ランクSとランクA——GPT-5.4 mini・nanoに24問解かせた
GPT-5.4 mini($0.75/1M)とnano($0.20/1M)をMETA-MARK独自の24問で採点。mini 92.9%ランクS・nano 79.2%ランクA。料金・横断比較・使い分けまで。
2026年3月17日、OpenAIがGPT-5.4 mini($0.75/1M)とnano($0.20/1M)をリリース。META-MARK独自の24問ベンチマークで採点した結果、miniが223/240点(92.9%)ランクS、nanoが190/240点(79.2%)ランクA。前作GPT-5.4フラッグシップとの差はわずか数点——それで価格は数分の一という話をしたい。
📋 この記事で使用したテスト問題(全24問)は LLM 24問テストスイート で確認できます。
目次
- 今回登場した2つのモデル {#models}
- META-MARK 24問ベンチマーク結果 {#benchmark}
- カテゴリ別の詳細 {#category}
- 料金の計算——nanoで76,000枚の写真が$52 {#pricing}
- 横断比較:8モデルの中での立ち位置 {#comparison}
- どちらを選ぶべきか {#guide}
- まとめ {#summary}
- よくある質問 {#faq}
- この記事を書いた人
今回登場した2つのモデル {#models}
GPT-5.4がリリースされてから13日後の3月17日、OpenAIが軽量版2モデルを同時リリースした。
| モデル | 入力価格 | 出力価格 | 提供先 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.4 mini | $0.75/1M | $4.50/1M | API・Codex・ChatGPT Free/Go |
| GPT-5.4 nano | $0.20/1M | $1.25/1M | APIのみ |
miniのほうはChatGPT無料プランで動くデフォルトモデルになった。「フラッグシップの縮小版」ではなく、「大規模エージェントの実行ノード」として設計されている、というのがOpenAIの説明だ。
nanoは「もっと単純なタスク向け」とされているが、OSWorld-Verifiedで39.0%という数字は——以前のモデルと比べると——相当な実力がある。
実際のところどうなのか。自分で試した。
META-MARK 24問ベンチマーク結果 {#benchmark}
このサイトでは、AIモデルを比較するための独自24問テストを運用している。常識・論理推論・コーディング・日本語能力の4カテゴリ、各60点満点(計240点)で採点する。
| モデル | スコア | 正答率 | ランク |
|---|---|---|---|
| GPT-5.4 mini | 223 / 240 | 92.9% | S |
| GPT-5.4 nano | 190 / 240 | 79.2% | A |
miniはランクS(90%以上)、nanoはランクA(75〜89%)。
miniの92.9%はこのベンチマークシリーズで過去最高タイのスコアだ。前回最高だったGPT-5.4フラッグシップとの差は数点以内に収まった。「フラッグシップに接近している」というOpenAIの主張は、少なくともこのテストでは嘘ではない。
カテゴリ別の詳細 {#category}
GPT-5.4 mini(223点)
| カテゴリ | スコア | 満点 | 正答率 |
|---|---|---|---|
| A. 常識・一般知識 | 50 | 60 | 83.3% |
| B. 論理・推論 | 58 | 60 | 96.7% |
| C. コーディング | 60 | 60 | 100% |
| D. 日本語能力 | 55 | 60 | 91.7% |
コーディングが満点だった。論理推論も96.7%と高水準で、川渡り問題やパリティ戦略が絡む問題をすべて正解している。日常のタスクで「miniで十分では」という印象が強い。
唯一の取りこぼしがA(常識)で、お墓問題・月曜問題といった認知バイアスを問う問題に引っかかった。これはフラッグシップでも同じ傾向があり、モデルサイズというより問題の性質に近い。
GPT-5.4 nano(190点)
| カテゴリ | スコア | 満点 | 正答率 |
|---|---|---|---|
| A. 常識・一般知識 | 43 | 60 | 71.7% |
| B. 論理・推論 | 47 | 60 | 78.3% |
| C. コーディング | 57 | 60 | 95.0% |
| D. 日本語能力 | 43 | 60 | 71.7% |
コーディングが57点と健闘している。miniとの差が最も小さいのがコーディングカテゴリで、「簡単なコード補助なら十分」という評価が数字で裏付けられた形だ。
論理推論が78.3%と落ちているのは、多段階推論が要る問題で途中で答えが揺れるためだ。「シンプルな手順で解ける」タスクに向いている、とOpenAIが言う意味がこの数字でわかる。
料金の計算——nanoで76,000枚の写真が$52 {#pricing}
nanoの$0.20/1Mという価格が実際どの程度か、Simon Willison氏が具体例で示した計算が面白い。
博物館の写真1枚を説明させると、2,751入力トークン+112出力トークンで0.069セント。これを76,000枚に掛けると約$52。
たとえばカタログ写真の自動タグ付けや商品説明の下書き生成をnanoに流すコストが、おそらく自社のエンジニアが手作業する1時間分のコストを下回る——そういう水準になってきた。
miniとnanoのコスト比較
仮に月間100万トークンの入力を処理するとしたら:
| モデル | 月間入力コスト |
|---|---|
| GPT-5.4 mini | $0.75 |
| GPT-5.4 nano | $0.20 |
| GPT-5.4(フラッグシップ) | 参考:数倍〜 |
miniでも月$0.75。個人開発のサービスや社内ツールで使うなら、料金を気にするような金額ではなくなっている。
横断比較:8モデルの中での立ち位置 {#comparison}
META-MARKの24問ベンチマークでこれまで採点したモデルとの比較。
| モデル | スコア | ランク |
|---|---|---|
| GPT-5.4 mini | 223 / 240(92.9%) | S |
| Claude Haiku 4.5 | 209 / 240(87.1%) | A |
| Qwen3.5:4b(ローカル) | 194 / 240(80.8%) | A |
| GPT-5.4 nano | 190 / 240(79.2%) | A |
| Qwen3:4b(ローカル) | 183 / 240(76.3%) | A |
| phi4:14b(ローカル) | 175 / 240(72.9%) | B |
nanoがQwen3.5:4b(RTX 4070 Tiで動くローカルモデル)とほぼ同等のスコアを出した。電気代を込みにすると「どちらが安いか」は使い方次第になってくる。
miniの92.9%はローカルの最高値を10ポイント以上上回っている。これが「規模の現実」だ——以前の記事で書いたことが、このシリーズでも繰り返されている。
どちらを選ぶべきか {#guide}
miniを選ぶ場面
- コーディング補助・コードレビュー(満点実績あり)
- 複数ステップの推論が必要なエージェントタスク
- ChatGPT Free/Goでそのまま使いたい
- 1回の推論で完結するAPI呼び出し
nanoを選ぶ場面
- 分類・タグ付け・抽出などシンプルな定型タスク
- バッチ処理(Batch API利用で50%追加割引)
- 大量データを低コストで流したい
- サブエージェントの末端ノード(miniのオーケストレーション下で動かす)
フラッグシップを残す場面
- 複雑な要件定義・設計判断
- 長い文脈を持つ対話(400K超えるケース)
- 重要な意思決定を含むアウトプット
実際のところ、「考える」役割をフラッグシップに任せ、「実行する」役割をminiやnanoに委ねる分業が、コスト最適化の基本パターンになりそうだ。
まとめ {#summary}
GPT-5.4 mini・nanoの登場で、「フラッグシップ性能に近いモデルをどれだけ安く動かせるか」という競争が次の段階に入った。
- mini: コーディング満点・推論96.7%・日本語91.7%——これでランクS、価格$0.75/1M
- nano: コーディング95%・分類・抽出に最適——ランクA、価格$0.20/1M(Gemini Flash-Liteより安価)
「試してみた」が口癖の自分が正直に言うと、miniに関しては「フラッグシップが要るシーン」を探す方が難しくなってきた。少なくともコーディングと推論では、もうこれで十分だと思う。
nanoは「大量に流す」ことに特化している。精度よりスループットスループット / TFLOPS決まった時間にこなせる処理の量と、その計算力を表す単位 TFLOPS のこと。詳しく →とコストを優先する場面で、合理的な選択肢になった。
よくある質問 {#faq}
Q. GPT-5.4 nano はChatGPTから使えますか?
A. 現時点ではAPIのみの提供です。ChatGPT(Free/Go/Plus等)では利用できません。miniはFree/Goプランで使えます。
Q. GPT-5.1 mini との違いは何ですか?
A. GPT-5.1 mini(2025年11月リリース、$0.25/1M入力)はGPT-5.1系の軽量版で、今回のGPT-5.4 mini($0.75/1M入力)はGPT-5.4系の軽量版です。5.4 miniの方が高性能・高価格で、OSWorldなどの最新ベンチマークで大幅に改善されています。
Q. ローカルLLMLLM(大規模言語モデル)大量の文章で学習し、人のように文章を読み書きできる大きな AI のモデル。詳しく →とnanoはどちらがコスパが良いですか?
A. スコアはほぼ同等ですが、用途によって異なります。月に数百万トークン以上を処理するならnano($0.20/1M)、それ以下ならRTX 4070 Ti等の電気代・初期投資を含めたローカル運用も選択肢になります。詳しくはローカルvs クラウドの比較記事を参照してください。過去のローカルLLMベンチマーク(phi4:14b・Qwen3.5:4b・Claude Haiku 4.5)もあわせてご覧ください。
ベンチマーク方法について: 本記事のスコアはMETA-MARK独自の24問テスト(2026年3月実施)に基づきます。各モデルはLiteLLM経由でOpenAI APIを使用して採点。価格・仕様はOpenAI公式発表(2026年3月17日)時点の情報です。
この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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