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開発ログ2026年8月7日by K.hirano

中国LLMコーディングプラン vs Claude Code——月600タスクでなぜ86倍差か?

Claude Codeの定額・週次上限と、中国LLMの定額/従量課金を月600タスクで比較。乗り換えの手間と現実的な併用策を整理します。

#Claude Code#kimi#deepseek#qwen#llm料金比較

こんにちは。暑い日が続いて、PC のファンも休む暇がありませんね。今回はその PC の中身ではなく、毎月の AI の請求書のほうの話です。

Claude Code から中国系の LLM に移れば安くなる、という話をよく見かけます。ただ、定額プランどうしを比べると差はほとんど出ません。二桁の差が出るのは、使った分だけ払う従量課金に切り替えたときだけです。私の結論は、難しい変更作業は Claude に残し、量をこなすタスクを DeepSeek や Kimi へ回す併用が、いまのところ現実的だというものです。

もっとも、料金表を開いた時点で戸惑うと思います。Kimi は音楽用語の5段階、Qwen は入口プランの新規受付が止まっていて、DeepSeek には定額プランそのものがありません。「安いらしい」だけでは自分の使い方に当てはめにくいので、この記事では費用と移行の手間に絞って整理します。モデルの応答品質や速度は、前回のKimi K3・DeepSeek V4・Qwen3.8 MaxとClaudeの性能比較で扱っています。

Claude Code は月額だけでなく「いつ止まるか」も費用になる

Claude Code の定額は、Pro が月20ドル(年払いなら月17ドル相当)、Max 5x が月100ドル、Max 20x が月200ドルです。倍率だけ見れば分かりやすいのですが、実際には2025年8月28日に導入された「直近5時間ごとの上限」と「7日間の週次上限」の二段構えで使える量が決まります。2026年5月6日には、5時間あたりの上限が倍になりました。

Max では Sonnet と Opus の枠が別々です。一方の Pro は1つの枠を共有するので、Opus を使うほど Sonnet に回せる分も減ります。注意したいのは、Anthropic が公表しているのは 1x・5x・20x という倍率だけで、具体的なトークン量(AI が文章を数える単位)の上限は出していないことです。「Max 20x なら週何万トークン」といった数字は公式値ではないので、請求の判断には使わないほうが安全です。

週次上限に当たる人にとっては、月額の安さだけでなく「いつ止まるか」もコストになります。月末まで使える20ドルと、作業の山場で止まる20ドルは、同じ金額でも価値が違うんですよね。

Kimi の Moderato は Claude Pro とほぼ同額

Kimi Code の定額プランは、Adagio、Moderato、Allegretto、Allegro、Vivace の5段階です。Adagio は無料のお試し枠で、Moderato が月19ドルの1x、Allegretto が39ドルの5x、Allegro が99ドルの15x、Vivace が199ドルの30x。最上位の Vivace には300並列の swarm と Kimi Claw も付きます。

ここで比較をやめると「Claude Pro より1ドル安い」で終わってしまいます。ただ、Moderato の1x は Claude Pro より早く使い切ってしまう、という利用者の声もあります。同じ「1x」の表記でも、実際の余裕が同じとは限りません。公開されている倍率を、そのまま処理量の保証と読まないことが大事です。

Kimi K3 を API(プログラムから直接呼び出す窓口)で使う場合の公式単価は、100万トークンあたり入力3ドル、出力15ドルです。キャッシュ(同じ入力の使い回し)が当たれば0.30ドルで、100万トークンのコンテキスト全域が同じ単価です。サブスク経由の API が0.60ドル/2.50ドルという説明も見かけますが、公式価格と矛盾していて K2.6 系との混同が疑われるため、ここでは使いません。

もう一つ、K3 は「オープンソース」ではありません。OSI 承認ではない Kimi K3 License による、重みだけを公開したオープンウェイトです。MaaS 収益の条項や、月間アクティブユーザーが1億を超えたときの帰属表示義務もあります。自前で動かせば安くなる、と短絡しないほうがよいと思います。

DeepSeek には定額が無く、従量で初めて差が出る

DeepSeek には定額の Coding Plan がなく、使った分だけ払う pay-as-you-go が基本です。最低利用額はなく、無料枠は500万トークン程度とされています。公式価格は V4 Flash が入力0.14ドル、出力0.28ドル、キャッシュヒット時0.0028ドル。V4 Pro は入力0.435ドル、出力0.87ドル、キャッシュヒット時0.003625ドルです。

数字の出どころには気をつけたいところです。二次メディアに載っている入力0.30ドル/出力0.50ドルは、DeepSeek 公式の V4 価格と一致しません。OpenRouter で見かける入力0.09ドル/出力0.18ドルは DeepInfra の fp4 量子化版(精度を落として軽くしたもの)なので、安いことと同じ品質であることは分けて考える必要があります。

さらに DeepSeek は、ピーク時間帯の2倍課金をアナウンスしています。2026年8月4日時点では発効日が未定ですが、対象は北京時間の9〜12時と14〜18時、日本時間では10〜13時と15〜19時です。正式に始まれば、日本の通常の勤務時間とかなり重なります。

月600タスクで並べると、差は定額ではなく従量側に出る

同じ物差しで比べるために、AA Intelligence Index(AI モデルを共通の課題で採点している指標)のタスクベース概算を使います。1タスクあたりの費用は、Opus 5 が2.34ドル、Kimi K3 が0.86ドル、DeepSeek V4 Flash が0.027ドル。V4 Flash は Opus 5 の約86分の1です。

モデル1タスクの概算月600タスクの試算
Opus 5$2.34$1,404
Kimi K3$0.86$516
DeepSeek V4 Flash$0.027$16

月600タスクは、1日30タスクを20営業日続ける前提です。この条件だと、Opus 5 の API 利用は月1,404ドル、Kimi K3 は516ドル、V4 Flash は16ドル。題名の86倍差は、この試算から出したものです。

一方で、Claude Pro の月20ドルと Kimi Moderato の月19ドルの差は1ドルです。定額から別の定額へ移るだけなら、請求額はほとんど変わりません。差が生まれるのは、毎月の固定料金を払う方式から、タスクごとに安いモデルへ振り分ける方式に変えたときです。

この試算は実測ではなく概算

この金額は、AA v4.1 の cost/task を基にした概算です。私が従量課金に切り替えて1か月走らせた実測ではありません。実際の請求は、プロンプトの長さ、ツール呼び出しの回数、キャッシュの当たり具合、失敗して再実行した回数で上下します。

Qwen は入口プランも無料枠も終わっている

Qwen Coding Plan には以前、約10ドルで月18,000リクエストの Lite がありました。しかし Lite は2026年3月20日に新規受付が止まり、4月13日には更新も止まっています。2026年8月時点で新規に入れるのは約50ドルの Pro で、月90,000リクエスト、5時間ごと6,000、週45,000という枠です。

Qwen Code、Claude Code、Cline、Cursor から使えることは公式に案内されています。ただ、約10ドルで試してから決める、という入口は、少なくとも新しく始める人にはもう残っていません。

OAuth(Qwen のアカウントでログインして使う方式)の無料枠も段階的に縮みました。1日1,000リクエストから100リクエストに減り、2026年4月13日には公式メンバーが完全廃止を起案。8月4日に私の環境で Qwen Code CLI v0.21.5 から qwen --auth-type qwen-oauth を実行すると、CLI 自身が「Qwen OAuth free tier was discontinued on 2026-04-15」と日英併記で返してきました。私の環境での n=1 の確認です。

無料枠が終わり、サービスが回収の段階に入った、と見ることはできます。ただしこれは時系列から見た私見で、Alibaba がその意図を公式に説明したわけではありません。

乗り換えの手間は、Claude Code なら小さい

Kimi と DeepSeek は、Anthropic Messages API 互換の窓口を用意しています。Kimi は https://api.moonshot.ai/anthropic、DeepSeek は https://api.deepseek.com/anthropic で、Claude Code 側は API の接続先 URL、認証トークン、モデル名の3つを差し替えるだけです。Kimi は Opus、Sonnet、Haiku、Fable に相当する、作業の重さ別のモデル指定まで用意しています。

その意味で、Claude Code の接続変更は環境変数(設定の値)3つ分の作業です。ただし、Kimi、DeepSeek、Qwen のどれも、Anthropic が公式にサポートする Claude Code の構成ではありません。互換の窓口は各社が自分で用意しているものです。ツール呼び出し、ストリーミング、コンテキストの上限、エラーの形式の違いで詰まる可能性は残ります。

Qwen Code を使う場合は少し事情が違います。私の環境では、OPENAI_BASE_URL、OPENAI_API_KEY、OPENAI_MODEL を設定し、--auth-type openai を渡すと、自前の LiteLLM Gateway(複数の AI の窓口をまとめる中継役)経由で任意の OpenAI 互換エンドポイントにつなげました。Claude Code の3つ差し替えに比べると、CLI を選ぶ手間とモデル側の互換性の確認が一段増えます。

画面を開かずに動かすヘッドレス実行は -p、ツールを確認なしで自動実行させるのは --approval-mode yolo です。サンドボックス(隔離された実行環境)なしで yolo を指定すると、CLI 自身が警告を出します。料金を下げるために自動実行を増やせば、誤操作したときの被害も大きくなります。ここは価格表に出てこないコストです。

Qwen Code を実際に動かすと、安さ以外の差が見える

自前の LiteLLM Gateway の往復を含めた体感メモでは、fizzbuzz を作って実行し、結果を確かめるまでに qwen3-235b が10.8秒、DeepSeek V4 Flash が15.8秒、Qwen3.8 Max が24.5秒かかりました。TODO CLI を作る多段のタスクでは、qwen3-235b が32.5秒、Qwen3.8 Max が87.6秒です。

これは n=1 の試行で、ベンチマークではありません。ネットワーク、Gateway、同時実行数で簡単に変わる数字なので、モデル間の速度差を判断する材料には使えません。速さの順番を見るなら、前回記事の AA のデータと合わせて見てください。

Qwen3.8 Max は遅い代わりに、試した5モデルの中で報告が最も丁寧でした。自分から2件の確認を足し、範囲外のエラーにも触れ、保存した todos.json の中身まで確かめています。考えている途中の記録(思考トレース)は英語で、最終的な回答は日本語、という挙動も確認しました。

価格は、OpenRouter の掲載値で入力2ドル、出力6ドルです。ただ、Alibaba 公式ドキュメントの2026年7月15日更新版の価格表は Qwen3.7-Max までで、3.8 系の価格は一次情報で確認できていません。ここは OpenRouter の掲載値として扱い、公式価格とは混ぜないでおきます。

私見:Claude は難所に、DeepSeek と Kimi は量に回す

私の使い分けは、Claude を完全に捨てる方向ではありません。既存のコードの意図を読み、どこまで変えるかを見極め、テストが落ちた原因を複数のファイルにまたがって追う。こういう作業は、多少高くても失敗の回数を減らせるモデルに任せる価値があります。

反対に、定型的な修正、ログの整形、テストケースの追加、リポジトリ内の単純な探索まで Claude の枠でこなしていると、週次上限に近づく速度が上がります。ここを V4 Flash や K3 へ切り出せば、従量の差が効いてきます。

迷うとしたら、「Claude の Max を上げるか、安いモデルを別の経路で足すか」の一点だと思います。前者は環境を増やさずに済みますが、上限は残ります。後者は設定と互換性の確認が必要な代わりに、タスクあたりの単価と負荷の逃がし先の自由度が上がります。

完全に移行してしまうと、判断が思っているより荒くなります。費用だけでなく、失敗したときの再実行、レビューにかかる時間、秘密情報をどの会社へ送るかまで含めて比べてください。安いモデルで余計な修正が一度増えるだけで、数ドルの差は簡単に消えます。

乗り換える前に確かめること

料金を比べる前に、次の条件を自分の作業記録に当てはめてみてください。

  • 1か月のタスク数を数え、1日30タスク×20営業日が自分の実態に近いか確認する
  • 入力・出力トークン、キャッシュヒット、ツール呼び出し回数を記録する
  • Anthropic互換経路が公式サポートではないことを前提に、テスト用リポジトリで実行する
  • APIキー、コード、ログの保存場所と、ピーク時間帯の課金条件を確認する

料金だけを先に見ると、Claude Pro から Kimi Moderato への移行を「1ドル安くなる」と取り違えます。逆に、従量課金の V4 Flash へ定型タスクを移すと、今回の試算では月1,404ドルと16ドルという差になります。

Claude Code の週次上限に何度も当たり、定型作業が多く、API キーと互換の設定を自分で管理できる人は、まず一部のタスクだけを従量へ移してみる価値があります。難しい調査や最終レビューまで一気に移す必要はありません。

定額の安心感を大事にしたい、設定変更や請求の振れ幅を増やしたくない、という人には、Kimi Moderato へ移るだけでは費用対効果が薄いです。Qwen も Lite と OAuth の無料枠が終わったので、「まず無料で試してから」という入口は以前より狭くなっています。

使うモデルを一つに決めるより、タスクの種類で分ける。今回の料金比較から言えるのは、そこに尽きます。Claude の枠を守るために、量の多い作業を外へ逃がす。その程度の小さな乗り換えから始めるのが、請求と作業品質の両方を見極めやすいと思います。

数字の出どころと、変わりやすいところ

料金は各社の公式ページを一次情報として確認しました。Anthropic の料金と利用制限は公式料金ページと利用制限の説明、DeepSeek の価格とピーク時間帯は公式価格表、Kimi の Claude Code 接続は公式ガイド、DeepSeek の互換経路は公式ガイド、Qwen の Coding Plan は Alibaba Cloud の公式ドキュメントです。二次メディアの数字が公式と食い違うところは公式を採り、食い違ったこと自体も本文に残しました。Qwen3.8 Max の2ドル/6ドルは OpenRouter の掲載値で、Alibaba の公式価格としては扱っていません。

1タスク単価と月600タスクの試算は、前回記事で抜き出した AA Intelligence Index v4.1 の cost/task を物差しにしています。Qwen Code CLI は実際に手元へ入れて動かし、OAuth 無料枠終了の応答も自分で取りました。公式が出している値、第三者が測った値、私が試した体感の3つは混ぜずに分け、どれがどの層の情報かは本文の中でその都度書いています。

料金とプランの条件は動きます。DeepSeek のピーク時間帯2倍課金は2026年8月4日時点で発効日が未定ですし、Qwen の Lite のように受付停止になる例もあります。判断するときは、その時点で公式ページを開き直してください。互換の窓口が Anthropic の公式サポート構成ではない点は、どの会社でも変わりません。

参考リンク

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

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