三者ベンチ機関の実測チャート(一次情報として保存したページから出典付きで引用)を突き合わせ、「effortをどこまで上げるべきか」の判断材料を整理します。ポイントは、公式発表だけでは分からない「上げた分だけ何が起きるのか」を具体的な数字で見ることです。
GPT-5.6の位置づけ — Sol/Terra/Lunaと新Effort「max」
OpenAIは2026年7月9日、GPT-5.6ファミリーとして3モデルを発表しました(OpenAI公式発表、2026-07-11確認)。
- Sol — フラグシップ。ソフトウェアエンジニアリング・科学研究・高度な推論・複雑な問題解決など高負荷タスク向け
- Terra — バランス型。日常業務でケイパビリティ・速度・コストのバランスを取ったモデル
- Luna — GPT-5.6ファミリー中最速・最安
価格(1Mトークンあたり、入力/出力)はLuna $1/$6、Terra $2.50/$15、Sol $5/$30。この価格はEffortレベルに関わらず同一モデル内では固定です。Luna の価格はOpenRouterのモデルページでも同じ数値(入力$1/1M・出力$6/1M)を確認できます。
Solは Medium/High/Extra High の reasoning effort をChatGPT対象プランで提供し、GPT-5.6では新たに「max」effortが追加されました。Solに最も長い思考時間を与える設定です。さらにSol専用の新オペレーティングモード「ultra」は、1回のモデル呼び出しでタスクを分解し並列サブエージェントプロセスを生成して同時処理する仕組みとして紹介されています(実測データが今回の素材に含まれないため、機能紹介のみに留めます)。
確定データ — Effortレベル別の実測値
以下はOpenAIの公式発表値ではなく、第三者ベンチ機関Artificial Analysisが自ら計測した実測値です(保存日時2026-07-10、Artificial Analysis)。
| モデル | Effort | Intelligence Index | Output Speed (t/s) | TTFT (秒) | 入力$/1M | 出力$/1M |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Luna | Non-reasoning | 27 | 210.9 | 0.73 | $1.00 | $6.00 |
| Luna | low | 33 | 227.4 | 1.15 | $1.00 | $6.00 |
| Luna | medium | 38 | 196.4 | 1.80 | $1.00 | $6.00 |
| Luna | xhigh | 49 | 185.2 | 25.11 | $1.00 | $6.00 |
| Luna | max | 51 | 204.4 | 99.97 | $1.00 | $6.00 |
| Sol | Non-reasoning | 41 | 記載なし | 記載なし | $5.00 | $30.00 |
| Sol | low | 49 | 67.1 | 2.21 | $5.00 | $30.00 |
| Sol | medium | 54 | 欠損 | 欠損 | $5.00※ | $30.00※ |
| Sol | high | 56 | 73.0 | 7.00 | $5.00 | $30.00 |
| Sol | xhigh | 58 | 70.8 | 42.65 | $5.00 | $30.00 |
| Sol | max | 59 | 78.0 | 195.05 | $5.00 | $30.00 |
| Terra | Non-reasoning | 34 | 131.8 | 0.74 | $2.50 | $15.00 |
| Terra | low | 40 | 135.0 | 1.37 | $2.50 | $15.00 |
| Terra | medium | 46 | 138.8 | 1.87 | $2.50 | $15.00 |
| Terra | high | 49 | 121.5 | 2.07 | $2.50 | $15.00 |
| Terra | xhigh | 52 | 142.1 | 27.55 | $2.50 | $15.00 |
| Terra | max | 55 | 144.1 | 139.28 | $2.50 | $15.00 |
※Sol (medium) の価格は直接確認できていません。Solの他5段階が全て$5.00/$30.00で統一されているため、同一パターンからの推定値として記載しています(実測ではない点に注意)。コンテキストウィンドウは全モデル・全effortレベル共通で1.0Mトークンです。
実際にSolのeffort差を散布図で見ると、こうなります。
Sol(low effort)はタスク単価約0.2ドルでIntelligence Index約50の位置にある(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/gpt-5-6-sol-low)
同じSolでもmax effortではタスク単価が約1ドルまで上昇し、Intelligence Indexも約59まで伸びる(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/gpt-5-6-sol)
同じSolというモデルなのに、low effortとmax effortでタスク単価が約5倍違う位置に散らばっているのが分かります。
読み取れること — Effortを上げるとどうなるか
確定データの表を並べて眺めると、ポイントは次の3つに整理できます。
- Intelligence Indexの伸びは上位ほど頭打ちになる。Terraで見るとlow40→medium46→high49→xhigh52→max55と、上に行くほど1段階あたりの伸び幅が小さくなっています。
- TTFT(初回トークンまでの待ち時間)はeffortを上げるほど劇的に増える。Solはlow 2.21秒からmax 195.05秒まで、約88倍に跳ね上がります。「思考時間」を長く取る代償が、この待ち時間の伸びに直結しています。
- 価格はeffortレベルに関わらず同一モデル内では固定。コスト増の正体は単価ではなく、出力トークン数(Solのhighでは約21M、maxでは約70M)の増加から来ています。
他モデルとの相対位置を、Intelligence Indexのランキング棒グラフで確認してみます。
Intelligence Indexランキングでは、Sol(high)が56点で上位に位置する(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/gpt-5-6-sol-high)
最速・最安のLuna(Non-reasoning)はタスク単価約0.06ドルの最左に位置する(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/gpt-5-6-luna-non-reasoning)
同じランキングでバランス型のTerra(medium)を見ると46点の位置にある(出典: Artificial Analysis https://artificialanalysis.ai/models/gpt-5-6-terra-medium)
Luna(Non-reasoning)が最左のタスク単価0.06ドル帯に位置している一方、Sol(high)はランキング上位の56点。この距離感が、そのままコストと実力のトレードオフを表しています。
用途別の判断基準
ここが今回の中心的なポイントです。実測データから逆算すると、判断基準はこう整理できます。
- コスト最優先・大量バッチ処理 → Luna のNon-reasoning〜low。タスク単価が最も低く、TTFTも1秒台に収まる
- 日常のコーディング・Q&A・一般業務 → Terra のmedium前後。Intelligence Index 46でTTFT 1.87秒と、コストと待ち時間のバランスが良い
- 設計・複雑な推論・妥協できない品質が必要な場面のみ → Sol のhigh以上。ただしTTFTが7秒を超えるため、リアルタイム性が求められる用途には向かない
- 「念のため最高設定」は避ける → maxは効果があるものの、TTFTが100〜200秒に達する場面もあり、バッチ処理やレビュー用途以外では体感的な待ち時間が大きなコストになる
迷うとしたら、まず一段低いeffortから試して、実際のタスクで品質が足りているかを確認してから上げるのが安全です。
注意点・制約
- 本記事の実測値は全てArtificial Analysisという第三者ベンチ機関の計測であり、OpenAI公式発表値ではありません。
- Sol (medium) は保存ページが破損しており、Output Speed・TTFT・価格の直接データが欠損しています。Intelligence Index=54のみ、Sol(high)ページに埋め込まれたランキング棒グラフから補完確認しました(sm-03参照)。
- 2026-07-11にライブ確認したところ、Sol(high)のOutput Speedが保存データ73.0 t/sから61.1 t/sへ、TTFTが7.00秒から10.51秒へ変化していることを確認しました。正直、これは第三者ベンチマークが継続的に再計測される性質のためで、数値は時点によって変動しうる点に注意してください。
- ultraモード(並列サブエージェント)は今回の素材に実測データが含まれないため、実測比較の対象外です。
よくある質問
Q. とりあえずmaxにしておけば安全か?
A. 品質面では悪い選択ではありませんが、TTFTが100〜200秒に達する場面があり、リアルタイム性が必要な用途では体感的な待ち時間が大きなコストになります。バッチ処理やレビュー用途以外では、まず一段低いeffortから試すのがおすすめです。
Q. effortを上げると価格も上がるのか?
A. 単価($/1Mトークン)自体はeffortに関わらず同一モデル内で固定です。ただし出力トークン数がeffortを上げるほど増えるため、実際の請求額は結果的に増加します。
Q. Sol/Terra/Lunaはどう使い分ければいいか?
A. コスト最優先ならLuna、日常業務のバランス型ならTerra、妥協できない品質が必要な場面だけSolのhigh以上、というのが実測データから見える基本の使い分けです。
まとめ
- effortを上げるほどIntelligence Indexは伸びるが、上位ほど伸び幅は頭打ちになる
- TTFT(待ち時間)はeffortを上げるほど劇的に増加する(Solはlowからmaxまで約88倍)
- 価格は同一モデル内で固定。コスト増の正体は出力トークン数の増加
- 用途別に「低effortで十分な作業」と「高effortが必須な作業」を切り分けるのが正解
- 実測データは第三者計測であり、時点によって変動しうる点を踏まえて参考にする
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出典
(確認日: 2026-07-11 / 公開日: 2026-07-09) この記事は OpenAI 公式発表(previewing-gpt-5-6-sol)と、第三者ベンチ機関 Artificial Analysis の実測ページ(一次情報として保存・2026-07-10)を一次ソースとして参照して執筆しています。数値は第三者計測であり、時点によって変動します。
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