「Grok Build」「grok-build-0.1」「grok-cli」は全部別物 — 2026年6月版・完全整理
Grok でコーディングエージェントを調べると同語幹の3つ(Grok Build / grok-build-0.1 / grok-cli)が出てきて混乱します。公式CLI・モデル単体・サードパーティCLI・同名フォークを1枚の表で別レイヤーに分離し、『動く/動かない』2点と用途別の選び方まで2026年6月時点の情報で整理します。
こんにちは。梅雨入りが近づいて、家にこもってターミナル(文字で命令を打つ画面)に向かう時間が増えそうな頃ですね。
Grok でコーディングを調べると出てくる3つの名前は、どれも別の段(レイヤー)にある別物です。Grok Build は xAI 公式のコーディング用 CLI(コマンドで動かす道具)で、サブスク前提・接続先は変えられません。grok-build-0.1 はその中で動いているモデル単体で、API(プログラムから呼ぶ窓口)から従量課金で使えます。@vibe-kit/grok-cli は第三者が作った CLI で、--base-url で接続先を自由に向け替えられます。覚えておくことは2つだけで、grok-cli では grok-build-0.1 を動かせる(ただし公式 Build ならではの機能は付かない)、公式の Grok Build は自前の中継サーバー(ゲートウェイ)には向け直せない、です。それから、2026年6月時点で無料枠はどこにもありません。
Grok でコーディングエージェント(AI が自分でコードを書き進める道具)を使おうと調べ始めたとき、私は最初の5分で迷子になりました。検索結果にほぼ同じ語幹の名前が3つ並び、どれが公式で、どれがモデルで、どれが他人の作ったツールなのか、見た目では区別がつかなかったんですよね。しかも grok-cli で探すと、GitHub に同じ名前のリポジトリが複数出てきます。この記事では、それを1枚の表に仕分けて、用途別の選び方まで並べます。結論だけ欲しい方は、後半のユースケース別・選び方の表まで飛ばしても構いません。
この記事は xAI 公式ページ(x.ai/cli・x.ai/news/grok-build-0-1)・OpenRouter のモデルページ・VibeKit / npm のドキュメントを 2026年6月に確認して書いています。Grok Build と grok-build-0.1 はどちらも 2026年5月ローンチの beta で、料金・提供プロバイダ・認証方式の改定が早いので、使う前に各公式ページでもう一度確かめてください。本文の価格・仕様はすべて 2026年6月時点のものです。
関連する話として、同じく名前と設定の関係がややこしい Claude Code の新effortモード徹底解説|max・ultracode・autoと『呪文ultrathink』の正体 もあわせて読むと、つながりが見えやすいと思います。
目次
- なぜこんなに分かりにくいのか
- 結論:4つの別物を分離する
- ① 公式 Grok Build CLI の使い方(ここが一番ハマる)
- ② モデルだけ使いたい人へ:grok-build-0.1 の API
- ③ 自前CLIに繋ぐ:grok-cli の
--base-url - 「grok-cli」という言葉の罠
- 注意点・制約
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:ユースケース別・選び方
- この記事を書いた人
なぜこんなに分かりにくいのか
名前が似ているのに、中身の段(レイヤー)が違うものが同じ土俵に並んでいるからです。Grok Build は公式の「アプリ(CLI)」、grok-build-0.1 はその中で動いている「モデル」、grok-cli は第三者が作った別の「アプリ(CLI)」で、しかも同じ名前のものが複数あります。
たとえるなら、ブラウザと、その中の表示エンジンと、他社製の別ブラウザを、名前が似ているというだけで横に並べて比べているようなものです。段をそろえずに比べるから「どれを選べばいいのか分からない」になります。なので、まずは段ごとに仕分けます。
結論:4つの別物を分離する
| # | 名称 | 正体 | 認証 | カスタムエンドポイント | 提供元 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Grok Build CLI | xAI 公式のエージェンティック・コーディングCLI。plan-first・最大8並列サブエージェント(Git worktree)・MCP対応などの独自ハーネス | 公式アカウントでログイン+サブスク | ❌ 不可 | xAI(x.ai/cli) |
| 2 | grok-build-0.1 | 上の「中身」にあたるモデル単体。コーディング特化(256Kコンテキスト) | API キー | ✅ 提供元次第 | xAI直 / OpenRouter / Vercel |
| 3 | @vibe-kit/grok-cli | サードパーティのCLI。OpenAI互換クライアント | API キー(-k) | ✅ --base-url | npm(MIT) |
| 4 | 同名の別フォーク | superagent-ai/grok-cli・whitesmith/grok-cli など。"grok-cli" は一語で複数存在 | 各々 | 各々 | GitHub |
表の「カスタムエンドポイント」は、裏でつなぐ先を自分で選べるかどうか、という意味です。
「動く/動かない」で覚えるのは2つだけ
ひとつめは、grok-cli で grok-build-0.1 は動かせるということです。grok-cli は OpenAI 互換(OpenAI の API と同じ形で話せる)のクライアントなので、--base-url を OpenRouter・Vercel・xAI 直のどれかに向ければ、モデルとして grok-build-0.1 を呼べます。ただし、公式 Grok Build ならではの機能(8並列・Orchestrator など)は付いてきません。 あくまで「モデルが使える」だけです。
ふたつめは、公式の Grok Build CLI は接続先を向け直せないということです。xAI アカウントでの認証に固定されていて、自前のゲートウェイ(LiteLLM など)や別のベンダーを裏に挿すことはできません。
迷うとしたら、たぶんこの2つを逆に覚えてしまう場面だと思います。「grok-build-0.1 は grok-cli では動かない」「公式 Build を自前の API で安く回せる」は、どちらも実際とちょうど逆です。
① 公式 Grok Build CLI の使い方(ここが一番ハマる)
いちばん「公式らしい」体験ができるのがこれです。8並列のサブエージェント(手分けして動く AI)を Git worktree(同じリポジトリを作業場ごとに分ける仕組み)で走らせる構成や、plan-first(計画を立ててから実行)・MCP 対応といった独自の使い心地は、ここにしかありません。AI が自分でコードを書き進める CLI という点では、Claude Code のセキュリティガイダンスを検証した記事で触れた Claude Code と同じ系譜ですが、Grok Build は裏側が xAI に固定されているのが大きな違いです。
始め方はこうです。
- インストール(
x.ai/cli参照。curlベースのインストーラが用意されています) - 初回起動でブラウザが開くので、公式の xAI アカウントでログイン
- SuperGrok / X Premium+ などのサブスクが前提(無料枠なし)
最初に引っかかるのは、たぶん接続先の話です。カスタムエンドポイントに対応していないので、「手元の OpenAI 互換ゲートウェイ経由で課金をひとまとめにしたい」「別の安いベンダー経由で回したい」はできません。支払いは xAI のサブスクに固定されます。
料金はサブスクのみ、無料プランなし(2026年6月時点)
| プラン | 月額 | 備考 |
|---|---|---|
| SuperGrok | $30 | |
| X Premium+ | $40 | |
| SuperGrok Heavy | $299 | 初6ヶ月 $99 のプロモ枠表記あり |
無料枠(フリープラン)はありません。 Grok Build は2026年5月14日に early beta として始まり、5月25日にすべての SuperGrok / X Premium+ 加入者へ広がりました。
② モデルだけ使いたい人へ:grok-build-0.1 の API
公式 CLI の独自機能は要らなくて、「コーディング特化のモデルを自分のツールに組み込みたい」だけなら、モデル単体の API を使います。どの提供元も OpenAI 互換です。
| 提供元 | base URL | モデルID |
|---|---|---|
| xAI 直 | https://api.x.ai/v1 | grok-build-0.1 |
| OpenRouter | https://openrouter.ai/api/v1 | x-ai/grok-build-0.1 |
| Vercel AI Gateway | (Vercel経由) | grok-build-0.1 |
コンテキスト(一度に読める量)は 256K で、テキスト出力の上限はありません。料金は OpenRouter の掲載で 入力 $1 / 出力 $2(100万トークンあたり・2026年6月時点) です。提供元や改定で変わるので、公式で確かめてください。ここにも無料枠はなく、従量課金です。
ここで押さえておきたいのは、公式 Grok Build(サブスク)を契約しなくても、モデルの grok-build-0.1 だけなら API キー1つで誰でも従量で呼べる、という点です。サブスクと API は別の入口だと分かっていれば、混乱はだいぶ減ります。
③ 自前CLIに繋ぐ:grok-cli の --base-url
@vibe-kit/grok-cli(サードパーティ・MIT)は OpenAI 互換クライアントなので、裏側を自由に差し替えられます。既定の base URL は https://api.x.ai/v1 ですが、設定ファイルか -u, --base-url フラグ(環境変数 GROK_BASE_URL でも可)で、好きな接続先へ向けられます。
// grok-cli グローバル設定の例
{
"apiKey": "<your_provider_key>",
"baseURL": "https://openrouter.ai/api/v1",
"defaultModel": "x-ai/grok-build-0.1"
}
自前のゲートウェイ越しに動かしている
私は自分で立てた LiteLLM のゲートウェイ経由で、grok-cli を Azure AI Foundry の Grok(grok-4.3 系)につないで本番で使っています。baseURL を変えるだけで裏側がまるごと入れ替わる、という構成が実機で動いていることが、「grok-cli は OpenAI 互換で Grok を動かせる」という先ほどの話の裏付けです。grok-build-0.1 も同じ OpenAI 互換の API なので、モデル ID を差し替えれば同じように組めます。
互換プロキシ経由だと 400 エラーを踏みやすい
実際にハマったのがここです。grok-cli は xAI の Live Search 用のパラメータ search_parameters を毎回付けて送ります。これを OpenAI 互換のプロキシ(Azure など)に流すと 400 エラーになります。プロキシ側でこのパラメータを捨てる設定(LiteLLM なら additional_drop_params)が必要です。xAI 直なら起きませんが、互換プロキシ経由では踏みやすいので気をつけてください。公式ドキュメントには書かれておらず、実際につないでみて初めて分かる類の落とし穴でした。
「grok-cli」という言葉の罠
"grok-cli" は固有名詞ではありません。 npm の @vibe-kit/grok-cli、GitHub の superagent-ai/grok-cli・whitesmith/grok-cli など、同じ名前で中身の違う実装が複数あります。記事や issue に「grok-cli」とだけ書いてあったら、どの実装の話なのかを必ず確かめてください。設定ファイルの場所もフラグの仕様も実装ごとに違うので、別物の手順をそのまま真似すると動きません。
念のためもう一つ。xAI 公式が出しているのは "grok-cli" ではなく "Grok Build" です。 ここも取り違えやすいところです。
注意点・制約
ここまでの但し書きを一か所にまとめておきます。
- すべて 2026年6月時点の情報です。 Grok Build と grok-build-0.1 はどちらも 2026年5月ローンチの beta で、料金・提供プロバイダ・認証方式がすぐ変わります。ネットには「xAI に公式 CLI は無い」というローンチ前の古い記述も混ざっているので、年月を確かめながら読んでください。
- 価格は変わります。 OpenRouter の掲載価格(入力$1/出力$2)もサブスク料金も確認時点の値です。導入前に各公式ページで確かめてください。
- 「無料で Grok コーディングを試す枠」は 2026年6月時点でありません。 公式 CLI はサブスク前提、モデル API は従量課金です。
- 公式 Build の独自機能は grok-cli では再現できません。 8並列のサブエージェントや Orchestrator は公式側の作りで、モデルを呼べることとは別の話です。
よくある質問(FAQ)
Q. grok-cli を使えば grok-build-0.1 を無料で使えますか? いいえ。grok-cli(@vibe-kit/grok-cli)自体は MIT ライセンスの無料ツールですが、その先で呼ぶ grok-build-0.1 の API 利用料(OpenRouter などでの従量課金)は別にかかります。無料なのは「CLI という外側」だけです。
Q. 公式 Grok Build CLI を自前の LiteLLM ゲートウェイ経由で安く回せますか? できません。公式 Grok Build CLI は xAI アカウントの認証に固定されていて、接続先を向け直せません。自前のゲートウェイでまとめて管理したいなら、③の grok-cli と②のモデル API の組み合わせになります。
Q. grok-build-0.1 はどこで使うのが手軽ですか?
OpenAI 互換の API に慣れているなら OpenRouter(モデルID x-ai/grok-build-0.1)が手軽です。xAI 直(https://api.x.ai/v1)でも構いません。どちらも従量課金で、コンテキストは256Kです。
Q. grok-cli が突然 400 エラーを返すのですが?
互換プロキシ(Azure など)経由なら、grok-cli が付ける search_parameters(xAI の Live Search 用)がプロキシ側で弾かれている可能性が高いです。LiteLLM なら additional_drop_params でそのパラメータを捨ててください。xAI 直では起きにくい現象です。
まとめ:ユースケース別・選び方
| やりたいこと | 選ぶもの | 無料枠 |
|---|---|---|
| 公式の8並列/Orchestrator など独自UXを使いたい | ① Grok Build CLI(サブスク) | なし |
| コーディング特化モデルを自分のアプリ/CLIに組み込みたい | ② grok-build-0.1 API(OpenRouter等) | なし |
| 既存の自前ゲートウェイ/CLIで Grok を一元管理したい | ③ grok-cli --base-url + ②のモデル | (課金は②/ゲートウェイ側) |
2026年6月時点で、無料で Grok のコーディングを試せる枠はどこにもありません。費用を抑えたいなら②の従量 API と③の自前 CLI、公式ならではの使い心地が欲しいなら①のサブスク、という住み分けになります。
名前は似ているのに実は段の違う別物、をほどいてから使い分けるという考え方は、Grok に限った話ではありません。たとえばGPT-5.5 の effort 5段階を実務で使い分ける判断基準も、「全部 high にしておけばいい」という直感をいったんほどいてから選び直す、という意味で発想は同じです。名前や設定に振り回されず、段と用途で仕分けるのが、結局いちばん早い近道だと思います。
この記事を書いた人
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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