ベンチマーク測定サイト4本をChromeで実測——無料・インストール不要
Speedometer、MotionMark、Basemark Web、Octaneを同一環境で実測。測定対象とGPU性能の天井を数値で検証します。
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この記事は、ソフトを入れずにPCの性能を測りたい人に向けて書いています。会社PCや買ったばかりのゲーミングノートでも、ブラウザだけで済むなら試しやすいものです。ただ、「ブラウザベンチマーク」で検索すると、Speedometer、MotionMark、Octaneなどが同じように並び、GPU性能まで測れるように紹介されていることがあります。
実際には、測っている対象がかなり違います。特にGPUの実力を知りたい場合、ブラウザ描画ベンチには明確な天井があります。
Radeon 780Mを搭載した同一マシンで、同じChromeを使って4本を実行しました。さらに、自社DBの実ユーザー投稿 n=3,102、205GPUも照合しています。数値を見ると、どのベンチを何のために使うべきか、逆に使ってはいけない場面が見えてきます。
4本を同じ環境で走らせた結果
測定環境は Radeon 780M、Chrome 151.0.7922.108、専用プロファイル、load 0.73です。スコアだけを切り出して別の環境と比較したくなりますが、ブラウザベンチはChromeのバージョンや表示条件の影響を受けます。次の数値は、この条件とセットで読んでください。
| ベンチマーク | 実測スコア | 所要時間 | 主に測っているもの | 今回の扱い |
|---|---|---|---|---|
| Speedometer 3.1 | 25.5±1.1 | 約40秒 | JavaScriptとDOMを使うWebアプリ操作 | GPU測定ではない |
| MotionMark 1.3.1 | 1504.26 @ 60fps | 約5分30秒 | ブラウザの描画・アニメーション処理 | 60Hzが上限になる |
| Basemark Web 3.0 | 1888 | 約10分 | JavaScript、描画、WebGLなどの総合処理 | 結果を外部公開 |
| Octane 2.0 | 87,133 | 約41秒 | JavaScript実行性能 | 公式に引退済み |
Speedometer 3.1とOctane 2.0は、GPUを測りません。どちらもJavaScriptの実行やDOM処理を中心に見ています。CPUやブラウザ上のWebアプリ処理を比べる材料にはなりますが、グラフィックスカードを交換した効果を確認する用途には向きません。
Speedometer 3.1が約40秒で終わった点も補足しておきます。「Speedometerは数分かかる」という説明を見かけますが、それは2.x時代の体験と考えたほうがよいでしょう。バージョンを確認せず、所要時間だけで異常判定すると、正常な3.1を遅いと誤認する可能性があります。
MotionMarkは描画を見るが、60Hzで止まる
MotionMark 1.3.1は4本の中で、もっともGPU描画に近い負荷をかけます。今回の表示は「1504.26 @ 60fps」でした。ここで重要なのは、スコアの後ろに明示された「@ 60fps」です。
表示ディスプレイが60Hzなら、ブラウザが1秒間に表示できる描画の上限も基本的に60回です。GPUがそれ以上の描画を準備できても、画面へ出す段階では60Hzが蓋になります。スコアが高いからといって、ゲームで高いフレームレートを出せるとは限りません。
MotionMarkは「ブラウザ上の描画処理が詰まっていないか」を見る道具です。GPU単体の演算性能、VRAM容量、ゲームごとの実FPSを直接測るものではありません。高リフレッシュレートのディスプレイで測れば上限条件は変わりますが、表示環境をそろえない比較では数字の意味も変わります。
5分30秒かかったため、短時間でPCの状態を確認したいときには扱いにくさも残ります。ブラウザを開いてすぐ結果を知りたい人には、40秒前後で終わるSpeedometerやOctaneのほうが実行しやすいでしょう。ただし、それらはGPUを見ていません。
Basemark Web 3.0は総合テストだが、ローカル完結ではない
Basemark Web 3.0の結果は総合1888でした。JavaScriptだけでなく、描画やWebGLなど複数のWeb処理をまとめて測るため、4本の中では「ブラウザ体験全体」に近い位置づけです。とはいえ、総合スコアをGPU性能そのものと読むことはできません。
20テストを実行し、完走まで約10分かかりました。時間が長いぶん、ブラウザの状態やバックグラウンド処理の影響を受ける機会も増えます。結果を再現したいなら、同じChrome、同じ表示条件、同じ負荷状態で実行する必要があります。
もう一つ、実用上の注意があります。Basemark Web 3.0は測定結果をBasemarkのサーバーへ自動アップロードし、公開URLを発行します。会社PCや検証用端末で、画面情報や利用環境を外部へ送ることが許可されているか確認してください。「ブラウザで動く」ことと「端末内だけで完結する」ことは別です。
Octane 2.0は速いが、公式には引退している
Octane 2.0は87,133、所要時間は約41秒でした。短時間でJavaScriptの実行性能を確認できる一方、ページ内には「Octane is retired」と表示され、公式に引退済みです。
日本語のおすすめ記事では現在もOctaneが紹介されていますが、古いベンチを現行Chromeや現行CPUの代表値として扱うのは危険です。実行できることと、現在の比較指標として有効であることは同じではありません。
ブラウザ上のJavaScript処理が以前より重くなったかを、同じ環境で過去ログと照合する用途なら、数字を残す意味はあります。ただし、新しいPCと古いPCの購入判断を87,133という絶対値だけで決めるべきではありません。
自社DBで確認した「ブラウザ描画ベンチの天井」
4本の実測だけでは、GPUを測れない理由を感覚的にしか説明できません。そこで自社の実ユーザー投稿を集計しました。対象は n=3,102、GPUは205種類です。
RTX 4060の実FPSは82.4fps、RTX 5070 Tiは134.9fpsでした。実FPSには1.64倍の差があります。それにもかかわらず、自社のブラウザ描画ベンチでは両方のスコアが100でした。途中のGPUでも同じようにスコアが100へ張り付いています。
これは「GPUに差がない」という意味ではありません。実FPSには差があるのに、ベンチマーク側のスコア表示が100を超えないため、性能差を結果へ反映できていないということです。ブラウザ描画ベンチには、高性能GPUを判別できない天井があります。
自社ツールも例外ではありません。/benchmark は手軽に描画の状態を確認できますが、60Hzを上限としているため、RTX 4060とRTX 5070 Tiのような差をGPU性能として見分けられません。自社サービスへの導線だからといって、弱点を小さく書く理由にはならないと判断しました。
迷うとしたら、「自分のPCでブラウザが重くないか」を見たいのか、「買ったGPUがゲームでどれだけ速いか」を知りたいのか、その切り分けです。前者ならブラウザベンチは使えます。後者なら、この表のスコアだけでは判断材料が足りません。
目的別に数値を読む
JavaScriptやWebアプリの処理速度を見たいなら、Speedometer 3.1かOctane 2.0を使えます。ただしOctaneは公式に引退済みなので、現行環境の確認にはSpeedometer 3.1のほうが説明しやすいでしょう。どちらもGPU性能の確認には使いません。
描画やアニメーションの処理を見たいなら、MotionMark 1.3.1が候補になります。測定時には「@ 60fps」のように表示リフレッシュレートを必ず確認してください。60Hzの画面で測った結果を、144Hzや240Hzの環境とそのまま比べることはできません。
WebGLを含むブラウザ全体の処理を長めに確認したいなら、Basemark Web 3.0があります。ただし約10分かかり、測定結果は外部サーバーへアップロードされます。時間とデータ公開の条件を受け入れられる場合に限って使うツールです。
インストール禁止の会社PCで、ブラウザの処理性能を確認する目的なら4本とも実行できます。4本すべて無料で、アカウント登録なしに動かせます。ただし、GPUの実力やゲームの実FPSを知りたいという目的だけは、ブラウザベンチでは満たせません。
考察:ブラウザベンチをGPU比較に使うと判断を誤る
ブラウザベンチは、インストール不要という導入の軽さが強みです。一方で、表示リフレッシュレート、ブラウザの描画経路、テスト側のスコア上限に制約されます。これはテストが悪いという話ではなく、測定対象がGPUの最大性能ではないという話です。
GPUを買い替えた効果を確かめるなら、実際に使うゲームやアプリケーションのフレームレート、解像度、画質設定をそろえて測る必要があります。今回の実測データから、ブラウザのスコアをGPU購入の根拠にするのは避けるべきだと判断します。
自社の /benchmark/cpu や /benchmark/ai は、CPUやAI処理を確認する別の入口として使えます。GPUの実ユーザー投稿を比較したい場合は /ranking/gpu も候補になります。ただし、どのページでも「何を測っていないか」を先に確認してください。
注意点・制約
今回のスコアは、Radeon 780M、Chrome 151.0.7922.108、専用プロファイル、load 0.73という条件で得た値です。Chromeの更新、ディスプレイのリフレッシュレート、電源設定、バックグラウンド負荷によって結果は変わります。
Chromeのヘッドレス実行ではWebGLとWebGPUのアダプタを取得できず、GPU計測には実ディスプレイのセッションが必要でした。ターミナルや自動テスト環境で同じ処理を回しても、通常の画面表示時と同じGPU測定にはなりません。
3DMarkとFF14ベンチはインストールが必要なため、今回は未検証です。ブラウザ4本との比較表には含めていません。これらの結果を推測で補って、ブラウザベンチと同列に扱うこともしていません。
どのように整理したか
Radeon 780Mの実機で、Chrome 151.0.7922.108の専用プロファイルを使い、Speedometer 3.1、MotionMark 1.3.1、Basemark Web 3.0、Octane 2.0を実行しました。各テストのスコアと完走までの所要時間を記録し、測定対象と制約を分けて整理しています。
GPUの判別性能については、自社DBに蓄積された実ユーザー投稿 n=3,102、205GPUを確認しました。RTX 4060の82.4fpsとRTX 5070 Tiの134.9fpsに対して、ブラウザ描画ベンチのスコアがいずれも100だった点を、ブラウザ描画ベンチの天井として扱っています。
出典
一次データは docs/blog-pipeline-v2/measurements/2026-08-10-browser-bench-780m.md に記録した実測値を使用しました。Speedometer 3.1は25.5±1.1、MotionMark 1.3.1は1504.26 @ 60fps、Basemark Web 3.0は1888、Octane 2.0は87,133です。
Octane 2.0のページに表示された「Octane is retired」、Basemark Web 3.0の結果アップロードと公開URL発行も、実行時の確認内容に基づいています。自社DBのGPU集計は実ユーザー投稿 n=3,102、205GPUを対象にしました。
よくある質問
結局どれを使えばいいですか?
ブラウザやWebアプリの体感速度を確かめたいならSpeedometer 3.1(約40秒)、描画の詰まりを見たいならMotionMark 1.3.1(約5分30秒)です。GPUをゲームでどれだけ使えるかを知りたい場合は、4本とも目的に合いません。
Octane 2.0はもう使ってはいけませんか?
過去に取った自分のログと同じ環境で比べる用途なら、数字を残す意味はあります。ただしページに「Octane is retired」と表示されるとおり公式には引退済みで、新しいPCの購入判断に使う指標ではありません。
会社のPCで実行しても問題ありませんか?
4本ともインストール不要・無料・登録なしで動きます。ただしBasemark Web 3.0だけは結果がBasemarkのサーバーへ自動アップロードされ公開URLが発行されるため、実行前に社内規定を確認してください。
MotionMarkの「@ 60fps」という表示は何ですか?
MotionMarkは表示のリフレッシュレートを検出し、それを維持できる描画量を測ります。60Hzの画面では60fpsが測定の上限になるという意味で、144Hzの環境で測った結果とはそのまま比べられません。
スコアが同じなら性能も同じですか?
いいえ。自社DBの実ユーザー投稿 n=3,102 では、実FPSが82.4fpsのRTX 4060と134.9fpsのRTX 5070 Tiが、どちらもスコア100でした。スコアが同じでも実性能が1.64倍違う場合があります。
参考リンク
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この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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