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事例紹介2026年3月18日by K.hirano

ローカル最高80% vs クラウド93%——20点差が示す、規模の残酷な現実

GPT-5.4 mini/nanoを同じ24問ベンチマークで測定。ローカル最高峰Qwen3.5:4bの80.8%に対し、miniは92.9%・nanoは79.2%。スコアの読み方と、正直な限界を書きます。

#gpt-5.4-mini#gpt-5.4-nano#llm-benchmark#OpenAI#local-llm

GPT-5.4 mini は24問中92.9%(ランクS)、nano は79.2%(ランクA)。 ローカル最高のQwen3.5:4bは80.8%。20点差は本物か、学習済みの差か——両方正直に書きます。

📋 この記事で使用したテスト問題(全24問)は LLM 24問テストスイート で確認できます。

目次

テスト環境と方法

クラウド側(GPT-5.4 mini / nano)

項目内容
エンドポイントLiteLLM ゲートウェイ → OpenRouter 経由
max_tokens4096
temperature0.3
実行日2026年3月18日

ローカル側(過去ベンチマーク)

モデル実行環境
Qwen3.5:4b 他RTX 4070 Ti + Ollama(SSH トンネル経由)

テストスイートは共通。A(意地悪問題)・B(論理)・C(コード)・D(日本語)各6問、計24問。各問 0〜10点で採点、満点は240点です。

過去の全結果は「Qwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話BlogQwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話Qwen3.5:4bをOllama上でベンチマーク。thinkingモードが原因で9問が空回答になった。think:falseに切り替えたらスコアが194/240(80.8%)に回復。RTX 4070 Tiで101.5 tok/s出る4Bモデルの実力を24問で徹底検証。」でまとめています。

GPT-5.4 mini の結果:223/240(92.9%)ランクS

カテゴリスコア寸評
A(意地悪)50/60お墓問題で前提矛盾を指摘できず。月曜問題は実カレンダーで上書き
B(論理)58/60パリティ戦略・川渡り・水差し全問正解。天秤コインが8点
C(コード)60/60満点。FizzBuzzJazz・SQLインジェクション・mutableデフォルト引数すべて正確
D(日本語)55/60慣用句問題で1問余分に指摘(役不足を誤用扱い)。その他は高精度

初めて「ランクS」が出ました。240点満点で93%近いスコアは、このシリーズで最高です。ランクの定義はS(90%以上)・A(75〜89%)・B(60〜74%)・C(45〜59%)・D(45%未満)です。

注目は B と C の安定感です。モンティ・ホール問題、100人の囚人と帽子のパリティ戦略、SQLインジェクションの検出と修正——すべて正確でした。think トークン(reasoning トレース)を毎問消費しており、応答速度は 167.7 tok/s。43秒で24問を完走しました。

24問あたりの API 料金は約 ¥2(出力 7,329 トークン、OpenRouter 経由)。

GPT-5.4 nano の結果:190/240(79.2%)ランクA

カテゴリスコア寸評
A(意地悪)43/60医者と息子の問題で母親に気づけず。独自の「別居説」を展開
B(論理)47/60100人の囚人問題で「50人」と回答。パリティ戦略に到達できなかった
C(コード)57/60メールアドレス正規表現で4番を見落とし。それ以外は正確
D(日本語)43/60慣用句問題で誤り2問を完全に取り違え(1番・4番を見落とし)。D4の軌跡も奇跡と誤答

Qwen3.5:4b(80.8%)と比べると、ほぼ同等です。ただしこちらは API 課金で、24問あたり約 ¥1 以下(出力 7,501 トークン)。

B4(囚人の帽子問題)の0点は意外でした。「50人」という答えは問題の構造を正確に把握できていない。この問題は解説記事が多く、mini は正解していたので、モデル規模の差が出た場所だと思います。

医者と息子の問題では「別居していた医師が顔で気づいた」という独自解釈を展開しました。なかなか読んだことのない別居解消の経緯でした。

ローカルLLMとの横断比較

モデルスコアランク種別24問コスト
GPT-5.4 mini223/240 (92.9%)SクラウドAPI¥2
Qwen3.5:4b194/240 (80.8%)Aローカル電気代 ~¥0.2
GPT-5.4 nano190/240 (79.2%)AクラウドAPI¥1
Qwen3:4b182/240 (75.8%)Aローカル電気代 ~¥0.2
Qwen3.5:9b180/240 (75.0%)Aローカル電気代 ~¥0.3
phi4:14b175/240 (72.9%)Bローカル電気代 ~¥0.5
Swallow-Llama3-8b121/240 (50.4%)Cローカル電気代 ~¥0.2
deepseek-r1:7b94/240 (39.2%)Dローカル電気代 ~¥0.2

単純に比べれば、クラウドのほうが20点高い。それが今の現実です。

電気代を計算してみたら、RTX 4070 Ti でのローカル推論は24問あたり ¥0.2〜0.5 でした。API の nano(¥1)より安い。GPU購入費を除けば、の話ですが。

「ローカル無料 vs クラウド有料」という構図は、電気代単体ではすでに逆転しています。ただし GPU 購入費(10万円前後)を回収するには膨大な使用量が必要で、ライトユースなら API のほうがトータルで安い——というのが正直なところです。

93%という数字を、そのまま信じていいか

ここは正直に書きます。

このテストスイートの問題は、ウェブ上に大量に存在する定番問題です。

  • モンティ・ホール問題 → Wikipedia に解説がある
  • 川渡り問題 → 中学受験の定番
  • FizzBuzz → プログラミング入門の代名詞
  • SQLインジェクション → セキュリティ教科書の例題
  • mutableデフォルト引数 → Python の有名なアンチパターン

GPT-5.4 mini がこれらを「推論で解いた」のか「学習データから再現した」のかは、外部から判断できません。数百億パラメータ規模のモデルが、これらの問題を記憶している可能性は十分あります。

同じことはローカルモデルにも言えます。ただし、モデルが大きいほど学習データの量と質が上がるため、「記憶の確実な再現」という意味でも大規模モデルが有利になります。

「推論力」ではなく「引き出しの深さと精度」を測っている——そう理解した上で、このスコアを読むのが正しいと思っています。

今後のベンチマーク改訂では、変形問題(コインの枚数を変える、FizzBuzzの倍数を変えるなど)を取り入れる予定です。

それでも、安くて品質が高い

限界を書いた上で言います。

GPT-5.4 mini は今のところ日本語でもっともコスパの良いクラウドLLMの一つです。24問 ¥2 という料金、93%近いスコア、400Kコンテキスト——この組み合わせはローカルでは現時点で出せない。

nano は mini より15ポイント低いですが、分類・データ抽出・定型文生成なら十分な性能です。¥1以下という料金は、大量処理のパイプラインで活きてきます。

ローカルを選ぶ理由がなくなった、とまでは思いません。プライバシー・コスト構造・オフライン動作——ローカルには固有の価値があります。ただ「ローカルのほうが賢い」という時代は、少なくともパラメータ規模が互角になるまで来ないでしょう。

よくある質問

Q. GPT-5.4 mini はローカルLLMより本当に賢いのか?

このベンチマークでは93% vs 80%で20点差があります。ただしテストスイートに定番問題が多く含まれるため、「推論力」ではなく「引き出しの深さと精度」の比較である点に注意が必要です。変形問題を用いた次世代テストスイートを準備中です。

Q. nano と mini はどう使い分けるべきか?

分類・要約・定型文生成など判断が比較的シンプルなタスクには nano(¥1/24問以下)を、複雑な推論・コード生成・多段論理が必要なタスクには mini(¥2/24問)を推奨します。コスト差は2倍ですが、スコア差は13ポイント(93% vs 79%)です。

Q. ローカルLLMをやめてAPIに一本化すべきか?

用途次第です。プライバシー重視・オフライン動作が必要・大量推論でGPUコストが回収できるケースではローカルの優位性が残ります。一方、ライトユース(月数百回程度)ならAPI料金はほぼ無視できる水準で、トータルコストは API が有利なことが多いでしょう。

まとめ

  • GPT-5.4 mini: 223/240(92.9%)ランクS。24問 ¥2。このベンチマークシリーズ最高スコア
  • GPT-5.4 nano: 190/240(79.2%)ランクA。24問 ¥1以下。ローカル4bクラスと同等
  • ローカル最高峰 Qwen3.5:4b は 80.8%。電気代 ¥0.2・GPU代別
  • スコアの限界:定番問題は学習済みの可能性がある。純粋な推論力の指標ではない

API を使っている方は mini を一度試す価値があります。nano は大量処理のサブエージェントとして面白い選択肢です。

過去のローカルLLMベンチマーク記録は「14Bで175点・ランクB——phi4:14bに24問ぶつけた正直な結果Blog14Bで175点・ランクB——phi4:14bに24問ぶつけた正直な結果phi4:14bに24問テスト。175/240点(72.9%)ランクB。蛙の季語は正解できたが汚名返上をSwallowと同じく誤用と断言した。4.2 tok/s・VRAM 8.3GB使用の詳細な結果を公開。」「Qwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話BlogQwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話Qwen3.5:4bをOllama上でベンチマーク。thinkingモードが原因で9問が空回答になった。think:falseに切り替えたらスコアが194/240(80.8%)に回復。RTX 4070 Tiで101.5 tok/s出る4Bモデルの実力を24問で徹底検証。」にまとめています。

モデルの性能曲線を見ていると、年々「これは純粋に楽しめるラインを超えている」と思う瞬間が増えています。¥2で93%というのも、そういう数字のひとつです。仕事に使うしかない、とは思いつつ——少し息苦しい。

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この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

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