メインコンテンツへスキップ
← ブログに戻る
開発ログ2026年9月28日by K.hirano

Claude Code advisorを同一課題で実測:effort連動は約1.3倍だった

Claude Code の advisor はメインの effort を引き継ぐのか、xhigh 固定なのか。公式ドキュメントの確認、実ログ2,483回の集計、同じモデルを effort 別に直接動かした物差しとの対照実験40回で、advisor の思考量を推定しました。

#Claude Code#Claude#Anthropic#LLM#検証

Claude Code の advisor(アドバイザー)機能を使っていると、気になることが2つあります。

  • メインセッションの effort を low や medium に下げたら、相談役の advisor まで浅く考えるようになるのか?
  • それとも advisor は、Plan 用のサブエージェントのように xhigh のような深い設定で固定されているのか?

公式ドキュメントにも、検索にも答えが見つからなかったので、手元で確かめてみました。結論は次のとおりです。

  • advisor の effort を個別に設定する方法はありません。選べるのはモデルだけです。
  • 条件をそろえた実験では、advisor の出力はメインの effort に少しだけ引きずられました(low → xhigh で約1.3倍)。同じモデルを直接動かしたときの約3.7倍と比べると、ごく弱い連動です。
  • advisor の思考量は、同じモデルを直接動かしたときの medium〜high 相当と推定できました。メインを xhigh にしても、advisor が xhigh 並みに考えることはありませんでした。

途中で一度、実ログの集計から「メインの effort とはまったく連動しない」と結論しかけました。なぜそう見えたのかも含めて、順に書いていきます。

そもそも advisor とは

advisor は、メインのモデルが作業の要所で「より強いモデル」に相談できる機能です。公式ドキュメントでは、方針を決める前・同じエラーが続いたとき・完了を宣言する前などに呼ばれると説明されています。advisor は会話の全体(ツールの呼び出しと結果を含む)を読み、助言だけを返します。advisor の思考部分はメイン側に渡る前に捨てられます。

設定は3通りで、どれもモデルを選ぶためのものです。

  • /advisor コマンド(セッション中に切り替え。既定値として保存される)
  • 設定ファイルの advisorModel(例: "advisorModel": "opus")
  • 起動オプション --advisor <モデル>(そのセッションだけ)

公式ドキュメントに書いてあること・無いこと

Claude Code の advisor のページと、その土台になっている Claude API の advisor tool のページを、effort・thinking・inherit などの語で確認しました。

項目記載
advisor のモデル選択(advisorModel / /advisor / --advisor)あり
advisor 専用の effort 設定キーなし
advisor の effort を変える環境変数なし(advisor を丸ごと無効化する CLAUDE_CODE_DISABLE_ADVISOR_TOOL だけ)
API の advisor tool の設定項目model・max_uses・max_tokens(思考込みの出力上限)・caching など。effort は無い
effort と advisor の組み合わせ「Sonnet の executor(メイン側)を medium にして Opus を advisor にすると…」というメイン側の effort の話だけ
advisor の出力量の目安「本文 400〜700 トークン、思考込みで 1,400〜1,800 トークン程度」

メインの effort は effortLevel や modelSettings で設定できますが、公式ドキュメント上はメインモデルのための設定で、advisor に効くとは書かれていません。引き継ぐのか、固定なのかも書かれていません。

メイン側の effort の段階(low〜max)そのものは、Claude Code の新effortモード徹底解説で整理しています。

検索で見つかった声

同じ疑問を持つ人がいないか検索しました。見つかったのは主に次の3種類です。

  1. effort 全般の解説記事: low〜max の違いや、モデルごとの effort の保存方法など。advisor には触れていないものがほとんどでした。
  2. GitHub の Issue: 「/effort や /advisor の選択がそのまま既定値として保存されてしまう」「特定の組み合わせで advisor が unavailable になる」など、使い勝手の要望や不具合の報告です。effort を継承するかどうかを確かめたものは見つかりませんでした。
  3. 混同している説明: 「frontmatter に effort: xhigh と書けば advisor もその深さになる」という要約も見かけました。ただしこれはサブエージェント(.claude/agents/*.md で定義する委託先)の仕組みで、advisor とは別物です。Plan 用などのサブエージェントを xhigh にしていても、それが advisor に効くという根拠はありません。

一次情報が無いので、自分で測ることにしました。

第1段階:実ログを集計したら「連動しない」に見えた

Claude Code は会話の記録を JSONL 形式でローカルに保存しています。advisor を呼ぶと、その応答の usage.iterations[] に type: "advisor_message" という項目が増え、advisor のモデル名と入出力トークン数が記録されます。同じ行には、そのターンのメインの effort(perTurnEffort)も残っています。

筆者の約1か月分(2026-08-28〜09-28)のログから advisor の呼び出し 2,483 回を抜き出し、メインの effort 別に advisor の出力トークン数(思考込み)の中央値を出しました。

advisor のモデルメインの effort回数advisor 出力の中央値
Fable 5.1low3146,108
Fable 5.1medium1,3774,487
Fable 5.1high405,545
Opus 5low3444,863
Opus 5high58,353
Opus 5xhigh563,789
Opus 5.5medium3476,745

対照として同じログのメインモデル(Fable 5.1)を見ると、low 493 → high 857 と effort に応じてはっきり増えていました。一方で advisor は low がいちばん多いくらいで、effort に沿った増減が見えません。

ここで一度「advisor はメインの effort とは連動しない」と結論しかけました。しかしこれは、毎回ちがう作業・ちがう長さの会話をまとめて比べている集計です。相談の中身によって advisor の考える量は大きく変わるので、30% 程度の差なら簡単に埋もれてしまいます。high や xhigh のデータは数セッション分しかありません。そこで、条件をそろえて測り直しました。

第2段階:条件をそろえた対照実験

やり方

  1. 同じ課題を用意する。 架空の作業記録を1つ作りました(月末だけ売上集計がずれるバグの調査途中で、直し方が2案あって迷っている、という内容)。
  2. 物差しを作る。 advisor と同じ Opus 5.5 を、claude -p --effort <値> で low / medium / high / xhigh / max の5段階で直接動かしました。「助言役として、この作業記録に次の方針を助言してください」と頼み、各5回ずつ出力トークン数と思考トークン数を記録しました。この回は advisor を無効にしています。
  3. advisor を測る。 メインも Opus 5.5 にし、advisor に Opus 5.5 を付けて、メインの effort を low / high / xhigh に切り替えました。「答える前に必ず advisor に一度相談して」と指示して各5回実行し、advisor_message の出力トークン数を記録しました。advisor に渡る入力はどの回も約23,000トークンで、ほぼ同じです。

結果1:advisor はメインの effort に少しだけ連動する

メインの effortadvisor 出力(5回)中央値
low1,244 / 1,306 / 1,622 / 1,866 / 1,9891,622
high1,564 / 1,740 / 1,771 / 1,864 / 2,4981,771
xhigh2,025 / 2,061 / 2,102 / 2,513 / 2,8082,102

low と high はほとんど重なっていますが、xhigh の5回はすべて low の5回より多くなりました(並べ替え検定で片側 p≈0.024)。メインの effort は、advisor にもある程度は伝わっていると考えるのが自然です。

ただ、その幅は小さなものです。物差し側(同じモデルを直接動かした場合)は low → xhigh で出力が約3.7倍になったのに対し、advisor は約1.3倍でした。

結果2:advisor の思考量は medium〜high 相当

物差し側の結果です。

effort出力の中央値うち思考うち本文
low1,231351945
medium1,715780948
high2,2481,1721,110
xhigh4,6023,4811,235
max28,68227,3841,379

advisor は短く助言するよう作られているので、出力の合計をそのまま比べると不公平です。そこで思考の量で比べます。advisor の思考トークンは記録に出ないため、「advisor の出力 − 助言本文」で逆算しました。助言本文は公式の目安(400〜700トークン)と、物差し側の本文と同じくらい(約950トークン)の両方を仮定しています。

advisor の思考量は medium〜high 相当

逆算した advisor の思考量は、どの仮定・どのメイン effort でも 672〜1,702 トークンに収まりました。物差しの medium(780)〜 high(1,172)のあたりで、上限でも xhigh(3,481)の半分に届きません。max(27,384)とは桁が違います。

「advisor は xhigh 固定では」という予想は、少なくともこの実験では外れました。 Plan 用のサブエージェントを xhigh にしていても、advisor はそれとは別の、もっと控えめな深さで考えているようです。

ここから言えること・言えないこと

言えること

  • advisor の effort は設定できず、公式にも仕組みの説明はありません。
  • メインの effort を上げると advisor の出力も少し増えますが、その幅は同じモデルを直接動かしたときよりずっと小さいです。
  • advisor の思考量は、直接実行の medium〜high 相当でした。xhigh や max 並みに考えている様子はありません。

言えないこと

  • advisor が内部でどの effort 値を使っているかは断定できません。advisor には専用の指示文があり、物差しとまったく同じ条件にはならないからです。
  • 実験は1つの課題・1つのモデル(Opus 5.5)・各5回だけです。Fable など他のモデルや、長い実作業の会話では違う結果になるかもしれません。
  • advisor は実験的な機能なので、今後の更新で挙動が変わる可能性があります。

実務でどう使うか

  1. メインの effort は、コストと速さで決めてよい。 メインを下げると advisor も少し控えめになりますが、その差は小さいものです。
  2. advisor に xhigh 並みの深さは期待しない。 advisor は要所で方針を確かめる相談役です。本当に深く考えさせたい設計判断は、effort を上げたメインか、xhigh のサブエージェントに任せるほうが確実です。
  3. advisor を強くしたいときは、モデルを変える。 確実に効く指定は /advisor や advisorModel でのモデル選択だけです。
  4. サブエージェントの effort と混同しない。 effort: xhigh はサブエージェント定義の話で、advisor には効きません。
  5. ログの集計だけで判断しない。 実運用ログは条件がばらばらなので、小さな差は見えなくなります。確かめたいときは、同じ課題で条件をそろえて比べるのが近道です。

CLI での試し方:自分の環境で確かめる

今回の実験は、claude -p(非対話モード)だけで再現できます。自分の使い方でも同じか確かめたいときの手順です。

  1. 物差しを取る。 advisor を切った状態で、同じ課題を effort だけ変えて直接実行します。環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_ADVISOR_TOOL=1 を付けると、advisor を確実に外せます。例: claude -p --effort high "(課題文)"
  2. advisor を測る。 同じ課題に「答える前に必ず advisor に一度相談して」と書き添え、--advisor opus を付けて、メインの effort だけを変えて実行します。advisor を呼ぶかどうかはモデルが決めるので、相談を明示的に頼むのがこつです。例: claude -p --effort low --advisor opus "(課題文)"
  3. 記録を読む。 Claude Code がローカルに保存する会話記録(JSONL)で、usage.iterations[] のうち type: "advisor_message" の項目を探し、その出力トークン数を比べます。
  4. 条件をそろえる。 課題文・モデル・回数(今回は各5回)を固定し、変えるのは effort だけにします。1回ずつのばらつきが大きいので、中央値で比べるのがおすすめです。

どんな場面で効くか・向かない人

この結果が役に立つ人

  • メインの effort を下げてコストを抑えつつ、要所の確認だけは強いモデルに任せたい人
  • 「advisor は xhigh で考えているはず」と思い込んで設定を組んでいた人

気にしなくてよい人

  • 短い作業が中心の人。公式ドキュメントも、計画することが少ない短い作業では advisor の効果は小さいとしています
  • 毎ターン最も深い思考が要る作業をしている人。advisor に頼るより、メインのモデルや effort を上げるほうが確実です

まとめ

  • advisor の effort は個別に設定できません。メインから引き継ぐのかどうかも、公式には書かれていません。
  • 実ログ2,483回の集計では連動していないように見えましたが、条件をそろえた実験では、メインの effort に弱く連動していました(low → xhigh で約1.3倍)。
  • advisor の思考量は、同じモデルを直接動かしたときの medium〜high 相当でした。xhigh 固定ではありません。
  • advisor の深さを変えたいなら、モデルを選び直すのがいちばん確実です。

出典

検証日・環境

  • 検証日: 2026-09-28
  • Claude Code v2.1.283(Linux)
  • 実ログ集計: 筆者の Claude Code 実ログ(2026-08-28〜2026-09-28)・advisor 呼び出し 2,483 回(Fable 5.1 / Opus 5 / Opus 5.5)
  • 対照実験: claude -p・メイン Opus 5.5・advisor Opus 5.5・同一の架空作業記録・物差し25回+advisor 15回(ネットワークエラーと advisor の混入で取り直した分を除く)

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

Claude Codeを週間枠到達後に実測:advisorは日別73〜105回動いた
開発ログ2026年9月21日

Claude Codeを週間枠到達後に実測:advisorは日別73〜105回動いた

最上位モデルの週間枠が尽きた後、メインを一段下げて advisor だけ最上位に残す構成を、セッションログの日別集計で検証した実測記録。

#Claude Code#AI開発環境#コスト管理
effort を途中で変えるとキャッシュはどうなる? Fable 5.1 と Opus 5 で実測した
開発ログ2026年9月3日

effort を途中で変えるとキャッシュはどうなる? Fable 5.1 と Opus 5 で実測した

Fable 5.1 の値下げはキャッシュ読みだけ。Claude Code が TTL を決める仕組み、キャッシュを壊す操作と壊さない操作、effort 切替時の再書き込みを Fable 5.1 と Opus 5 の usage で実測しました。

#Claude Code#Claude#Anthropic#LLM#コスト削減
Fable 5.1 は『low で旧 max 超え』なのか|公式グラフ5枚をベンチ別に正直に読む
開発ログ2026年9月3日

Fable 5.1 は『low で旧 max 超え』なのか|公式グラフ5枚をベンチ別に正直に読む

Claude Fable 5.1 の公式グラフ5枚をベンチ別に読み、low が旧 Fable 5 の max を超えたベンチと超えなかったベンチを表にしました。常用 effort の決め方と Pro/Max の課金条件も整理します。

#Claude#Claude Code#Anthropic#LLM#ベンチマーク
Anthropicリーク2連発:Claude MythosとClaude Code流出で見えたKAIROS、BUDDY、Undercover Modeの正体
開発ログ2026年4月1日

Anthropicリーク2連発:Claude MythosとClaude Code流出で見えたKAIROS、BUDDY、Undercover Modeの正体

Anthropicの2週間で2回のリークを整理。Claude Mythosの位置づけ、Claude Code流出の中身、KAIROS/BUDDY/Undercover Modeの意味を分けて読む。

#Anthropic#Claude#Claude Code#リーク#AI開発

META-MARK × AI

ローカルAIを動かすGPU、ちゃんと選べていますか?

VRAM・性能・コスパをMetaScoreで数値化。AIアプリ別の推奨ハードウェア要件も確認できます。