RTX 4070 Ti 12GBでGemma 4 MTP drafterを実測。ドラフター0.14GB、ただし最速はvLLMの162.7 tok/s。導入判断を正直にまとめます。
TL;DR: RTX 4070 Ti 12GB に Gemma 4 MTP drafter は乗る。ドラフターは 0.14GB と驚くほど軽い。ただし今日の最速は vLLM + E2B(drafter なし)≈ ~170 tok/s(decode)。MTP drafter 経由(transformers)は 11.5 tok/s(1.58x)。無条件推奨はまだ早い。
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検証環境: RTX 4070 Ti 12GB / vLLM 0.20.1 / transformers 5.8.0 / 確認日: 2026-05-07
| コンポーネント | VRAM 使用量 |
|---|---|
| Gemma 4 E2B-it(int8 量子化) | 7.34 GB |
| E2B-it-assistant(MTP drafter) | 0.146 GB |
| 合計 | 7.48 GB |
| 構成 | フレームワーク | 平均 tok/s | 備考 |
|---|---|---|---|
| E2B(drafter なし) | vLLM 0.20.1 | ~170 | ※ decode 速度(150tok 応答のみ) |
| E2B(drafter なし) | transformers 5.8.0 | 7.3 | 全8プロンプト × 150tok 平均 |
| E2B + MTP drafter | transformers 5.8.0 | 11.5 | 1.58x speedup |
※ 計測条件の注意: vLLM の測定はチャットテンプレート未適用のため、8プロンプト中6本が1トークンで即終了(EOS)。全プロンプト込みの平均は 162.7 tok/s だが、これは条件不整合。150トークン応答のみで抽出した decode 速度は ~170 tok/s。transformers(全プロンプト150tok)との正しい比較は 170 vs 7.3 ≈ 23x 差。
この数字、最初に見た時は正直少し意外でした。**「ドラフターは軽いのに、速さは思ったほど伸びない」**からです。
MTP drafter は Speculative decoding(投機的デコーディング)の一種です。
小さく軽い「ドラフターモデル」が先に複数トークンを予測し、大きなメインモデルがそれを一気に検証する。正しければそのまま採用、外れたら修正する。この仕組みによって、メインモデルの 1 回の forward pass で複数トークンを確定でき、スループットが上がります。
Gemma 4 の MTP drafter が従来のスペキュラティブデコーディングと違うのは、ターゲットモデルの activations(活性化)を共有しながら、軽量な 4 層ドラフターが先読み候補を出す設計になっている点です。
ポイント: ドラフターは「4層 + 共有 activations」の設計のため VRAM がほぼ増えない。これが 0.14GB という実測値の理由です。
軽いからといって何でもかんでも 3 倍になるわけではない。実装系、バックエンド、対応範囲の影響をかなり受けます。
発売から 2 日後(2026-05-07)に試してみて、壁はきれいに 3 つ出ました。
最初に試したのは E4B 側でしたが、bfloat16 で 10.8GB を消費し OOM で落ちる。Gemma 4 は語彙数が約 26.2 万語と非常に多く、embedding テーブルだけで 2GB 超を消費します。さらに画像エンコーダも含むマルチモーダルアーキテクチャのため、実際のロード時はモデルサイズの見積もりより大きくなります。
E2B int8 量子化に切り替えて 7.34GB に収めました。詳しいサイズ比較は「
BlogGemma 4 E2B vs E4B:24問実測で見えた速度5倍差の使い分け基準Gemma 4 E2B(2B)とE4B(4B)を24問実測比較。スコア差9%・速度差5倍の実態と、VRAM 4GBで動く省電力LLMとして選ぶべき条件を整理。→」も参照してください。
vLLM 0.20.1 を使って MTP drafter つきで起動しようとすると、こんなエラーが出ます。
NotImplementedError: Speculative Decoding with draft models
or parallel drafting does not support multimodal models yet
Gemma 4 のアーキテクチャは Gemma4ForConditionalGeneration(マルチモーダル)として認識されます。vLLM 0.20.1 ではこの組み合わせがまだ非対応(vLLM GitHub Issue 追跡中)。
transformers 4.x には Gemma4ForCausalLM が未収録です。5.8.0 へのアップグレードが必要でした。Gemma4AssistantForCausalLM(ドラフター)も同様です。
主張の前提と今回の実測条件が違うからです。
ポイント: 「MTP の仕組みが弱い」ではなく、「現時点の実装と条件が 3x を引き出し切れていない」と見るのが自然です。
私はこれを **「VRAM 二段コスト(重量モデル + ドラフター)の罠が存在しない」**状態と呼んでいます。
普通、スペキュラティブデコーディングで第 2 モデルを追加すると VRAM が単純に倍近くになります。しかし Gemma 4 の MTP drafter は 158MB のウェイトしか持たない MTP 専用 4 層構造のため、VRAM 追加分はほぼゼロ。これは、12GB 環境における導入の心理的ハードルをかなり下げる事実です。
ただし、ドラフターが軽いことと全体として最速になることは別問題です。
今日(2026-05-07 時点)の最速実用構成は vLLM + E2B(drafter なし)≈ 170 tok/s(decode)でした。
MTP drafter の面白さを認めたうえで、今この瞬間に速度だけを取りにいくなら drafter を足さない構成の方が速いです。
| 目的 | 推奨構成 | 期待 tok/s |
|---|---|---|
| 速度最優先(今日) | vLLM + E2B(drafter なし) | ~170(decode) |
| MTP drafter 検証 | transformers 5.8.0 + E2B + drafter | 11.5(1.58x) |
| vLLM 対応後(将来) | vLLM + E2B + drafter | 250〜270(推定) |
「今すぐ全員に入れるべき」ではありません。
でも、RTX 4070 Ti 12GB でローカルLLMを回していて、MTP drafter がどこまで使えるかを見たい人には、十分に検証価値がある。VRAM 0.14GB という軽さはかなり魅力です。
一方で、今日の目的が"とにかく速くすること"なら、MTP drafter はまだ第一選択ではありません。 vLLM の対応状況や、transformers 側の成熟を待った方が時間を失いにくいはずです。
チームへ共有するなら: ①ドラフターは軽い(0.14GB)② ただし今の最速は vLLM + E2B ≈ 170 tok/s(decode) ③ MTP の 3x は現時点では再現条件が限られる、の3点を分けて伝えると誤解が減ります。
なお、手元のGPUがどのくらいの負荷に耐えられるかをざっくり測りたいときは、ブラウザだけで動くGPU負荷テストも手軽です。ドライバ更新やオーバークロックの前後比較にも使えます。
そして「12GB だと E4B が bfloat16 で OOM」が分かったとき、わざわざ高VRAMカードを買い足す前に、クラウドで時間借りして挙動だけ確かめる手もあります。
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E4B は bfloat16 で 10.8GB を消費するため、12GB では KV キャッシュ用の余裕がなく OOM になります。int8 量子化すれば E4B 単体(7.3GB)は動きますが、vLLM 0.20.1 では MTP drafter との組み合わせは未対応です。16GB VRAM があれば選択肢が広がります。
今回の transformers 実測(7.3 → 11.5 tok/s、1.58x)の speedup 比を vLLM decode 速度(~170 tok/s)に外挿すると、250〜270 tok/s が期待値です(170 × 1.58 ≒ 269)。vLLM のエンジン最適化でさらに向上する可能性もあります。
今日の最速構成(vLLM + drafter なし)では E2B ~170 tok/s(decode)vs E4B 比較未測定です。E4B は品質が高い代わりに速度が落ちます。速度重視なら E2B、品質重視で VRAM に余裕があるなら E4B int8。詳細は「
BlogGemma 4 E2B vs E4B:24問実測で見えた速度5倍差の使い分け基準Gemma 4 E2B(2B)とE4B(4B)を24問実測比較。スコア差9%・速度差5倍の実態と、VRAM 4GBで動く省電力LLMとして選ぶべき条件を整理。→」を参照してください。
今回の実測では、greedy(temperature=0)での出力は BASE と MTP drafter でほぼ同一でした。理論上、greedy sampling ではスペキュラティブデコーディングは同一出力を保証します。
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この記事は実運用環境(RTX 4070 Ti 12GB / aiserver)での検証内容をもとに執筆しています。
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