GB10
発売日: 2025-10-15
GPUコアスペック
| GPUチップ | GB20B |
| ベースクロック | 1665MHz |
| ブーストクロック | 2418MHz |
| CUDAコア | 6144 |
| Tensorコア | 384 |
| RTコア | 48 |
| TDP | 140W |
メモリ
| 容量 | 128GB |
| タイプ | LPDDR5X |
| バス幅 | 256bit |
| 帯域幅 | 273.2GB/s |
物理仕様
| 長さ | 150mm |
| 幅 | 150mm |
| インターフェース | PCIe 5.0 x16 |
| 出力端子 | 1x HDMI |
製品概要
NVIDIA GB10は、2025年10月に発売されたエッジAI・組み込みシステム向けの特殊用途GPUです。Blackwell(GB20B)アーキテクチャを採用し、128GB LPDDR5Xという膨大なメモリ容量をコンパクトなフォームファクタ(150mm×150mm)に収めています。TDP 140Wという省電力設計により、産業用PC、エッジサーバー、自動運転車載システムなどの電力制約がある環境でも動作します。前世代のJetson AGX Orin(64GB)と比較して、メモリ容量が2倍に拡張され、AI推論性能も大幅に向上しています。ターゲットユーザーは、自動運転・ロボティクス・スマートファクトリー・エッジAI開発者です。一般消費者向けではなく、産業用・組み込み用途に特化した製品です。
主な特徴
GB10は、NVIDIAのBlackwellアーキテクチャの小型版「GB20B」を搭載し、6,144基のCUDAコアと384基のTensorコアを備えています。48基のRTコアでリアルタイムレイトレーシングにも対応しており、仮想環境(NVIDIA Omniverse)や産業シミュレーションでの活用も視野に入ります。
最大の特徴は128GB LPDDR5Xメモリです。LPDDR5X(Low Power DDR5X)は、スマートフォンやタブレットで使用される低消費電力メモリ規格で、GDDR6やHBM3eと比較して電力効率に優れています。256bitバス幅により273.2GB/sの帯域幅を実現し、エッジデバイスとしては十分な性能を持ちます。
128GBのメモリ容量は、エッジAI推論での大規模モデルロード(LLM・拡散モデル)、自動運転のマルチモーダルセンサーフュージョン、産業ロボットのリアルタイム画像認識など、メモリ集約型のエッジワークロードに対応します。通常のエッジデバイス(Jetson Orin 64GB)では不可能だった数百億パラメータのモデルも、GB10なら実行可能です。
TDP 140Wは、産業用PC・エッジサーバーの電力バジェットに収まる範囲です。ファンレス設計やヒートシンクのみの冷却構成も可能で、工場・屋外環境での24時間稼働にも対応します。推奨電源は300Wで、車載システム(24V/48V DC)やPoE++(Power over Ethernet)からの給電も視野に入ります。
コンパクトなフォームファクタ(150mm×150mm)は、エッジデバイス・産業用PCへの組み込みに最適です。標準的なMini-ITXケースや産業用ラックマウントシャーシに搭載可能で、スペースに制約がある環境でも導入できます。
NVIDIA Jetsonソフトウェアスタック(JetPack SDK、DeepStream、Isaac SDK)と互換性があり、エッジAI開発者はすぐに開発を開始できます。TensorRT・CUDAの最適化により、PyTorchやTensorFlowで訓練したモデルを高速推論できます。
用途別評価
4Kゲーミング: 性能スコア297.1/1300は中程度ですが、GB10はゲーミング向けではなく、ディスプレイ出力も1x HDMIのみです。エッジAI専用製品であり、ゲーミングには不向きです。
AI・機械学習: GB10の真骨頂です。128GB LPDDR5Xと384基のTensorコアにより、エッジAI推論(物体検出・セグメンテーション・音声認識・LLM推論)で優れた性能を発揮します。データセンターのB300/H100でトレーニングしたモデルを、エッジ環境でリアルタイム推論する用途に最適です。自動運転のセンサーフュージョン(カメラ・LiDAR・レーダー)、産業用画像検査、スマートリテールの顧客分析などで活用されます。
動画編集: メモリ帯域273.2GB/sは限定的で、4K動画編集には対応可能ですが、GB10の本来の用途ではありません。映像編集ならGeForce RTX 5060やQuadro RTXを選択すべきです。
一般用途: 電力効率スコア21.2/40は良好で、エッジデバイスとしては省電力性に優れています。産業用PC・組み込みシステムでの24時間稼働に適しています。
ベンチマーク解説
GB10は主にMLPerf Inference(エッジAI推論ベンチマーク)で評価される製品です。性能スコア297.1は、エッジデバイスとしては非常に高い性能を示しています。一般的なゲーミングGPUベンチマーク(3DMark TimeSpy)では評価されません。
実用的なパフォーマンスとしては、以下のような用途で真価を発揮します:
- 自動運転レベル4/5: マルチカメラ(8〜12台)の並列物体検出、LiDARポイントクラウド処理、経路計画をリアルタイム実行。
- 産業用ロボット: 高速画像検査(1000fps以上)、リアルタイム欠陥検出、ピッキング・ソーティング自動化。
- スマートシティ: 交通監視カメラの並列解析、群衆行動分析、異常検知。
- エッジLLM推論: 70億〜130億パラメータの言語モデル(Llama 3.1 70B量子化版)をローカル実行。レイテンシ100ms以下の対話AI。
競合製品との比較では、NVIDIA Jetson AGX Orin(64GB, TDP 60W)がメモリ不足のシーンでGB10が優位、Intel Xeon with Habana Gaudi(エッジ版)はコスト重視の選択肢、AMD Ryzen AI Max(エッジAI向けAPU)は省電力性で優れますが、GB10のメモリ容量には及びません。
こんな人におすすめ
GB10は以下のようなエッジAIワークロードに最適です:
- 自動運転・ADAS開発: レベル4/5自動運転のセンサーフュージョン、リアルタイム経路計画、シミュレーション検証。128GBメモリで複数モデルの並列実行が可能。
- 産業用ロボット・スマートファクトリー: 高速画像検査、欠陥検出AI、ピッキング・ソーティング自動化。24時間稼働の信頼性が必須。
- エッジAIサービス: 小売店舗の顧客行動分析、スマートレジ、在庫管理AI。データセンターに送信せず、プライバシー保護しながらローカル推論。
- スマートシティ・監視システム: 交通監視カメラの並列解析、群衆行動分析、異常検知。複数カメラストリームの同時処理。
- エッジLLM開発: ローカル環境で動作する対話AI(カスタマーサポート、医療診断補助)。クラウドに依存しない低レイテンシ推論。
よくある質問
Q1: 推奨電源容量は? A: 公式推奨は300Wです。TDP 140WのGPUに加えて、エッジサーバー向けCPU(Xeon D、Ryzen Embedded)を搭載する場合、400W〜500W電源を推奨します。産業用途では冗長電源(2x300W)も検討してください。車載システムでは24V/48V DC-DCコンバータが必要です。
Q2: 冷却の注意点は? A: TDP 140Wのため、ファンレス設計も可能ですが、大型ヒートシンク(150mm×150mm×50mm以上)が必要です。産業用PC・エッジサーバーでは、ケース内エアフロー(前面→背面)を確保してください。屋外設置・高温環境(40℃以上)では、アクティブ冷却(ファン)を推奨します。
Q3: 一般ユーザーが購入できますか? A: GB10は産業用・組み込み用途専用で、一般販売されていません。NVIDIA認定パートナー(ADLINK、Advantech、Kontron等)から産業用PCやエッジサーバーとして購入する形になります。価格は1基あたり50万円〜100万円と予想されます。開発キットは10万円〜20万円で入手可能な場合もあります。
Q4: Jetson AGX Orinとの違いは? A: 主な違いは以下の通りです:
- メモリ容量: GB10 128GB vs Jetson Orin 64GB(2倍)
- TDP: GB10 140W vs Jetson Orin 60W(2.3倍)
- 性能: GB10の方がCUDAコア・Tensorコアが多く、AI推論性能が高い
- 用途: GB10は大規模モデル推論、Jetson Orinは省電力重視
大規模モデルが必須ならGB10、省電力性重視ならJetson AGX Orinを選択してください。
Q5: データセンターGPU(B300/H100)との使い分けは? A: データセンター(B300/H100): AIモデルのトレーニング・ファインチューニング。クラウドバックエンド。 エッジ(GB10): トレーニング済みモデルの推論実行。リアルタイム性・プライバシー保護が必須の環境。
一般的なワークフローは、データセンターでモデルをトレーニング → GB10でエッジ推論、という組み合わせです。クラウドに依存しないオフライン環境や、レイテンシが重要な用途(自動運転、産業ロボット)ではGB10が必須です。