Claude Codeの公式カタログ全件を実測:Anthropic製は一部だけ
Claude Code の公式プラグインカタログに載っている=Anthropic が作った、ではありませんでした。全件の提供元を機械で分類したところ、Anthropic 製は一部だけ。author 欄は自己申告で判定に使えず、頼れたのはコードが置かれた GitHub 組織という詐称できない一点でした。
こんにちは。強い日差しを避けて家で過ごす夏の週末は、パソコンの中身を棚卸しするのに向いていますね。今回は、Claude Code(Anthropic の AI コーディングツール)に入れる拡張機能が「誰の作ったものか」を、公式カタログの全件で確かめた話です。
先に結論を書きます。公式カタログに載っている=Anthropic が作った、ではありませんでした。Anthropic 製は全体の一部だけで、中身の大半は他社や個人が自分たちの GitHub(コードの置き場として広く使われているサービス)から配布しているものです。カタログの author(作者)欄は自己申告なので判定には使えず、頼りになったのは「コードがどの GitHub 組織に置かれているか」という、名乗りでごまかせない一点でした。そして入れる前に見るべきなのは、提供元とは別に「呼ばなくても自動で動くか、外につながるか」です。
きっかけは単純で、/plugin と打つとデータベース、監視、決済、デザインツールと拡張機能がずらりと並び、名前を見ているだけでも楽しいのですが、その一つを入れようとしてこれ、誰が作ったものなんだろうと手が止まったことでした。拡張機能は自分のパソコンの中で動きます。全部疑えばクラウドサービスを使うこと自体を否定することになるし、全部信じるのも雑です。判断の物差しが欲しくて、カタログに登録されている全件を機械で数えて、提供元を確定させることにしました。少し前の Claude Code の変化は 200Kが1Mになった3日間、Claude Code 2.1.74〜76で起きたこと にまとめています。
「公式カタログ」は公式が作った品ではなく、公式が集めた店だった
まず、私の勘違いから。このカタログは確かに Anthropic が運営しています。ですが、中身の大半は他社と個人が、自分たちの GitHub リポジトリ(コード一式を入れておく場所)から配布しているものでした。Anthropic 自身が作ったものは、全体の一部にとどまります。
例えるなら百貨店です。看板は百貨店のものでも、並んでいる商品を作っているのは各メーカーで、百貨店が一つひとつの中身を検品しているわけではありません。
これは悪いことではありません。Google も AWS も SAP も Shopify も、自社の公式アカウントから自社製品向けの拡張機能を出しています。むしろ健全です。ただ、「公式カタログにあるから公式が保証している」という読み方は事実と違う、ということです。
作者の欄は、素性の判定に使えない
では提供元はどこを見れば分かるのか。カタログには author(作者)という欄があり、最初はこれを使おうとしました。
使えませんでした。理由は二つあります。一つは、相当数のエントリで author 欄が空だったこと。もう一つのほうが本質的で、author 欄は自己申告の自由記述だということです。誰でも好きな文字列を書けますし、企業名を名乗ることも技術的には妨げられていません。
「企業名らしいかどうか」を機械で検査する方法もありません。結局「何か書いてあるかどうか」を見るだけになってしまい、それでは素性の判定になりません。
名乗りでごまかせないのは、コードの置き場所だけだった
そこで発想を変えて、自己申告できない情報は何かを探しました。一つだけありました。コードがどこに置かれているかです。
github.com/cloudflare/ の下にコードを置けるのは Cloudflare だけです。ここは名乗りではなく、GitHub のアカウント管理という外形的な事実で守られていて、他人が勝手に押し込むことはできません。
そこで、カタログの各エントリが指しているリポジトリの URL からGitHub の組織アカウント名だけを取り出し、その組織が実在する企業のものかを一つひとつ照会していく方式にしました。名乗りは一切見ず、置き場所だけを見ます。この方針で全件を振り分けた結果が、次の三つの区分です。
- Anthropic公式 — Anthropic 自身が作り、自身のリポジトリに置いているもの
- 企業が自社製品として提供 — その企業自身の GitHub 組織から公開されているもの
- 個人・コミュニティ提供 — 上記以外。個人アカウント、周辺組織、確認材料が足りないもの
第3区分に「怪しい」という意味は持たせていません。検証の状況を述べているだけです。実際、利用者数の上位には個人開発者の作品が入っており、区分と人気はまったく相関しませんでした。
機械で振り分けるときに踏みかけた三つの落とし穴
機械で判定する途中には、危うい罠がいくつかありました。同じことをやる人のために書いておきます。
一つめは、ホームページの URL から提供元を推定してはいけない、ということ。 一部のプラグインは、Anthropic の配布リポジトリに同梱される形で置かれていて、その場合はホームページ欄が Anthropic の URL を指します。ここから提供元を拾うと、Microsoft 製や Google 製の拡張機能に「Anthropic公式」の札が立ちます。他社の製品を別の会社の名前で紹介することになるので、この企画で起こしうる最悪の表記事故です。コードの側で禁止し、テストで固定しました。
二つめは、GitHub の「認証済み」表示は使えない、ということ。 組織アカウントには認証バッジが付くことがあり、これを条件にしようとしました。ところが実測すると、Cloudflare も Stripe も MongoDB も Spotify も PayPal も Oracle も未認証扱いでした。これを条件にすると、信頼して使いたい提供元ほど下位に落ちてしまいます。
三つめは、組織名の突き合わせを部分一致でやると事故る、ということ。 組織名と製品名を照らし合わせる処理を部分一致で書いたところ、ある組織名に含まれる「security」という語がたまたま一致して、本来なら人が確認すべき提供元が自動で昇格しました。security、labs、cloud、data のような汎用語を照合対象から外して直しています。これも「名乗れば通ってしまう」のと同じ穴でした。
入れる前に見るべきは、名前ではなく「自動で動くか」
提供元とは別に、もう一つ数えたものがあります。その拡張機能が何を持っているかです。拡張機能には四種類の部品があり、権限の強さがはっきり違います。
- フック — 呼ばなくても、条件が揃うと自動でコマンドが実行される。いちばん強い
- 外部サービス接続(MCP) — 外のサービスにつながる。作業内容が外に出る経路になりうる
- エージェント・スキル — 指示文。悪意ある指示が混ざれば誘導される余地はある
- コマンド — 呼んだときだけ動く。比較的おとなしい
数えてみると、自動で動く仕組みを持つものが一定数あり、外部サービスへつながるものは全体の四割を超えていました。
ここが実務的な結論です。提供元の区分と「何を持っているか」は別の軸です。企業製でもフックを持つものはありますし、個人製でも呼んだときしか動かないものはあります。入れる前に見るべきは、名前の知名度ではなくこの二つの軸でした。
日本語の説明づけでは、採点役に材料を渡し忘れていた
おまけの話です。全件に日本語の説明を付ける作業も生成モデル(文章を書く AI)に任せたのですが、ここでも一つ学びがありました。
説明を書く役と、その説明が正しいかを採点する役を、別のモデルに分けていました。ところが採点役に、書く役と同じ材料を渡していなかったのです。その結果、書く役だけが知っている正しい情報(実在する機能の名前など)が、採点役から「原文にない事実をでっち上げている」と機械的に弾かれ続けました。極端な例では、プラグイン名そのものに含まれている製品名について「原文に言及がない」と指摘されたり、実在する製品名を「実在しない造語と考えられる」と判定されたりしています。
検品役と作業役の持っている情報が違うと、正しい仕事が不合格になる。 人間の組織でも見かける話でした。採点の基準を作り直すこと4回、これが今回いちばん時間を食った作業です。
数より、物差しを一つ持っておく
まとめると、「公式カタログにある」は「公式が作った」でも「公式が中身を保証した」でもありません。author 欄は自己申告で、素性の判定には使えません。土台になるのはコードが置かれている GitHub の組織アカウントという詐称できない一点で、入れる前に見るべきもう一つの軸は呼ばなくても自動で動くか、外部につながるかです。
カタログは今後も増えていきます。数を覚えるより、物差しを一つ持っておくほうが長持ちします。
全件を三区分で分類し、日本語の説明を付けた一覧を用意しました。具体的な件数や個別の提供元は、そちらでご確認ください。提供元の区分・持っている部品・利用者数の帯で絞り込めるようにしてあります。
出典
- Claude Code 公式プラグインカタログ(Anthropic が運営する GitHub リポジトリ
anthropics/claude-plugins-official) - 各プラグインの提供元情報は、上記カタログが記録している配布元リポジトリの URL、および GitHub の組織アカウント情報より取得
検証日・環境
- 検証日: 2026年8月20日〜21日
- 対象: 公式マーケットプレイスに登録されている全エントリ(他のマーケットプレイスは対象外)
- 方法: カタログのローカルキャッシュから機械抽出し、提供元の組織アカウントを GitHub の公開 API で全件照会。分類ロジックは回帰テストで固定
- 日本語説明: 生成モデルで作成し、別系統のモデルで「原文にない事実の混入」を全件採点したうえで掲載
参考リンク
この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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