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事例紹介2026年8月10日by K.hirano

ベンチマーク測定サイト4本をChromeで実測——無料・インストール不要

Speedometer、MotionMark、Basemark Web、Octaneを同一環境で実測。測定対象とGPU性能の天井を数値で検証します。

#ブラウザベンチマーク#chrome#GPU#自作PC

こんにちは。外の暑さで、新しいソフトを探して入れる気力もわかない日がありますね。そんなときに「ソフトを入れずに、ブラウザだけで性能を測れたら楽なのに」と思う方へ向けた話です。

先に答えを書きます。ブラウザで動くベンチマーク4本(Speedometer、MotionMark、Basemark Web、Octane)は、会社PCや買ったばかりのゲーミングノートでも、無料・登録なし・インストール不要で動きます。ただ、GPU(グラフィックスの処理を受け持つ部品)の実力を知りたい人には足りません。ブラウザの描画ベンチには、はっきりした天井があるからです。

検索すると、この4本がまるで同じ種類の道具のように並び、GPU性能まで測れるように紹介されていることがあります。実際には、測っている対象がかなり違います。そこで、Radeon 780Mを積んだ同じマシン・同じChromeで4本を走らせ、さらに自社DBの実ユーザー投稿 n=3,102、205GPUとも照らし合わせました。数字を見ると、どのベンチを何に使うべきか、逆に使ってはいけない場面が見えてきます。今回の論点は、RadeonかRTXか。2026年の選択は、もはや性能比較だけじゃ済まない とあわせて読むと、つながりがつかみやすいと思います。

4本のうち2本は、そもそもGPUを測っていない

測定環境は Radeon 780M、Chrome 151.0.7922.108、専用プロファイル、load 0.73(測定時のPCの負荷の目安)です。スコアだけを切り出してほかの環境と比べたくなりますが、ブラウザベンチはChromeのバージョンや表示条件の影響を受けます。次の数字は、この条件とセットで読んでください。

ベンチマーク実測スコア所要時間主に測っているもの今回の扱い
Speedometer 3.125.5±1.1約40秒JavaScriptとDOMを使うWebアプリ操作GPU測定ではない
MotionMark 1.3.11504.26 @ 60fps約5分30秒ブラウザの描画・アニメーション処理60Hzが上限になる
Basemark Web 3.01888約10分JavaScript、描画、WebGLなどの総合処理結果を外部公開
Octane 2.087,133約41秒JavaScript実行性能公式に引退済み

Speedometer 3.1とOctane 2.0は、GPUを測りません。どちらもJavaScript(Webページを動かすプログラム)の実行や、DOM(ページの部品の組み立て)の処理を中心に見ています。CPUやWebアプリの処理を比べる材料にはなりますが、グラフィックスカードを替えた効果を確かめる用途には向きません。

Speedometer 3.1が約40秒で終わった点も補足しておきます。「Speedometerは数分かかる」という説明を見かけますが、それは2.x時代の体験と考えたほうがよさそうです。バージョンを確かめずに所要時間だけで異常と判断すると、正常な3.1を遅いと誤解しかねません。

MotionMarkは描画を見るが、60Hzで止まる

4本のうち、いちばんGPU描画に近い負荷をかけるのがMotionMark 1.3.1です。今回の表示は「1504.26 @ 60fps」でした。大事なのは、スコアの後ろに付いている「@ 60fps」のほうです。MotionMarkは表示のリフレッシュレートを検出し、それを維持できる描画量を測ります。

ディスプレイが60Hzなら、ブラウザが1秒間に画面へ出せる描画も基本的に60回までです。GPUがそれ以上の描画を用意できても、画面に出す段階で60Hzが蓋になります。スコアが高いからといって、ゲームで高いフレームレートが出るとは限りません。

つまりMotionMarkは「ブラウザの描画が詰まっていないか」を見る道具です。GPU単体の演算性能、VRAM容量、ゲームごとの実FPSを直接測るものではありません。高リフレッシュレートのディスプレイで測れば上限は変わりますが、表示環境をそろえずに比べると数字の意味も変わってしまいます。

完走に5分30秒かかったので、さっとPCの状態を確かめたいときには少し扱いにくいところもあります。ブラウザを開いてすぐ結果が欲しいなら、40秒前後で終わるSpeedometerやOctaneのほうが手軽です。ただし、そちらはGPUを見ていません。

Basemark Web 3.0は総合テストだが、結果は外へ送られる

Basemark Web 3.0の結果は総合1888でした。JavaScriptだけでなく、描画やWebGL(ブラウザで3D表示をする仕組み)など複数の処理をまとめて測るので、4本の中では「ブラウザ体験全体」に近い位置づけです。それでも、総合スコアをGPU性能そのものとして読むことはできません。

20テストを実行して、完走まで約10分かかりました。時間が長いぶん、ブラウザの状態やバックグラウンドの処理に左右される機会も増えます。結果を再現したいなら、同じChrome、同じ表示条件、同じ負荷状態で走らせる必要があります。

もう一つ、実用上の注意があります。Basemark Web 3.0は測定結果をBasemarkのサーバーへ自動でアップロードし、公開URLを発行します。会社PCや検証用の端末なら、画面情報や利用環境を外へ送ってよいか、実行前に社内規定を確認してください。「ブラウザで動く」ことと「端末の中だけで完結する」ことは別の話です。

Octane 2.0は速いが、公式には引退している

Octane 2.0は87,133、所要時間は約41秒でした。短い時間でJavaScriptの実行性能を確かめられる一方、ページには「Octane is retired」と表示され、公式に引退しています。

日本語のおすすめ記事では今もOctaneが紹介されていますが、古いベンチを現行のChromeやCPUの代表値として扱うのは危ういと考えています。実行できることと、今の比較の物差しとして使えることは同じではありません。

ただ、同じ環境で過去のログと照らして「ブラウザ上のJavaScript処理が前より重くなっていないか」を見る用途なら、数字を残す意味はあります。新しいPCと古いPCの購入判断を、87,133という絶対値だけで決めるべきではない、ということです。

自社DBで見えた天井——実FPSが1.64倍違ってもスコアは同じ100

4本の実測だけでは、「GPUを測れない」理由を感覚でしか説明できません。そこで自社の実ユーザー投稿を集計しました。対象は n=3,102、GPUは205種類です。

RTX 4060の実FPSは82.4fps、RTX 5070 Tiは134.9fpsで、1.64倍の差があります。それなのに、自社のブラウザ描画ベンチでは両方ともスコア100でした。間にあるGPUも、同じように100に張り付いています。

これは「GPUに差がない」という意味ではありません。実FPSには差があるのに、ベンチ側のスコアが100を超えないので、その差を結果に映せていないということです。ブラウザ描画ベンチには、高性能なGPUを見分けられない天井があります。

自社のツールも例外ではありません。/benchmark は描画の状態を手軽に確かめられますが、60Hzを上限にしているため、RTX 4060とRTX 5070 Tiのような差をGPU性能として見分けられません。自分のサイトへの入口だからといって、弱点を小さく書く理由にはならないと判断しました。

迷うとしたら、「自分のPCでブラウザが重くないか」を見たいのか、「買ったGPUがゲームでどれだけ速いか」を知りたいのか、その切り分けです。前者ならブラウザベンチは使えます。後者なら、この表のスコアだけでは判断材料が足りません。

目的別の使い分け

後で見返せるように、目的ごとにまとめておきます。

  • JavaScriptやWebアプリの処理速度を見たい: Speedometer 3.1(約40秒)かOctane 2.0。Octaneは公式に引退済みなので、今の環境を確かめるならSpeedometer 3.1のほうが説明しやすいです。どちらもGPU性能の確認には使いません。
  • 描画やアニメーションの詰まりを見たい: MotionMark 1.3.1(約5分30秒)。測るときは「@ 60fps」のような表示リフレッシュレートを必ず確認します。60Hzの画面で測った結果を、144Hzや240Hzの環境とそのまま比べることはできません。
  • WebGLを含むブラウザ全体の処理を長めに見たい: Basemark Web 3.0(約10分)。測定結果は外部サーバーへアップロードされます。時間とデータ公開の条件を受け入れられるときに限って使います。
  • インストール禁止の会社PCで、ブラウザの処理性能を確かめたい: 4本とも無料・アカウント登録なしで動きます。
  • GPUの実力やゲームの実FPSを知りたい: 4本とも目的に合いません。

GPU比較にブラウザベンチを使うと判断を誤る

ブラウザベンチの強みは、インストール不要という手軽さです。その代わり、表示リフレッシュレート、ブラウザの描画の通り道、テスト側のスコア上限に縛られます。テストが悪いという話ではなく、測っているものがGPUの最大性能ではない、という話です。

スコアが同じでも、実性能が同じとは限りません。先ほどのRTX 4060とRTX 5070 Tiのように、1.64倍違う場合があります。GPUを買い替えた効果を確かめるなら、実際に使うゲームやアプリのフレームレートを、解像度と画質設定をそろえて測る必要があります。今回の実測データから、ブラウザのスコアをGPU購入の根拠にするのは避けるべきだと判断しています。

自社の /benchmark/cpu や /benchmark/ai は、CPUやAI処理を確かめる別の入口として使えます。GPUの実ユーザー投稿を比べたいなら /ranking/gpu も候補です。ただ、どのページでも「何を測っていないか」を先に確かめてください。

今回の数字の前提と、測っていないもの

今回のスコアは、Radeon 780M、Chrome 151.0.7922.108、専用プロファイル、load 0.73という条件で得た値です。Chromeの更新、ディスプレイのリフレッシュレート、電源設定、バックグラウンドの負荷によって結果は変わります。

Chromeを画面なしで動かす実行(ヘッドレス実行)では、WebGLとWebGPUのアダプタを取得できず、GPUの計測には実際のディスプレイにつないだセッションが必要でした。ターミナルや自動テストの環境で同じ処理を回しても、普段の画面表示のときと同じGPU測定にはなりません。

3DMarkとFF14ベンチはインストールが必要なので、今回は検証していません。ブラウザ4本との比較表にも入れていませんし、推測で数字を補ってブラウザベンチと同列に扱うこともしていません。

どう測って、どう整理したか

Radeon 780Mの実機で、Chrome 151.0.7922.108の専用プロファイルを使い、Speedometer 3.1、MotionMark 1.3.1、Basemark Web 3.0、Octane 2.0を実行しました。それぞれのスコアと完走までの所要時間を記録し、測っているものと制約を分けて整理しています。

GPUの見分けについては、自社DBにたまった実ユーザー投稿 n=3,102、205GPUを確認しました。RTX 4060の82.4fpsとRTX 5070 Tiの134.9fpsに対して、ブラウザ描画ベンチのスコアがどちらも100だった点を、ブラウザ描画ベンチの天井として扱っています。

出典

一次データは docs/blog-pipeline-v2/measurements/2026-08-10-browser-bench-780m.md に記録した実測値です。Speedometer 3.1は25.5±1.1、MotionMark 1.3.1は1504.26 @ 60fps、Basemark Web 3.0は1888、Octane 2.0は87,133でした。

Octane 2.0のページに表示された「Octane is retired」と、Basemark Web 3.0の結果アップロード・公開URL発行も、実行時に確かめた内容に基づいています。自社DBのGPU集計は、実ユーザー投稿 n=3,102、205GPUを対象にしました。

参考リンク

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

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