Radeon AI PRO R9700S
発売日: 2025-12-11
GPUコアスペック
| GPUチップ | Navi 48 |
| ベースクロック | 1660MHz |
| ブーストクロック | 2920MHz |
| ストリームプロセッサ | 4096 |
| Tensorコア | 0 |
| RTコア | 64 |
| TDP | 300W |
メモリ
| 容量 | 32GB |
| タイプ | GDDR6 |
| バス幅 | 256bit |
| 帯域幅 | 644.6GB/s |
物理仕様
| 長さ | 267mm |
| 幅 | 39mm |
| インターフェース | PCIe 5.0 x16 |
| 出力端子 | 4x DisplayPort 2.1a |
Radeon AI PRO R9700S レビュー:32GB大容量VRAM搭載のAIワークステーション向け新型GPU
1. 製品概要
Radeon AI PRO R9700Sは、AMDが2025年12月に発売するワークステーション向けプロフェッショナルGPUです。Navi 48アーキテクチャを採用し、最大の売りである32GB GDDR6VRAMを搭載したことで、大規模AIモデルのローカル実行や8K動画編集といったメモリ容量を重視する用途に特化した製品として位置づけられています。
ターゲットユーザーは、Stable DiffusionやLLM(大規模言語モデル)のローカル運用を検討しているAI開発者、8K RAW動画のタイムライン編集を行う映像クリエイター、および大規模3Dシーンのレンダリングを必要とするCGデザイナーです。一般的なゲーミングGPUとは異なり、「AI PRO」という命名が示す通り、推論処理とプロフェッショナルワークフローの効率化を最優先に設計されています。
前世代のRadeon PROシリーズと比較して、最大の進化はPCIe 5.0 x16インターフェースの対応と、帯域幅644.6GB/sを実現した256bitメモリバスです。ただし、TDP300Wと電力効率はやや犠牲になっており、データセンター向けではなく個人ワークステーション向けの「ハイエンド・エントリークラス」としての性格が強い製品です。
2. 主な特徴
Navi 48アーキテクチャとAI処理性能 RDNA 4世代と思われるNavi 48チップは、4,096基のストリームプロセッサを搭載し、ブーストクロック2,920MHzという高い動作周波数を実現しています。従来の「Tensorコア」に相当するAMD独自のAIアクセラレータ(XDNA 2アーキテクチャを採用の可能性)はスペック表ではN/Aとなっていますが、64基のRTコアによるレイトレーシング性能と併せて、AI画像生成やリアルタイムレンダリングを加速させます。
32GB GDDR6の実用性 256bitバス幅で644.6GB/sという帯域幅は、同容量帯の競合製品に比べてやや控えめですが、32GBという絶対的なVRAM容量が本作の最大の武器です。LLMの7BパラメータモデルならFP16精度で完全にメモリ内に保持でき、Stable Diffusion XLや動画生成AIのWan 2.1など、VRAMを多く消費するモデルでも高解像度生成が可能です。
PCIe 5.0とDisplayPort 2.1a 最新のPCIe 5.0 x16インターフェースは、CPUからのモデルデータ読み込みや、複数GPU構成時の帯域ボトルネックを解消します。また、4系統のDisplayPort 2.1a出力は、8K60Hzまたは4K240Hzのディスプレイ接続を可能にし、次世代の高リフレッシュレートモニターとの相性も抜群です。
3. 用途別評価
4Kゲーミング:△(やや物足りない) MetaScoreの性能スコアが239.2/1300と低めであることから、純粋な3Dゲーミング性能はRTX 4070程度またはそれ以下と推測されます。32GB VRAMは4Kゲーミングには過剰ですが、レイトレーシング性能やRAWパワーでは最新ゲーミングGPUに劣るため、ゲーム専用機としてはコスパが悪い選択と言えます。
AI・機械学習:◎(最適) 32GB VRAMはローカルLLM運用において圧倒的なアドバンテージです。Llama 3.1の8Bモデルなら量子化なしで動作し、13Bモデルでも効率的な推論が可能です。Tensorコアの有無に関わらず、AMDのROCm環境であればPyTorchやONNX Runtimeでの推論加速が期待でき、VRAM容量がボトルネックとなるAI開発には最適です。
動画編集:◎(8K編集に対応) DaVinci ResolveやPremiere Proでの8K RED RAW編集では、644.6GB/sのメモリ帯域と32GB VRAMの組み合わせが威力を発揮します。タイムライン上でのカラーグレーディングやエフェクト適用時のプレビュー遅延を大幅に削減できます。
一般用途:△(電力効率に注意) 電力効率スコア8.0/40と低く、TDP300WはゲーミングGPU並みの消費電力です。常時フル負荷での運用は電源容量と冷却コストを圧迫するため、軽作業には向きません。
4. ベンチマーク解説
掲載されているMetaScoreは、プロフェッショナルワークロードを重視した独自指標と考えられます。性能スコア239.2/1300は、純粋なグラフィックス演算能力では最新ゲーミングフラッグシップに大きく劣ることを示唆していますが、これはAI推論やレンダリングにおける「特定の最適化がされていない汎用性能」を反映している可能性があります。
実用的なパフォーマンスとしては、3DMark TimeSpyで15,000~18,000点程度(推定)、PassMark G3D Markで25,000~30,000点程度と推測されます。同価格帯の競合製品(RTX 4080 Superなど)と比較するとゲーミング性能は3~4割劣るものの、VRAM容量は2倍という差異が特徴です。つまり、「AIモデルの読み込み速度」や「大規模シーンのレンダリング安定性」では優位に立ちますが、FPSを重視するゲームでは推奨されません。
5. こんな人におすすめ
① ローカルLLMを本格運用したいAI開発者 OllamaやLM Studioを用いてLlama 3やMistral Largeを自宅PCで動かしたいユーザー。32GB VRAMあれば7Bモデルは快適に、13Bモデルも実用的な速度で動作します。
② 8K RAW動画のカラーグレーディングを行う映像クリエイター Blackmagic Design DaVinci ResolveでのFusionエフェクトや、8Kタイムラインのノードベースカラーコレクション作業に最適です。VRAM不足によるプレビュー低下を防げます。
③ 大規模3Dシーンのリアルタイムビジュアライゼーション BlenderやUnreal Engine 5で、テクスチャメモリを大量に消費する建築ビジュアライゼーションやVFXプレビュー作業を行うアーティスト。64基のRTコアによるレイトレーシングも活用できます。
④ AI画像生成のプロユーザ Stable Diffusion XLやFLUX.1の高解像度生成(2K~4K)、ControlNetとの組み合わせ使用時のVRAM不足を解消したい生成AIクリエイター。
6. よくある質問
Q: 推奨電源容量は本当に700Wで足りますか? A: TDP300Wに加え、PCIe 5.0対応の高性能CPU(Ryzen 9やCore i9)を組み合わせることを想定した場合、750W~850Wのゴールド認証以上の電源を強く推奨します。700Wは公式最小値であり、長期安定運用やオーバークロックの余裕を考慮すると、850Wクラスの準備が安心です。
Q: ボトルネックになりやすいCPUは? A: PCIe 5.0帯域を活かすには、Ryzen 7000/9000シリーズまたはIntel Core 14th/15th世代の最新CPUが必須です。特にAI推論時の前処理ではCPU性能も重要となるため、Ryzen 9 7950X以上またはCore i9-14900K以上の搭載を推奨します。古いPCIe 3.0環境では性能が半減する恐れがあります。
Q: 発熱・冷却の注意点は? A: TDP300WはRTX 4080/4090クラスの発熱量です。ケース内のエアフロー設計が不十分だと、サーマルスロットリングで性能が低下します。前面からの吸気と上部/背面からの排気を確保したフルタワーケース、またはオープンフレームケースでの運用を推奨します。また、補助電源コネクタは12VHPWR(12V-2x6)規格の可能性が高いため、対応ケーブルの確認が必要です。
Q: RTX 4080 Superとの選び分けは? A: ゲーミング重視ならRTX 4080 Super、AI開発・大規模VRAMが必要な作業ならR9700Sが適切です。RTX 4080 SuperはTensorコアによるAI加速やDLSS 3.5の恩恵が大きく、ゲーミング性能では優位です。一方、R9700Sは32GB VRAMによる「動かしたいモデルが動く」という安心感があり、ROCm対応アプリケーションでの計算性能も見逃せません。価格が近い場合、VRAM 16GBで足りるかどうかが分岐点となります。