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チュートリアル2026年9月3日by K.hirano

Muse Spark 1.3とGLM-5.3-Flash、知能4点差で単価6倍

Muse Spark 1.3のStandardとContributorを、GLM・Qwen・Geminiと知能、単価、速度、データ条件で比較します。

#AIモデル比較#OpenRouter#Muse Spark#API従量課金

こんにちは。9月に入っても日中はまだ夏の名残りがありますが、AI モデルのほうは一足先に新顔の季節で、安くて速いモデルが立て続けに並んでいます。

その中で迷いやすいのが、Meta の Muse Spark 1.3 です。OpenRouter(いろいろな AI モデルを1つの窓口から従量課金で呼べるサービス)で見ると、同じ名前のモデルが入力$1.25の Standard と、入力$0.10の Contributor に分かれています。どちらを選ぶかは、送るデータと用途でかなり分かれます。顧客コードや社外秘データを送るなら Standard、個人の実験や公開コードなら Contributor が候補になります。

ただ、知能スコアだけを見ると GLM-5.3-Flash と Qwen3.8 Flash は5〜6倍安く、Gemini 3.8 Flash は速度で大きく上回ります。Muse Spark 1.3 は「安い Flash モデル」ではありません。知能と長文脈、ツール利用を重視する人が、データ条件との交換を受け入れて使うモデルです。

比べるときの Muse Spark 1.3 は、公開APIの61で見る

Artificial Analysis(AI モデルを同じ試験で採点して公開しているサイト)の Intelligence Index v4.1.1 には、Muse Spark 1.3 の数字が62と61の2つあります。62は max 版で、画面上にも「Not publicly available」と表示されています。OpenRouter から実際に呼び出せる公開 API 側は xhigh 版で、こちらが61です。

Artificial Analysis トップの Highlights。Intelligence・Speed・Cost per Task の3枚出典: https://artificialanalysis.ai/ (2026-09-03 取得)。Speed の 2 位が Muse Spark 1.3 xhigh の 186 t/s、Cost per Task は $0.55

この記事で Muse Spark 1.3 の比較値に使うのは、公開版 xhigh の61です。見出しやランキングに62が出ていても、自分の API キーでその max 版を使えるとは限りません。ここを飛ばすと、手元にない性能を基準に料金を比べることになってしまいます。

上位モデルとの距離も、この61で測ります。xhigh 版の61は、GPT-5.6 Sol の max 版と同点です。Artificial Analysis の Cost per Intelligence Index task(評価1課題あたりの費用)は、Muse Spark 1.3 が$0.55、GPT-5.6 Sol が$0.95でした。API 単価も Muse の Standard のほうが低く、入力は$1.25対$4、出力は$4.25対$20です。Sol と上位モデルの関係は Claude Opus 5、全effort段でSol凌駕——秘めた実力とコスト最適化の結論 にもまとめているので、あわせて読むとつながりが見えやすいと思います。

なお、このタスク単価は API の入出力単価そのものではなく、Artificial Analysis が計測した結果です。

Standard と Contributor は、同じモデルで価格とデータ条件が違う

Muse Spark 1.3 Standard は入力$1.25、出力$4.25、キャッシュ読み$0.15です。Contributor は入力$0.10、出力$0.20、キャッシュ読み$0.002。文脈長(一度に読ませられる量)はどちらも1,048,576トークンで、テキスト、画像、動画、PDF、音声を入力できます。少なくとも OpenRouter 上の説明では、Contributor は別の小型モデルではありません。

OpenRouter のモデル一覧。Muse Spark 1.3 Contributor(入力$0.10・出力$0.20)と Standard($1.25・$4.25)が並ぶ出典: https://openrouter.ai/meta (2026-09-03 取得)。週間トークンは Contributor 45.6B、Standard 40.3B

大きく違うのは、価格とデータ利用の条件です。Contributor には、次の文言があります。

Prompts and outputs may be used to improve Meta's products.

Standard 側には、Meta の製品改善に使わない条件があります。単価の差は、入力で Contributor が Standard の12.5分の1、出力で21.25分の1、キャッシュ読みで75分の1です。大量のコード読解や長いログの投入ではキャッシュ読みの差が積み上がり、最終的な出力生成が多い処理では出力単価の差が請求額を左右します。

2026年9月3日時点の OpenRouter 表示では、週間トークンは Contributor が45.6B、Standard が40.3Bでした。レイテンシは Contributor 3.2秒、Standard 3.9秒、スループットは Contributor 84 tokens/s、Standard 80 tokens/s です。安い Contributor のほうが利用量が多く、表示上の速度も少し速い。ただ、これらは週間集計やサービス状態で変動するので、固定の性能として扱わないほうが安全です。

レート制限は、自分のアカウントで確かめる

レート制限(一定時間に呼べる回数の上限)には注意が要ります。Standard と Contributor が同じ rpm(1分あたりのリクエスト数)条件ではないことは確認できますが、Contributor の上限は二次情報で数字が割れていて、この記事では具体値を断定しません。OpenRouter で同じモデル名でも、価格だけでなく契約条件や混雑時の扱いが別になる可能性があります。

個人開発の断続的な呼び出しなら問題にならなくても、CI(コードを変えるたびに自動で回すテストの仕組み)で同時に大量実行する場合は、採用前に自分のアカウントで上限を確認してください。

GLM-5.3-Flash と Qwen3.8 Flash は、タスク単価で別の勝負をしている

Artificial Analysis の公開値を並べると、Muse Spark 1.3 は知能61、1タスク$0.55、186 tokens/s です。GLM-5.3-Flash は57、$0.09、47 tokens/s。Qwen3.8 Flash は Artificial Analysis では「Qwen3.8-Flash-Next」という名前で載っていて、56、$0.10、85 tokens/s でした。名前が完全には一致しないので、Qwen のスコアを OpenRouter 上の表示名にそのまま重ねない点は押さえておきたいところです。

モデルIntelligence IndexCost per task出力速度重み・ライセンスデータ条件など
Muse Spark 1.3 xhigh Standard61$0.55186 t/s非公開製品改善に使わない
Muse Spark 1.3 Contributor61AA未計測84 t/s(OpenRouter)非公開入出力が製品改善に使われる可能性
Gemini 3.8 Flash59$0.58305.5 t/s非公開本記事では未確認
GLM-5.3-Flash57$0.0947 t/sMIT自前ホスト可
Qwen3.8 Flash-Next56$0.1085 t/sQwen Community License 1.0商用可・条件付き

Intelligence Index と Cost per Task の散布図。Muse Spark 1.3 xhigh と GLM-5.3-Flash の位置出典: https://artificialanalysis.ai/ (2026-09-03 取得)。横軸は対数。GLM-5.3-Flash は緑の『Most attractive quadrant』の中、Muse Spark 1.3 xhigh は $0.5 付近の 61

知能スコアだけなら Muse が上です。しかし1タスク単価は GLM の約6.1倍、Qwen の5.5倍あります。しかも GLM は320B総パラメータのうち18B active、Qwen は180B総パラメータのうち6B active とされ(実際に計算に使う部分が全体の一部だけ、という作り)、どちらも重みを手元に置ける選択肢があります。クラウド API の請求を抑えたい人や、入力データを外部サービスに預けたくない人にとって、数点のスコア差はそのまま Muse の勝ちにはなりません。

速度で見ると、Gemini 3.8 Flash が305.5 tokens/s で比較対象中もっとも速く、Muse xhigh の186 tokens/s を上回ります。Gemini の Intelligence Index は59、Cost per task は$0.58で、知能スコアとタスク単価は Muse に近い。返答を大量に生成する処理や、待ち時間が使い心地に直結するサービスでは、Muse より Gemini を選ぶ理由がはっきりあります。

GLM は47 tokens/s と遅く、Artificial Analysis は出力が冗長になりやすいと注記しています。API 単価だけ見て GLM に寄せると、生成トークン数と待ち時間が別のコストになる場合があります。Qwen は85 tokens/s で GLM より速く、単価も近いので、安価なクラウド利用と自前運用の中間に置きやすいモデルです。

知能61の中身は、得意と不得意に分かれている

Muse Spark 1.3 xhigh の個別ベンチでは、τ³-Banking が52%、Harvey LAB-AA が95%で全体首位でした。Terminal-Bench v2.1 は86%、HLE は49%、GPQA は94%です。ツールを使う業務や金融系の定型的な判断、コード操作では強い数字が出ています。

反対に、CritPt は25%、AA-Omniscience の精度は42%、非幻覚率(知らないことをでっち上げずに済んだ割合)は66%でした。知能スコア61だけで、調査回答の正確さや未知の情報への慎重さまで一様に保証されるわけではありません。実装を前に進める力と、事実確認を任せる力は、分けて考えたほうがいいと思います。

Agentic Index(道具を使って自分で作業を進める力の指標)は Muse xhigh が56、GLM-5.3-Flash が58、Gemini 3.8 Flash が50です。Coding Agent Index では、Muse Code と Muse Spark 1.3 xhigh の組み合わせが64、Opencode と Gemini 3.8 Flash の組み合わせが61でした。ただしこれはモデル単体の一般知能ではなく、決められたエージェント環境との組み合わせで測った指標です。

Artificial Analysis Agentic Index。Muse Spark 1.3 xhigh 56、GLM-5.3-Flash 58、Gemini 3.8 Flash 50出典: https://artificialanalysis.ai/ (2026-09-03 取得)。市松模様の 59 は非公開の max 版

Muse Code の実利用に近い比較では、Muse の強みが単純な知能スコアより見えてきます。1.3 の公式スコアカードの転記では、1.2 との比較で長文脈の MRCR が98.5/98.1対66.3/55.5、コーディングではツール呼び出しが約20%減、トークンが約25%減とされています。ただしこれは 1.3 max と 1.2 xhigh の比較で、公開 API の xhigh 同士を直接比べた数字ではありません。

Coding Agent Index の棒グラフ。Muse Code と組んだ公開版が 64、Opencode と組んだ Gemini 3.8 Flash が 61出典: https://artificialanalysis.ai/ (2026-09-03 取得)。左から2本目の市松模様 68 は非公開の max 版

Contributor のデータ条件は、プロンプトの工夫では解決しない

Contributor の文言は、入力と出力が Meta の製品改善に使われる可能性を示しています。ここでいう入力には、プロンプトだけでなく、貼り付けたソースコード、エラーログ、設計書、PDF や画像なども含まれ得ます。顧客のリポジトリ、未公開の仕様、認証情報を含むログを扱うなら、単価差よりデータ管理の条件を優先すべきです。

個人の学習用コード、公開済みリポジトリ、再現可能なベンチマーク、機密性のないアイデアの壁打ちなら、Contributor の条件が問題になりにくいケースがあります。それでも、API キーや個人情報を混ぜない運用は必要です。「自分のコードだから大丈夫」と思っていても、依存関係の設定ファイルやログに秘密情報が残っていることはあります。

迷うとしたら、たぶん「Contributor の安さを取るか、Standard のデータ条件を取るか」の一点です。これはモデル性能の差ではなく、送ってよいデータの範囲を決める話で、後からプロンプトを工夫して解決できる問題ではありません。

自前ホストできるのは GLM と Qwen、Muse の重みは非公開

GLM-5.3-Flash は MIT ライセンス、Qwen3.8 Flash-Next は Qwen Community License 1.0 で、後者は商用可・条件付きです。どちらも Muse Spark 1.3 のような非公開の重みではないので、自前ホスト(自分のサーバーでモデルを動かすこと)を検討できます。社内ネットワークから出せないデータを扱うなら、この違いは知能スコアの数点より大きくなります。

ただ、自前ホストできることと、すぐ安く運用できることは同じではありません。推論の基盤づくり、更新、監視、同時実行数の設計まで自分で持つことになります。個人開発で API を数百回試す段階なら、GLM や Qwen のクラウド API のほうが手間は少ないでしょう。データを隔離する必要が出てきた段階で、重みがどこにあるかが効いてきます。

Muse Spark 1.3 の重みは非公開です。Meta の Alexandr Wang は、1.3 の重み公開について「未決」としており、1.2 については公開予定と発言しています。なので、Muse を自前ホストできる前提で比べることはできません。

Muse Code の月額と従量課金は、使い方で損得が変わる

Muse Code には、Everyday $5、High $15、Power $50 の月額プランがあります。報道上の目安では、Everyday は5時間あたり10〜50リクエスト、High はその3倍、Power は10倍です。従量課金も残っていて、こちらは Standard 単価が使われます。

短時間に何度もコード修正を頼むなら、月額プランのほうが請求額を読みやすくなります。逆に、週末だけ試す、複数のモデルを OpenRouter で切り替える、プロンプトを少数回検証する程度なら、Contributor の従量課金のほうが無駄が少ない可能性があります。

プランの条件と、他のエージェントから使えるかは未確認

Muse Code のプランに Contributor と同じデータ条件が適用されるか、裏側のモデルが常に 1.3 なのかは、この記事で確認できる一次情報にはありません。月額だから Standard 相当の保護がある、あるいは 1.3 を必ず使える、と決めつけないでください。

もう1つ、Claude Code や Codex のセッションモデルを Muse Spark 1.3 に差し替えたい人への注意です。月額プランの枠は Muse Code というクライアントに紐づいていて、他のエージェントから消費する経路は、報道にも公式情報にも見当たりません。Claude Code から使うなら、API キーを発行して従量課金で呼ぶことになります。安く済ませるなら Contributor、送るコードを学習に出したくないなら Standard という、前半と同じ分かれ道に戻ってきます。Meta が同時に公開した SDK のプレビューでプランの枠を外から使えるかは未確認なので、それを期待して契約しないほうが安全です。

GLM と Gemini の価格には期限がある

GLM-5.3-Flash の公式価格は入力$0.15、出力$0.50、キャッシュ$0.03です。比較時点の2026年9月3日は50%割引中で、入力$0.075、出力$0.25、キャッシュ$0.015でしたが、この割引は2026年9月9日24時(UTC+8)で終わり、現在は上の定価です。Artificial Analysis の Cost per task($0.09)は定価ベースなので、比較表での位置づけは割引終了後も変わりません。

Gemini 3.8 Flash の入力$0.75、出力$3.75、キャッシュ$0.075 も導入価格で、2026年12月31日までです。2027年1月1日からは入力$1.50、出力$7.50、キャッシュ$0.15 と倍額になる予定です。305.5 tokens/s という速さは価格改定後も残りますが、Cost per task の比較は変わってきます。

Qwen3.8 Flash の OpenRouter 価格は入力$0.15、出力$0.47 です。Muse Contributor の$0.10/$0.20 と比べると、入力は Qwen が高く、出力は Contributor が安い。ただ、Contributor は Artificial Analysis でタスク単価が計測されていないので、$0.55 の Muse Standard と同じ物差しで単純に換算することはできません。

比較時点は2026年9月3日です。GLM の割引は終了済みであること、Gemini の導入価格の期限、Muse の重み公開が未決であることは、料金表と一緒に記録しておく必要があります。

個人実験・機密データ・高速応答で、選ぶものが変わる

個人の実験、公開コードのリファクタリング、機密性のないエージェント検証なら、Muse Spark 1.3 Contributor が最も試しやすい候補です。同じモデルの知能61を、Standard より大幅に低い入出力単価で使えます。ただし、レート制限の正確な上限は事前に確認してください。

顧客コード、社内設計、未公開のログを扱うなら、Contributor は避けて Standard のデータ条件を選ぶのが安全です。費用を抑えたい場合は、MIT の GLM-5.3-Flash や、条件付き商用ライセンスの Qwen3.8 Flash-Next を、自前環境も含めて検討できます。こちらは自前運用の手間まで負担できる人向けです。

応答速度を優先するチャットや、生成量が多い処理では Gemini 3.8 Flash が候補になります。Index 59 で Muse の61には届かない一方、305.5 tokens/s という速度ははっきりした差です。価格は2027年1月1日に倍額になるので、続けて使うならその後の請求でも計算しておいてください。

Muse Spark 1.3 Standard は、公開 API で知能61、Cost per task $0.55、186 tokens/s というバランスを、データ利用なしの条件で取りたい人に向きます。Contributor は、その条件をデータ提供と引き換えに安くしたものです。安いほうが上位版の値下げではない。この一点を押さえておけば、2つの価格行の前で迷う時間はかなり減ると思います。

参照した一次情報

本文の価格、モデル説明、データ利用条件は OpenRouter の各モデルページを参照しました。Artificial Analysis のスコアとタスク単価、速度は、公開 API 版のページと、2026年9月3日に取得したトップ画面のスクリーンショットを使っています。

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

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