GPT-5.5のreasoning.effortパラメータ(none〜xhigh)の選び方を実務翻訳。Responses APIとChat Completions APIの書き方の違い、思考過多トラップの回避、タスク別の判断フローを整理します。
この記事は API と Responses API の公式ドキュメント(2026年4月版)をもとに執筆しています。ChatGPT UI でのeffort設定については、2026年4月時点で公式の詳細情報が確認できていないため、API 中心の構成としています。
TL;DR: GPT-5.5 の reasoning.effort は none / low / medium / high / xhigh の5段階。デフォルトは medium で、大半の実務タスクはこれで十分。high は設計・長期エージェント専用、xhigh は eval で差が出た場合のみ。effort を上げるほど reasoning tokens が増えてコストも上がる。Responses API と Chat Completions API でパラメータの書き方が異なる点に注意。
reasoning.effort とは何かreasoning.effort とは何かreasoning.effort は、GPT-5.5 に「どれだけ深く考えてから答えるか」を指示するパラメータです。
内部的には reasoning tokens(思考トークン)の使用量に影響します。effort を上げるほど、モデルは答える前により多くのトークンを「内部推論」に使う。その分だけ精度が上がる可能性がある——代わりに時間とコストがかかります。
重要な点として、reasoning tokens は output tokens として課金されます。「追加料金はない」が、トークン数が増える分だけ費用が上がる構造です。
GPT-5.4 は low / medium / high の3段階(公式によっては none も含む4段階)でしたが、GPT-5.5 では xhigh が正式に追加されて5段階になりました。
| レベル | 内部推論 | 主な用途 |
|---|---|---|
| none | なし | 音声ターン・テキスト分類・情報検索 |
| low | 最小限 | コスト優先のツール呼び出し・多段階意思決定 |
| medium(デフォルト) | バランス | 一般的なコーディング・Q&A・計画立案 |
| high | 深い推論 | 設計・アーキテクチャ・長期エージェントタスク |
| xhigh | 最大 | ベンチマーク評価・研究グレードの問題解決 |
一つひとつを実務の言葉に翻訳すると、こうなります。
音声対話のターン応答、テキスト分類、キーワード抽出など、推論が不要な軽量タスク向けです。
レイテンシが最優先で、「正確に推論する」より「即座に返す」ことが価値になる場面。コンシューマー向けの音声アシスタントや、分類パイプラインの中間ステップなどが典型です。
公式ドキュメントでは「latency-critical tasks that do not benefit from any reasoning」と定義されています。ここで medium を使うのは単純にコストの無駄です。
none を検討するより先に low を評価することを OpenAI は推奨しています。
tool use(関数呼び出し)が絡む場合、あるいは計画・多段階の意思決定が必要な場合、none では品質が落ちる。でも medium ほど深く考える必要もない。そのすき間が low の出番です。
カスタマーサポートの自動応答、データ分析のパイプライン、コスト最適化が重要な高頻度バッチ処理などで使います。
デフォルト値。品質・信頼性・レイテンシ・コストのバランスが取れた設定です。
一般的なコーディング、Q&A、計画立案、複雑な推論を含むタスク——大半の用途はここで十分カバーできます。
まず medium で使い始めて、「明らかに足りない」と感じてから high を検討する。ここが今回の中心的な判断軸です。余計なコストを払わずに済みます。
参考として:Handy AI の Intelligence Index では、GPT-5.5(medium)が Claude Opus 4.7(max 設定)と同等スコアを、約4分の1のコストで達成しています。effort を上げなくても十分な知性を発揮している、ということの実データです。
レイテンシより品質を優先する場面。複雑なデバッグ、アーキテクチャ設計、エージェンティックなコーディングタスクがここに入ります。
Claude Code でたとえると、通常のコード生成タスクを「通常モード」で走らせるのに対し、設計・計画が必要な場面で「Plan Mode(Opusモデル使用)」に切り替える感覚です(これはあくまで構造的な比喩であり、OpenAI の公式用語ではありません)。
長い実作業を GPT-5.5 に任せる場合には high が適切です。GPT-5.5 が長期的なエージェンティックタスクに向いている理由については別記事で詳しく書いています。
ただし high を乱用すると後述の「思考過多トラップ」にはまります。
最も深い推論が必要な非同期タスク向けです。GPT-5.5 のベンチマーク(Terminal-Bench 2.0: 82.7% など)は xhigh で評価されています。
ただし公式は「evaluations prove justified benefit」のときだけ使うよう明示しています。
つまり、「なんとなく最高設定にしておこう」ではなく、「high と比較して eval で measurable な差が出た」場合に昇格させる判断基準が必要です。事実として、多くの実務タスクで xhigh の出番はほとんどありません。
GPT-5.5 の reasoning.effort を設定する方法は、使用する API によって書き方が異なります。ここが情報として錯綜しやすい点です。
OpenAI が現在推奨している API 形式です。reasoning をネストオブジェクトとして渡します。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
response = client.responses.create(
model="gpt-5.5",
input=[{"role": "user", "content": "このシステムの設計案を考えてください"}],
reasoning={
"effort": "high", # none / low / medium / high / xhigh
"summary": "auto" # 思考サマリーの生成(オプション)
},
max_output_tokens=8000 # ← Responses API は max_output_tokens
)
既存のコードとの互換性が必要な場合はこちら。reasoning_effort をフラットなパラメータとして渡します。
response = client.chat.completions.create(
model="gpt-5.5",
reasoning_effort="high", # ← フラット形式
max_completion_tokens=8000, # ← Chat Completions API は max_completion_tokens
messages=[
{"role": "user", "content": "このシステムの設計案を考えてください"}
]
)
パラメータ名と token 制限の指定方法が違う。Responses API への移行で「なぜか動かない」とハマりやすいポイントです。
# Responses API の場合
print(response.usage.output_tokens_details.reasoning_tokens)
このカウントが予想より多い場合、effort を下げるか、プロンプトの指示をより明確にすることを先に検討します。
コスト計算の観点では、
BlogAPIの値段が倍になったGPT-5.5。でも実質コストは20%増?その計算根拠GPT-5.5のAPI価格は2倍でも、token効率40%削減を入れると実質コストは約20%増。Codexでの使い分け判断を整理します。→を別記事でまとめています。effort を下げることはそのままコスト削減に直結します。
OpenAI のドキュメントに明記されています。以下の条件が重なると、effort を上げることが品質の低下につながります。
これらの状況で high や xhigh を使うと、モデルが「overthinking」に陥り、不要な検索を繰り返したり、判断が揺れたりします。結果として medium のほうがよい回答を返すことがある。
対策はシンプルです:まず medium で動かし、プロンプトの指示を明確にしてから、eval で差を確認した上で effort を上げる。プロンプトの改善が effort 変更より効果的なケースが多いです。
タスクに推論が必要か?
├─ NO → none(音声・分類・抽出)
└─ YES
└─ tool use / 多段階の計画が絡むか?
├─ NO → low を先に試す(low で十分なことが多い)
└─ YES
└─ 複雑な設計・長期エージェント・深いデバッグか?
├─ NO → medium(ほとんどのケースはここ)
└─ YES
└─ eval で medium より明確に差が出るか?
├─ NO → high で止める
└─ YES(研究・ベンチマーク専用) → xhigh
実務で xhigh を選ぶ場面はほとんどありません。「設計タスクだから xhigh」ではなく、「high の eval を取ってから判断する」のが正しい順序です。
xhigh を大量のバッチ処理に使うと、思わぬコスト増加につながりますreasoning.effort の5段階は GPT-5.5 固有の仕様です。GPT-5.4 以前のモデルでは xhigh は使用できませんQ. high と xhigh の具体的な違いは?
A. high は「難しいが時間に余裕がある」タスク向けで、エージェンティックなコーディングや設計タスクが想定されています。xhigh はベンチマーク評価や研究グレードの問題解決向けで、OpenAI 自身のモデル評価(Terminal-Bench 2.0 の 82.7% など)もこの設定で計測されています。実務タスクで xhigh が必要なケースはほぼありません。
Q. GPT-5.4 から GPT-5.5 に移行するとき、effort の設定は変えた方が良いか?
A. 基本は変えなくて構いません。GPT-5.5 は同じ effort でも前モデルより少ない reasoning tokens で強い結果を出す設計です。そのため、同じ medium 設定でもコストが下がり、品質が上がる傾向があります。ただし xhigh の扱いに変化があるため(GPT-5.4 では非対応または試験的)、その点だけ注意してください。
Q. effort を none にしたら、本当に推論を一切しないのか?
A. はい、推論フェーズを完全にスキップします。そのため、多段階の意思決定や tool use が含まれるタスクでは品質が著しく落ちます。OpenAI は「none の前に low を評価する」ことを推奨しています。
Q. Responses API への移行は急いだ方が良いか?
A. 既存システムが Chat Completions API で動いているなら急ぐ必要はありません。ただし新規に GPT-5.5 を組み込む場合は、最初から Responses API を使う方が将来的な互換性と性能の観点で有利です。
medium は思った以上に賢い。まずここから始めて、不足を感じてから上げるnone と low は積極的に使う。tool use や分類パイプラインで medium を使い続けるのはコストの無駄xhigh は eval 専用。「念のため最高設定」は避けるreasoning.effort ネスト / max_output_tokens)と Chat Completions API(reasoning_effort フラット / max_completion_tokens)で形式が異なる「で、本当のところどう使えばいいか」が少し整理できたなら幸いです。
HW系エンジニアとして20年超・2000件超の単独SOL業務を経験。AI・ガジェット・自作PCを実際に触りながら「本当に使えるか」を試し続けています。META-MARK では GPU/CPU/AI ツールの実務評価と、プログラマティック SEO の実験を並行して走らせています。
(確認バージョン: GPT-5.5 API / 確認日: 2026-04-26) この記事は OpenAI 公式ドキュメント(reasoning models guide / GPT-5.5 モデルページ)をもとに執筆しています。
この記事は OpenAI 公式ドキュメントを一次ソースとして参照し、どのように検証したかを確認することで執筆しています。実運用環境での検証内容をもとに構成しています。
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