メインコンテンツへスキップ
← ブログに戻る
チュートリアル2026年5月24日by K.hirano

Radeon 780M(gfx1103)でOllama:ROCm・Vulkan・CPU経路の選び方と2025年に変わったこと

780M(gfx1103)でOllamaは何を選ぶべきか。ROCm・Vulkan・CPUの3経路を整理し、2025年に変わった実用上の判断材料をまとめます。

#Ollama#radeon780m#rocm#vulkan#ローカルLLM

このテーマは、できることよりも実務でどこに効くかを基準に判断するとブレにくいです。

関連記事としては gfx1103(Radeon 780M)でOllamaが動くモデル一覧2026——5B上限の理由と量子化別VRAM早見表 もあわせて読むと、今回の論点とのつながりを把握しやすくなります。

780M(gfx1103)でOllamaを触ろうとすると、まず情報が散らばっていて困ります。ROCmがいいのか、Vulkanで十分なのか、そもそもCPUフォールバックで様子を見るべきなのか。公式ドキュメントには「非公式対応」と書かれていて、読んだ瞬間に一歩引く人も多いはずです。

結論から先に言います。2025年の時点で、Radeon 780M(gfx1103)はOllamaで実用域に入っています。 ただし、使い方は1つではありません。Linuxで詰めて使うならROCm、Windowsや手早さ重視ならVulkan、まず動作確認だけならCPUフォールバックです。

ここで迷うのは自然です。むしろ、迷わない方が危ないです。現場では「動くか」だけでなく、「その構成を保守できるか」が効いてきます。

まず結論:780MでOllamaを使うならこの3択です

1. Linuxでしっかり使うならROCm

780M(gfx1103)でGPU加速を狙う本命はROCmです。2025年にOllama公式ドキュメントのLLVM Target一覧へ gfx1103 が追加され、実績ベースで「非公式だが対応済み」という立ち位置になりました。

ただし、ここは誤解しやすいところです。“公式に名前が載った”ことと、“何も設定しなくて動く”ことは別です。ROCm経路では、いまも HSA_OVERRIDE_GFX_VERSION=11.0.x 系の設定が必要になるケースがあります。ここはコミュニティ報告に幅があり、11.0.0〜11.0.3の範囲で揺れがあります。断定よりも、環境に合わせて確認する前提で見た方が安全です。

実運用の報告はUbuntu/Arch Linuxで多く、安定して使えている例は増えました。とはいえ、ROCmはやはり「Linux前提で少し面倒、でもその代わりに伸びしろがある」経路です。

2. Windowsや手軽さ重視ならVulkan

2025年時点で、780MユーザーにとってVulkanはかなり現実的です。ROCm不要で、環境変数1つでGPU加速に入れるため、導入の心理的ハードルが低いです。特にWindowsでは、この差が地味に効きます。

以前は「ROCmが本命、Vulkanは保険」という見方をしがちでしたが、今は少し違います。Vulkan側の成熟で、“まず試す”経路としてかなり強くなった印象です。

3. とりあえず確認するならCPUフォールバック

Ollamaは何もしなければCPUで動きます。GPU加速はありませんが、環境確認や比較の基準としては便利です。 参考値として、既存の実測では gemma4:e2b のCPUが 18.8 tok/s でした。

これを基準に見ると、GPUの価値がどこで効くかが見えます。速いか遅いかの話だけでなく、GPUを使うための手間に見合う差があるかを判断できます。

2025年に何が変わったのか

変化の中心は「gfx1103が見えてきたこと」です

Radeon 780Mユーザーにとっての2025年の変化は、Wavefront-64 mergeそのものではありません。あれは主に CDNA/Instinct系 に効く話で、gfx1103のiGPUに直接大きく効く類のものではないです。

では何が効いたのか。中心はこの2つです。

  • Ollama公式がgfx1103をLLVM Target一覧に追加したこと
  • Vulkan経路が実用寄りに成熟したこと

この2つが揃ったことで、780Mは「一部の人が無理やり使う対象」から、「条件を選べば普通に検討できる対象」に変わりました。

780Mを見る目が、ここで少し変わりました。iGPUはいつも“あと一歩”で止まりがちですが、今回はその“一歩”がかなり埋まっています。

体感差は、モデルサイズで一気に変わります

ここは重要です。780MでローカルLLMを触るとき、5B以下とそれ以上で世界が変わると思っておいた方がいいです。

実測ベースでは、たとえば以下のような差が出ています。

  • qwen3:1.7b → 27.3 tok/s(iGPU)
  • gemma4:e2b(5.1B) → 19.5 tok/s(iGPU) / 18.8 tok/s(CPU)
  • gemma4:e4b(8B) → 9.9 tok/s(iGPU) / 10.0 tok/s(CPU)

見ての通り、5Bを超えるあたりからiGPUとCPUの差がかなり薄くなります。この結果は、派手さよりも判断材料として効きます。

つまり、780Mは「何でも速い」わけではありません。ですが、小さめのモデルではちゃんとGPU加速の意味があり、重くなるとCPUとの差が縮む。この現実を先に知っておくと、モデル選びで無駄に悩まずに済みます。

780Mでの判断は、モデル選びでほぼ決まります

ここで一度、足元を見ておきます。780MでOllamaを使う話は、実はGPU経路の話だけでは終わりません。何を動かすかで満足度が大きく変わります。

  • 1.7B〜3B級: かなり扱いやすい
  • 5B前後: まだ実用域。用途を選ぶが、試す価値はある
  • 8B以上: 速度面で急に重くなる。CPUとの優位差も小さい

「780Mなら8Bもいけるのでは」と期待したくなる気持ちは分かります。実際、動きます。ですが、“動く”と“気持ちよく使える”は別です。ここを混同すると、構成の評価を誤ります。

モデルの選び方を先に整理したい方は、別記事の 780M向けOllamaモデル一覧 を先に見てもらうのが早いです。ここでは候補の粒度まで絞ってあります。

結局、どの経路を選べばいいのか

迷ったらこう分けるのが実務的です

  • Linuxで使う / 少しでも性能を詰めたい → ROCm
  • Windowsで使う / 導入を簡単にしたい → Vulkan
  • まず動くか見たい / 検証用 → CPUフォールバック

この整理で大事なのは、ROCmを無理に正解扱いしないことです。780Mでは、ROCmが唯一の正解ではありません。むしろ、Vulkanの現実味が増したことで、選択肢として並んできたのが2025年の変化です。

逆に、こういう判断は危ないです

  • 公式に載ったから、設定なしで全部動くと思う
  • 8BならGPUにすれば十分速いはずだと思う
  • ROCmさえ入れれば用途は全部カバーできると思う

現場では、この3つのどれかでつまずく人が多いです。特に3つ目は要注意です。GPU経路は万能ではなく、モデルサイズと用途の相性で評価しないと痛い目を見ます。

2025年の780Mは「試す価値がある」ではなく「選べる」段階です

以前の780Mは、ローカルLLMの世界ではどうしても「工夫して使う」側でした。ですが、今は違います。

  • Ollama公式対応で、gfx1103が見えるようになった
  • Vulkanが現実的な選択肢になった
  • 小さめのモデルならGPU加速の意味が出る

この3点で、780Mはようやく「比較して選べる」状態に入った、と見ています。

もちろん、CDNA向けの進化がそのまま780Mの幸せになるわけではありません。そこは切り分けて見るべきです。ですが、Ollama公式対応とVulkan成熟は、gfx1103ユーザーにとって実際に効く変化でした。

ここから先は、2本に分けて見ると迷いにくいです

このハブ記事では全体像だけを整理しました。セットアップで詰めるなら、ROCmは別記事に分けた方がいいです。設定の細かい話は、読んでいる途中で気力が削れやすいので。

この2本を見れば、780Mで「何を入れるか」「どこまで期待するか」はかなり絞れます。

まとめ:780MでOllamaを始めるなら、まず経路を決める

最後にもう一度、判断の軸だけ置いておきます。

  • Linuxで詰めるならROCm
  • Windowsや手軽さ重視ならVulkan
  • 確認だけならCPU

2025年の変化で、Radeon 780M(gfx1103)はOllamaでかなり扱いやすくなりました。とはいえ、勝負どころは「GPUが使えるか」ではなく、自分の環境でどの経路が一番少ない手間で実用になるかです。

その見方さえ外さなければ、780Mはもう十分に検討対象です。

よくある質問

ROCmを入れたのにGPUが認識されません

gfx1103は公式サポート外のため、HSA_OVERRIDE_GFX_VERSION=11.0.x の設定が必要です。正確なバージョンはコミュニティにより11.0.0〜11.0.3で報告差があります。まず rocm-smi でGPUが見えるか確認し、見えない場合は環境変数を設定して再起動してください。詳細は ROCmセットアップ記事 を参照。

WindowsでROCmを使えますか?

WindowsでのROCm 6.4.4はRX 7000/9000シリーズの公式対応(2025年末時点)。780M iGPUはWindowsでは Vulkan経路が現実的です。ROCmをWindowsの780Mで使うにはコミュニティ向けカスタムビルドが必要です。

Ollamaのバージョンによって動作が変わりますか?

はい。gfx1103サポートはOllama 0.x系で段階的に改善されてきました。問題が出た場合はOllamaを最新版にアップデートすることを先に試してください。

注意点

  • HSA_OVERRIDE_GFX_VERSION の最適値はOllama・ROCmのバージョンで変わることがあります(2025-12-01 時点の報告は11.0.0〜11.0.3)
  • Vulkan経路は一般的にROCm経路より速度が劣る傾向がありますが、実測差はモデルサイズや環境に依存します
  • 実測数値(2026-04-05 公開記事引用)はOllamaのバージョンアップで変化する場合があります

参考: Ollama公式 GPU サポートドキュメント / ollama-for-amd フォーク(gfx1103ネイティブサポート)

この記事を書いた人

HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!

Qwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話
事例紹介2026年3月10日

Qwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話

Qwen3.5:4bをOllama上でベンチマーク。thinkingモードが原因で9問が空回答になった。think:falseに切り替えたらスコアが194/240(80.8%)に回復。RTX 4070 Tiで101.5 tok/s出る4Bモデルの実力を24問で徹底検証。

#ローカルLLM#Ollama#Qwen3.5#ベンチマーク#thinking
Nemotron-Nano-9B日本語版を実測——NVIDIA日本語特化LLMの実力と限界
事例紹介2026年2月24日

Nemotron-Nano-9B日本語版を実測——NVIDIA日本語特化LLMの実力と限界

NVIDIAが開発した日本語特化ローカルLLM「Nemotron-Nano-9B-v2-Japanese」をUbuntuサーバー(RTX 4070 Ti)に実際にインストールして動かした実録。日本語品質・速度・VRAM使用量を正直に評価。

#Nemotron#ローカルLLM#NVIDIA#GPU#日本語LLM
ローカルLLM24問テスト:コード77点・日本語47点——東工大Swallowの意外な素顔
事例紹介2026年3月15日

ローカルLLM24問テスト:コード77点・日本語47点——東工大Swallowの意外な素顔

東工大の日本語特化モデルSwallow 8Bを24問でテスト。コード77点・日本語47点という反直感的な結果と、「汚名返上を誤用と言った日本語特化AI」の実態を正直に報告します。

#ローカルLLM#Ollama#ベンチマーク#Swallow#東工大
Ollamaでローカルにチャットを住まわせた記録 — インストールからモデル選びまで
チュートリアル2026年2月24日

Ollamaでローカルにチャットを住まわせた記録 — インストールからモデル選びまで

Ollamaを使ってローカルLLMを動かした実録。インストール手順・VRAM別モデル選び・実際に使って感じた正直な評価まで。RTX 4070 Ti(12GB)環境での体験ベース。

#Ollama#ローカルLLM#LLM#GPU#AIチャット

META-MARK × AI

ローカルAIを動かすGPU、ちゃんと選べていますか?

VRAM・性能・コスパをMetaScoreで数値化。AIアプリ別の推奨ハードウェア要件も確認できます。