21k対64kのGPT-6 Astra:費用差2.19倍を生む出力量
GPT-6 AstraとClaude Fable 5.1は同じ$10/$50でも1タスク費用が2.19倍。出力トークンと待ち時間から使い分けを整理します。
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結論から書きます。同じ入力単価$10・出力単価$50でも、1タスクの費用はGPT-6 Astraが$2.57、Claude Fable 5.1が$5.62でした。定価は完全に同じです。それでもClaude側が2.19倍になる主因は、モデルの知能スコアや単価ではなく、1課題あたりに出すトークン量です。
なぜこれを調べたかというと、どちらも同じ$10/$50なのに片方だけ請求が膨らむ理由を確かめたくて、Artificial AnalysisとOpenRouterに出ている数字を並べ直しました。
先に断っておくと、ここに出てくる値はすべてArtificial AnalysisとOpenRouterの計測で、筆者が回したものではありません。したがって自分の環境でそのまま再現する保証はなく、プロンプトの長さやeffort設定に依存します。一般化できません。読み取れるのは「同じ単価でも出力量が違えば請求は変わる」という関係の向きまでです。
ただし、Astraを安いからという理由だけで対話用途に置くのは危険です。Artificial Analysisの計測では、最初のトークンが返るまで約7分43秒かかっています。バッチ処理や長時間の自動化ならAstra、画面の前で応答を待つならFable 5.1も含めて別の選択肢を探す、という切り分けになります。
GPT-6 AstraとClaude Fable 5.1を比較する条件
GPT-6 AstraとClaude Fable 5.1は、どちらもコンテキスト長が1Mです。OpenRouterのモデルページで確認できる定価も、入力が100万トークンあたり$10、出力が$50で一致しています。
知能スコアも大きく離れていません。Artificial Analysis Intelligence Index v4.2では、Fable 5.1が57、Astraが55です。差は2ポイントで、同じ最上位クラスの候補として並べるには十分近い数字です。OpenRouterのテキスト表示では、AstraのIntelligence Indexは54.7、Coding Indexは76.9、Agentic Indexは51.6と表示され、AAの55はその丸めにあたります。
10評価を合成した知能指標。左端が Claude Fable 5.1 (max with fallback) の57で、2本目が GPT-6 Astra (max) の55。黒はプロプライエタリ、青系はオープンウェイト(出典 https://artificialanalysis.ai/ 、2026-09-05 取得)
ここまで見ると、単価もコンテキストも近く、知能スコアもほぼ互角です。カタログだけでは、どちらにAPIの予算を寄せるべきか決めにくい組み合わせです。
GPT-6 Astraの1タスク費用は$2.57、Fable 5.1は$5.62
Artificial AnalysisのCost per Intelligence Index Taskは、Indexの1課題を解くためにかかった費用の加重平均です。ここではAstraが$2.57、Fable 5.1が$5.62でした。差額は1タスクあたり$3.05で、比率にするとFable 5.1が2.19倍です。
1課題を解かせた実費の加重平均。棒の高さは右へ行くほど高く、右端の茶色3本が Anthropic 勢。GPT-6 Astra は黒い $2.57 の棒で、Claude Fable 5.1 は $5.62(出典 https://artificialanalysis.ai/ 、2026-09-05 取得)
| モデル | 1タスク費用 | Intelligence Index全体の総額 |
|---|---|---|
| GPT-6 Astra (max) | $2.57 | $4,064 |
| Claude Fable 5.1 (max with fallback) | $5.62 | $7,603 |
| Claude Fable 5 (with fallback) | $6.12 | $10,816 |
| Claude Opus 5 (max) | $4.21 | $5,546 |
| GPT-5.6 Sol (max) | $1.25 | $2,464 |
| GPT-5.6 Terra (max) | $0.81 | $1,714 |
Fable 5.1とFable 5は、AAのグラフ上で隣り合う色の棒になっているため注意が必要です。今回の比較対象はFable 5.1の$5.62であり、Fable 5の$6.12ではありません。
GPT-6 AstraとFable 5.1の費用差は21k対64kの出力量で生まれる
同じ出力単価で請求額が変わるなら、見るべきは1課題あたりの出力トークンです。AAのOutput Tokens per Intelligence Index Taskでは、Astraが合計21k、Fable 5.1が64kでした。Fable 5.1はAstraの約3.0倍を出力しています。
1課題あたりに吐いた出力トークン。濃い下段が answer、淡い上段が reasoning。右端 Claude Fable 5.1 の64kに対し、左寄りの GPT-6 Astra は21k(出典 https://artificialanalysis.ai/ 、2026-09-05 取得)
| モデル | 合計 | answer | reasoning |
|---|---|---|---|
| GPT-6 Astra (max) | 21k | 13k | 8k |
| Claude Fable 5.1 (max with fallback) | 64k | 39k | 25k |
| Claude Opus 5 (max) | 56k | 32k | 24k |
| GPT-5.6 Sol (max) | 23k | 9k | 14k |
内訳を見ると、Astraはanswerが13k、reasoningが8kです。Fable 5.1はanswerが39k、reasoningが25k。伸び率だけならanswerもreasoningも約3倍で、思考だけが極端に長い、あるいは回答文だけが極端に長いとは言い切れません。
差を金額に効かせているのは、増えた絶対量です。answerは26k増え、reasoningは17k増えています。どちらも出力トークンとして課金対象になるため、単純な「思考料金」という話ではありません。Fable 5.1は、答え側にも大きな追加出力を使っている構造です。
費用比がトークン比の3倍ではなく2.19倍に収まる理由は、この資料からは特定できません。入力やキャッシュの構成比がモデルごとに違うことは影響していそうですが、内訳までは公開されていません。それでも、同じ$50/1Mの出力単価で3倍近く吐けば、請求額が大きく膨らむという関係は崩れません。
GPT-6 Astraは安いが、返答開始まで約7分43秒かかる
費用だけでAstraを選ぶと、次に待ち時間で引っかかります。AAのEnd-to-End Response Timeは、500トークンを出力し終えるまでの時間で、thinking時間も含みます。この指標でAstraは469.4秒、そのうちthinkingが463.7秒でした。計測対象23モデル中の最下位です。
500トークンを返し終えるまでの秒数を、待ち時間の内訳ごとに積んだ図。右端が突出しており、これが GPT-6 Astra の469.4秒(出典 https://artificialanalysis.ai/ 、2026-09-05 取得)
thinkingだけで463.7秒、つまり約7分43秒。入力してから少し待つ、という対話モデルの感覚ではありません。Fable 5.1も273.8秒、約4分34秒なので高速とは言えませんが、Astraはさらに待ち時間が長くなります。
一方で、AAのTime per Intelligence Index TaskではAstraが4.0分です。Fable 5.1は9.5分、Claude Opus 5は9.7分、GPT-5.6 Solは4.3分でした。出力速度もAstraは87 tok/sで、Fable 5.1の69 tok/sを上回っています。
待ち時間を除いた書き出し時間だけを分単位で並べた図。ここでは順序が入れ替わり、GPT-6 Astra が4.0分と短い側へ移る(出典 https://artificialanalysis.ai/ 、2026-09-05 取得)
| 指標 | GPT-6 Astra | Claude Fable 5.1 |
|---|---|---|
| End-to-End Response Time | 469.4秒 | 273.8秒 |
| うちthinking | 463.7秒 | 266.5秒 |
| Time per Intelligence Index Task | 4.0分 | 9.5分 |
| Output Speed | 87 tok/s | 69 tok/s |
この2つの時間は矛盾していません。End-to-Endは、500トークンの応答を1回返し終えるまでの時間を測ります。Astraは最初の回答を出す前に長く考えるため、この指標では遅くなります。
Time per Taskは、Index課題全体のdecode時間を、TTFTとオーバーヘッドを除いて集計した数字です。Astraは1課題あたりの出力が21kと少ないため、最初の待ち時間を除けば短く収まります。「Astraは速い」「Astraは遅い」のどちらか一方だけを採用すると、測定区間を取り違えます。
GPT-6 Astraをキャッシュ運用すると入力費用の見え方が変わる
OpenRouterのGPT-6 Astraページでは、加重平均の実効単価が入力$2.424、出力$50.15と表示されています。入力の定価$10を大きく下回る一方、出力はほぼ定価どおりです。
同じページには、キャッシュ読みの単価$1.00と、OpenAI 90.9%、Azure 91.0%、Azure(US)96.4%というキャッシュヒット率も表示されています。ただし、OpenRouterはヒット率の算定単位やcache writeの扱いを明示していません。これらの数字を掛け合わせて、実効単価の内訳を再現することはできません。
確実に言えるのは、長い文脈を何度も読ませる運用では、Astraの入力費用が定価から大きく下がっていることです。2026年9月5日のOpenRouterのトークン内訳でも、promptは9.88B、completionは62M、reasoningは39.2Mでした。promptはcompletionの約160倍です。
この比率は、Astraが短い質問に即答するモデルとして大量利用されているというより、長いコンテキストを与える処理で使われていることを示します。ただし、キャッシュヒット率から請求額をそのまま算術で見積もることは避けてください。
関連するキャッシュの見方は、
Blogeffort を途中で変えるとキャッシュはどうなる? Fable 5.1 と Opus 5 で実測したFable 5.1 の値下げはキャッシュ読みだけ。Claude Code が TTL を決める仕組み、キャッシュを壊す操作と壊さない操作、effort 切替時の再書き込みを Fable 5.1 と Opus 5 の usage で実測しました。→でも整理しています。
GPT-6 AstraとFable 5.1はバッチか対話かで使い分ける
バッチ・自動化ではAstraの出力量が効く
同じ課題を大量に回す、テストを夜間に流す、ブラウザ操作や長時間のエージェント処理を人間が張り付かずに進める。この用途では、1課題21kというAstraの出力量がそのまま予算に効きます。
Index全体を回した総額でも、Astraは$4,064、Fable 5.1は$7,603でした。差額は$3,539です。APIを繰り返し呼ぶ運用なら、知能スコアの2ポイント差より、出力が毎回どれだけ増えるかを先に見たほうが判断しやすいでしょう。
対話用途ではAstraを最初の候補にしない
画面越しにコードの修正を指示し、返答を見ながら次の指示を出す使い方では、最初のトークンまで約7分43秒という数字が重く響きます。Fable 5.1も約4分34秒なので、こちらを「快適な対話モデル」と呼ぶのは無理があります。
迷うとしたら、Astraの安さを取って待つか、Fable 5.1に$3.05多く払って待ち時間を少し縮めるか、という選択になりがちです。ただ、Fable 5.1でも応答開始まで数分あるため、対話が中心なら最上位2モデルだけで決めないほうがよいです。
GPT-5.6 SolやTerraを含めて最上位モデルの必要性を見直す
AAの数値では、GPT-5.6 SolはIntelligence Index 51で、Cost per Taskは$1.25です。GPT-5.6 TerraはCost per Taskが$0.81でした。AstraのIndex 55やFable 5.1の57が必要な課題でなければ、最上位モデル同士の比較自体が過剰になる可能性があります。
GPT-6 Astraを置くなら「待てる自動化」に限定する
私なら、GPT-6 Astraは人間が返答を待たないバッチや自動化のキューに置きます。21k対64kという出力量の差は、単発の請求書では見落としやすくても、何百回、何千回と回したときに効いてくるからです。長い文脈を繰り返し扱う運用では、入力側の実効単価が低く出ている点も判断材料になります。
一方、Claude Fable 5.1を選ぶ理由は、知能スコア57そのものではなく、個別の課題でAstraより少ない待ち時間や別の出力傾向が必要な場合に限ると思います。それでも約4分34秒は長いので、対話用として割り切って契約する前に、GPT-5.6 Solの$1.25/taskも比較対象に入れます。
今回の数字は、AstraがAAの(max)、Fable 5.1が(max with fallback)設定で計測されたものです。最大設定同士の比較としては読めますが、effortを下げた場合に費用や待ち時間がどう動くかは、この資料では確認していません。そこを自分の請求額へ外挿するのは早いです。
GPT-6 AstraとFable 5.1を判断する前に確認する数字
実際の運用へ置き換えるときは、モデル名だけでなく、1タスクあたりの出力と人間が待つ時間を分けて記録してください。
- バッチ中心か対話中心か。人間が最初のトークンを待つか
- 1タスクのcompletion・reasoningトークン数と、キャッシュされる入力の割合
- 最上位モデルのIndex差2ポイントに、1タスク$3.05を払う必要があるか
- AAの比較条件と自分のeffort設定が同じか。effort変更後の数値は未確認
出典と確認範囲
本稿の数値は、2026年9月5日時点でArtificial AnalysisとOpenRouterの公式ページに表示されていた第三者計測です。筆者が回した計測ではありません。ここに書いたのは確認できた事実だけで、費用比が2.19倍に収まる内訳などは未実測の推測として区別しています。AAのIntelligence Index v4.2は、AA-Briefcase、GDPval-AA v2、τ³-Banking、Terminal-Bench v2.1、SciCode、Humanity's Last Exam、GDP.pdf、CritPt、AA-Omniscience、AA-LCR v1.1の10評価を合成した指標です。
GPT-6 AstraのOpenRouterページにはRELEASED Sep 5, 2026と表示されています。一方、同ページのActivityグラフには9月4日の利用トークンが記録されています。当サイトのAI年表では発表日を9月3日としているため、掲載表示日と発表日を同じものとして扱っていません。Claude Fable 5.1のページ表示はSep 1, 2026です。
また、AAにAstraが掲載されていない評価項目があることは、未計測という意味にとどまります。そこから弱さを推測していません。AAのハイライトカードにあるblended price 7.7も、$10/$50との合成比率が確認できないため使っていません。
確認できた事実はいずれも公式に相当する計測元の表示に基づいており、いずれも2026年9月5日時点の値です。ページが更新されれば数字は動きます。
Fable 5.1のeffort設定による変化は、
BlogFable 5.1 は『low で旧 max 超え』なのか|公式グラフ5枚をベンチ別に正直に読むClaude Fable 5.1 の公式グラフ5枚をベンチ別に読み、low が旧 Fable 5 の max を超えたベンチと超えなかったベンチを表にしました。常用 effort の決め方と Pro/Max の課金条件も整理します。→で扱っています。
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この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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