ローカルLLM Qwen3.5:9b(9.7B Q4_K_M)に意地悪・論理・コード・日本語の24問テストを実施。180/240点(75%)ランクAの「空気読めない秀才型」。お墓問題で相談窓口を貼ってきた話も含めて正直に報告。
「法的に生きている人が、自分のお墓に自分で入ることは許可されていますか?」
この質問に対して、Qwen3.5:9bは800トークンかけて日本の民法・刑法・仏教の慣習を丁寧に解説し、最後に自殺相談窓口を3つ貼って回答を終えた。
答えてはいる。ただ、そういうことじゃない。
これが今回のベンチマーク全体を象徴する出来事だった。コードは書ける。論理も解ける。でも「問いの意図」を掴み損ねる瞬間がある。そういうモデルだった。
📋 この記事で使用したテスト問題(全24問)は LLM 24問テストスイート で確認できます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| モデル名 | Qwen3.5:9b |
| パラメータ数 | 9.7B |
| 量子化 | Q4_K_M(4ビット量子化) |
| 推論フレームワーク | Ollama v0.17.4 |
| CPU | AMD Ryzen 9 5900(24コア) |
| GPU | NVIDIA RTX 4070 Ti(VRAM 12GB) |
| VRAM使用量 | 約8.1GB |
| 推論速度 | 約5 tok/s(生成トークン平均) |
| 1問あたり平均応答時間 | 約104秒 |
| コンテキスト長(ctx) | 16384 tokens |
| テスト時 temperature | 0.3(全問固定) |
| テスト日 | 2026-03-14 |
| think:false 設定 | Ollamaネイティブ /api/chat で適用(思考モード無効化) |
※本記事の結果は個人環境での非公式テストです。Ollamaやモデルのバージョンアップにより結果が変わる場合があります。
同じ環境でテストした
BlogQwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話Qwen3.5:4bをOllama上でベンチマーク。thinkingモードが原因で9問が空回答になった。think:falseに切り替えたらスコアが194/240(80.8%)に回復。RTX 4070 Tiで101.5 tok/s出る4Bモデルの実力を24問で徹底検証。→が101.5 tok/sだったことを考えると、9bモデルはおよそ20倍遅い。VRAM 12GBに8GB超を使い切りながら動いているので、RTX 4070 Tiとしてはほぼ上限に近い使い方になる。
なお、Qwen3.5系はthinkingモードを搭載しており、OpenAI互換エンドポイント(/v1/chat/completions)ではthink: falseが無視されて空回答が発生する。今回はOllamaネイティブの/api/chatに直接think: falseを渡す方式で実行した。詳しくはOllama公式ドキュメントを参照。
ローカルLLM全般の推奨スペックについてはOllama推奨スペックまとめも参照。
| カテゴリ | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| A: 意地悪・引っかけ | 43/60(71.7%) | 計算系は堅実、社会的直感に弱点 |
| B: 論理・推論 | 50/60(83.3%) | タイムアウト1問を除けば全問正解 |
| C: コーディング | 52/60(86.7%) | 最高カテゴリ。構造理解が高い |
| D: 日本語力 | 35/60(58.3%) | タイムアウト1問+俳句季語ミス |
| 合計 | 180/240(75.0%) | ランクA |
計算は正確。論理は整然。コードは動く。
しかし「医者と息子」パズルでは「担当医は息子の主治医だからです」という独自解釈に辿り着いた。正解は「担当医が母親」なのだが、このモデルはそこに至らず、「医師と患者の関係性にあります」という別の答えを真剣に展開した。
お墓問題では法律論を3段落書いた後、相談窓口を3つ列挙した。
頭はいい。世渡りは下手だ。
A1(バット&ボール): 10点 — 5円を正確に計算し、認知バイアスの落とし穴まで丁寧に説明した。
A2(太郎の家族): 10点 — 「姉3人の弟は全員同じ太郎」を正確に把握し、4人と回答。
A3(生きている人の墓): 3点 ← 今回最大の笑いどころ
「法律で禁止されている」という明確な条文があるわけではありませんが、殺人・遺棄・公序良俗違反になる可能性が高く…
800トークンの法律論展開後、最後に「いのちの電話: 0120-77-9117」等を丁寧に貼った。問いの意図は「生きている人が墓に入るという前提が矛盾している」ことを指摘させるものだったが、Qwen3.5:9bはそれをガチの法律相談として受け取った。
A4(りんごの行方): 10点 — 「1番」を即答し、「取った」の語義を正確に解釈。
A5(月曜日は何回): 10点 — 5回・5日付けを全て列挙して正解。
A6(医者と息子): 0点 ← もう一つの見どころ
「担当医は息子(患者)の主治医だからです」という回答だった。性別バイアスを超えて「担当医=母親」に辿り着けなかった。しかも、なぜか「生物学上の息子であれば母親の子である必要があります」という一文が末尾にこっそり入っており、正解に近い発想は存在していた。あと一歩だった。

B系は5問正解・1問タイムアウトで50点(83.3%)。
B1(モンティ・ホール): 10点 — 「ドア2に変えるべき。確率は2/3」を確率計算付きで完全説明。
B2(嘘つきと正直者): 10点 — 「どちらの場合も『はい』」の論理を正確に展開。
B3(水差し4L): 10点 — 5Lと3Lを使った6ステップの手順を完璧に説明した。
B4(100人囚人と帽子): 10点 — 99人を確実に助けるパリティ戦略を詳細解説。このモデルの論理力の高さが最もよく出た問題だった。
B5(川渡り問題): 10点 — ヤギを戻す逆説ステップを正確に実行。
B6(12枚コインと天秤): 0点 — 180秒でタイムアウト。複雑な情報理論パズルは処理しきれなかった。
コーディングカテゴリは52点(86.7%)と今回の最高スコア。
C1(FizzBuzz拡張): 5点 — if-if-if構造(else-ifなし)で複合条件を正しく処理する発想は正しかったが、チェック順がJazz→Buzz→Fizzと逆だったため15は「BuzzFizz」(仕様は「FizzBuzz」)になった。自分でも「順番を変えてください」と注釈を入れており、気づいてはいた。
C2(JSクロージャ): 10点 — 「3,3,3が出力される」と正確に予測。varのスコープとイベントループの説明も完璧で、letへの修正例まで添えた。
C3(SQLインジェクション): 10点 — 問題を即座にSQLインジェクションと特定し、パラメータバインディングによる修正コードを提示。
C4(再帰フィボナッチ): 10点 — O(2^n)の問題を正確に指摘し、lru_cache・反復処理・DPリストの3パターンを提示。n=47超で計算不能になる具体的な閾値も示した。
C5(Pythonリスト参照): 10点 — [1]→[1,2]→[1,2,3]を正確に予測。「デフォルト引数は関数定義時に一度だけ評価される」というPythonの有名なfootgunを丁寧に解説した。
C6(正規表現チャレンジ): 7点 — 5番(ローカルパートなし)は確実に不一致と指摘。4番については「この特定の正規表現ではマッチしてしまう」と分析した。実はこの分析は技術的に正しく、テストスイートの想定よりも精密な回答だったが、「4番と5番の両方」という結論を出せなかった。

D系は35点(58.3%)で今回の最弱カテゴリ。
D1(敬語の間違い): 10点 — 「ご説明させていただきました」の二重敬語を正確に指摘し、「ご説明いたしました」への修正案を提示。
D2(俳句の評価): 3点 — 松尾芭蕉は正解。しかし季語を「蛙」ではなく「古池」と誤答した。「古池(ふるいけ):春の季語です」という断言は珍しいミスで、日本語の古典教養に弱点を示した。
D3(慣用句の誤用): 0点 — 180秒でタイムアウト。5文を一つずつ分析する長い問題には対処しきれなかった。
D4(同音異義語): 5点 — Q2(感謝)・Q3(施行)は正解。Q1は「軌跡」と答えるべきところを「奇跡」と回答した。「数々の軌跡をたどる」という文脈を読みきれなかった。
D5(翻訳チャレンジ): 7点 — 3語とも意味は伝わる英訳だったが、「komorebi」「tsundoku」の音写表記を使わず、「翻訳不可能な概念である」という言及も薄かった。
D6(「やばい」の文脈解釈): 10点 — 5文全て正確に肯定/否定を識別し、文脈説明も的確。表まで作って整理してくれた。

| カテゴリ | スコア | 割合 | 一言評価 |
|---|---|---|---|
| A: 意地悪・引っかけ | 43/60 | 71.7% | 計算系◎、社会的直感△ |
| B: 論理・推論 | 50/60 | 83.3% | タイムアウト1問が惜しい |
| C: コーディング | 52/60 | 86.7% | 最強カテゴリ |
| D: 日本語力 | 35/60 | 58.3% | 俳句・タイムアウトで失点 |
| 合計 | 180/240 | 75.0% | ランク A |
LLM性格診断: 「空気読めない秀才型」
Q: Qwen3.5:9bはどんな用途に向いていますか?
コーディング支援(86.7%)と論理推論(83.3%)が得意です。SQLインジェクション特定・再帰アルゴリズムの最適化提案・JSのスコープ問題の解説など、技術的な質問への回答精度は高い。一方、暗黙の前提や「問いの裏にある意図」を読む作業(お墓問題・医者と息子パズルなど)は苦手です。
Q: Qwen3.5:4bと9bどちらを使えばいい?
このテストではQwen3.5:4b(80.8%)がQwen3.5:9b(75.0%)を上回りました。速度は4bが約20倍速く(101.5 tok/s vs 4.7 tok/s)、VRAMも大幅に少ない。コスパ重視なら4bが現時点では有利です。複雑なコーディングタスクに特化するなら9bの強みが活きる場面もあります。
Q: RTX 4070 Ti(12GB)でQwen3.5:9bは動きますか?
Q4_K_M量子化で約8.1GBのVRAMを使用し、動作は確認できましたが、VRAMの約67%を消費するため余裕は少ない。推論速度が約5 tok/sと遅い点も考慮してください。VRAM 16GB以上の環境ならより余裕を持って動かせます。
Q: think:falseとは何ですか?なぜ必要?
Qwen3.5系モデルはデフォルトで内部思考(thinking)プロセスを実行する設計になっています。think: falseはこの思考モードを無効化するパラメータです。OllamaのOpenAI互換エンドポイント(/v1/chat/completions)では無視されて空回答になるため、必ずOllamaネイティブの/api/chatに直接渡す必要があります。
BlogQwen3.5:4b 24問テスト——thinkingをOFFにしたらスコアが21%上がった話Qwen3.5:4bをOllama上でベンチマーク。thinkingモードが原因で9問が空回答になった。think:falseに切り替えたらスコアが194/240(80.8%)に回復。RTX 4070 Tiで101.5 tok/s出る4Bモデルの実力を24問で徹底検証。→が80.8%だったことを思うと、9bは75.0%とむしろ低い。速度は20倍遅く、VRAMも8GB以上を使う。それでいてスコアが下がる、というのは少し予想外だった。
ただ、コーディング力は86.7%と高く、複雑な論理問題(B4のパリティ戦略、B3の水差し)にも正面から答えられる。「何を任せるか」を選べば、使い物になる。
お墓問題で相談窓口を貼ってきたくだりは笑えたが、裏を返せば「問いの意図を忖度せず、額面通りに真剣に受け取る」という特性でもある。それが良い方向に出るユースケース——コードレビューや技術的な問いへの回答——では信頼できる。
問いの裏を読む必要がある仕事は、まだ人間が担う方がいい。
この記事のダイジェスト版を Zenn で公開しています。
HW系エンジニアとして20年以上、10,000件を超える顧客訪問と2,000件を超える単独ソリューション実績。AIツールを使った個人開発やIoT農園など、Raspberry Piを使ったオートメーション化なども実践中です!エンジニア専門結婚相談所も運営中、ClaudeCodeで解決できない心の課題も解決いたします!
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