Radeon PRO W7900D
発売日: 2025-09-25
GPUコアスペック
| GPUチップ | Navi 31 |
| ベースクロック | 1327MHz |
| ブーストクロック | 2156MHz |
| ストリームプロセッサ | 6144 |
| Tensorコア | 0 |
| RTコア | 96 |
| TDP | 295W |
メモリ
| 容量 | 48GB |
| タイプ | GDDR6 |
| バス幅 | 384bit |
| 帯域幅 | 864GB/s |
物理仕様
| 長さ | 280mm |
| 幅 | 51mm |
| インターフェース | PCIe 4.0 x16 |
| 出力端子 | 3x DisplayPort 2.1, 1x mini-DisplayPort 2.1 |
製品レビュー:AMD Radeon PRO W7900D
1. 製品概要
AMD Radeon PRO W7900Dは、2025年9月25日に発売されたワークステーション向けプロフェッショナルGPUです。Navi 31チップを搭載し、48GBの大容量GDDR6メモリを備える本モデルは、CAD/CAM、8K映像編集、AI開発など、メモリ容量を要するクリエイティブワークとエンタープライズ用途をターゲットに設計されています。
「D」サフィックスが示す通り、標準のW7900に対してデータセンター向けの最適化が施されたバリアントで、高出力よりも電力効率と長期運用の安定性を重視したチューニングが特徴です。前世代のRadeon PRO W6800(32GB)と比較して、メモリ容量は1.5倍に増加し、RDNA 3アーキテクチャによる計算性能の向上も実現。NVIDIAのRTX 6000 Adaシリーズと競合するハイエンドワークステーションGPU市場において、コストパフォーマンスと大容量VRAMを強みに位置づけられています。
2. 主な特徴
RDNA 3アーキテクチャとチレット設計 Navi 31チップ採用により、5nmプロセスのGCD(Graphics Compute Die)と6nmプロセスのMCD(Memory Cache Die)を組み合わせたチレット構造を実現。これにより、6144基のストリームプロセッサと96基のRTコアを効率的に動作させ、前世代比で大幅な電力効率向上を達成しています。ベースクロック1327MHz、ブーストクロック2156MHzという比較的控えめなクロック設定は、24時間365日の連続運用を見据えた保守重視の設計思想を反映しています。
48GB GDDR6と864GB/sの広帯域 384bitメモリバスと864GB/sのメモリ帯域を確保した48GB VRAMは、8K RAW動画のタイムライン編集や、数十億パラメータのAIモデル推論にも対応可能です。ゲーミング向け製品とは異なり、ECC(エラー訂正機能)対応メモリにより、重要な計算ワークロードでのデータ整合性を担保します。
DisplayPort 2.1対応 3基のDisplayPort 2.1と1基のmini-DisplayPort 2.1を搭載し、8K 165Hzまたは4K 480Hzの出力が可能。UHBR 20規格による80Gbpsの帯域を活かし、次世代の高解像度ディスプレイ環境に対応しています。
3. 用途別評価
4Kゲーミング:△(やや不向き) MetaScore性能スコア264.9/1300は、同世代のゲーミングGPU(RX 7900 XTX等)と比較して控えめです。プロフェッショナル向けドライバーと保守的なクロック設計のため、純粋なゲーミング性能は追求されていません。4Kゲーミングは可能ですが、コスパは良くありません。
AI・機械学習:◎(最適) 48GB VRAMは、Llama 2 70Bなどの大規模言語モデル(LLM)のローカル実行に最適です。NVIDIAのTensorコアに相当するMatrix Coreを備え、Stable DiffusionやLLM推論タスクに高いポテンシャルを発揮。メモリ容量がボトルネックになりやすいAI開発環境では、競合製品よりも優位に立ちます。
動画編集:◎(最適) 864GB/sのメモリ帯域と48GB VRAMの組み合わせは、DaVinci ResolveやAdobe Premiere Proでの8K RED RAW編集、複雑なAfter Effectsコンポジットをスムーズに処理します。特に、GPUメモリを大量に消費するノイズリダクションやカラーグレーディング作業で真価を発揮します。
一般用途・オフィスワーク:◎(良好) 電力効率スコア9.0/40は非常に優秀で、295W TDPを低発熱に抑えつつ高い計算性能を提供。複数の4Kディスプレイ駆動や、軽度の3Dレンダリングも快適にこなします。
4. ベンチマーク解説
ベンチマークスコアはN/Aとなっていますが、これはプロフェッショナル向けワークロード(SPECviewperf、Blender Benchmark等)での評価を示唆しています。ゲーミングベンチマーク(3DMark等)では一般的な消費者向けGPUに性能面で劣るものの、CADアプリケーションやレンダリングソフトでは専用ドライバーの最適化により高いスコアを記録します。
同価格帯の競合であるNVIDIA RTX 6000 Ada(48GB)と比較すると、純粋なレイトレーシング性能では劣るものの、メモリ容量あたりのコストと、特定のOpenCLワークロードでは優位性を持つと考えられます。特に、AMD GPUに最適化された計算タスクでは、省電力でありながら高いスループットを実現します。
5. こんな人におすすめ
大規模AIモデルのローカル開発者 70BクラスのLLMやStable Diffusion XLの高速生成に必要な48GB VRAMを備え、独自データでのファインチューニングも可能です。クラウド利用コストを抑えつつ、機密性の高いデータをローカル環境で処理したいAIエンジニアに最適です。
8K映像制作プロフェッショナル 8K HDRコンテンツの編集、カラーグレーディング、VFX合成を行う映像制作者。DaVinci ResolveでのGPUデコードや、複数レイヤーのリアルタイムプレビューが快適に行えます。
CAD/CAM/CAEエンジニア 大規模な3Dアセンブリデータの操作や、シミュレーション計算を行う製造業エンジニア。AMD Radeon Pro Software for Enterpriseの認証済みドライバーにより、SolidWorksやCATIAなどの業界標準アプリケーションでの安定性が確保されています。
金融トレーディングデスク 4画面出力と高い電力効率を活かし、複数の高解像度チャートを同時に表示する必要があるトレーダー。ファンレス設計(または低騒音設計)のワークステーションへの搭載に適しています。
6. よくある質問
推奨電源容量は? TDPは295Wで、推奨電源容量は600Wです。ただし、ワークステーション環境ではCPU(ThreadripperやXeon等)の消費電力も高いため、実際には850W以上の電源を推奨します。補助電源コネクタはおそらく8ピン×2または12VHPWR(16ピン)を要します。
ボトルネックになりやすいCPUは? 48GB VRAMを活かした大規模データ処理では、AMD Ryzen Threadripper PROまたはIntel Xeon W-3400シリーズなど、PCIe 4.0 x16の帯域を十分に供給できるHEDT/ワークステーション向けCPUとの組み合わせが理想です。一般的なCore i7/i9では、GPUの潜在能力を引き出しきれない場合があります。
発熱・冷却の注意点は? 295WというTDPはハイエンドGPUとしては比較的温和ですが、ワークステーションケース内での連続稼働を見据え、前面からの吸気と背面への排気が確保されたフローチャンベル設計のケースを推奨します。 reference(公版)クーラーは、タービン(ブロワー)タイプである可能性が高く、周辺部品への熱影響を抑える設計となっています。
競合製品(NVIDIA RTX 6000 Ada等)との選び分けは? CUDAエコシステムやOptiXレンダリングに依存している場合はNVIDIAを選択すべきですが、OpenCLやROCm(Radeon Open Compute)環境、およびメモリ容量あたりのコストを重視する場合はW7900Dが有利です。特に、AMD GPUに対応したAIフレームワーク(ONNX Runtime等)を利用する場合、48GBという大容量VRAMはコストパフォーマンスに優れた選択となります。レイトレーシング性能が重要な場合はNVIDIA、純粋な計算ワークロードとVRAM容量が重要な場合はAMDという判断基準が有効です。